色んな種類がある乳がん 複雑に絡む分類基準からどのように治療する?

日本においては12人に1人の女性が一生のうちで乳がんを患うという統計結果があります。

乳がんは仕事や結婚、子育てに介護と人生のうちで色々な役割を果たしている世代に多くみられています。

増加は30代ごろですが、より若い年代で発症する女性も少なくはありません。

今回は、そんな乳がんの種類についてお伝えします。

要チェック項目


□乳房は乳管と小葉、脂肪からなり、女性ホルモンの影響を受けている
□乳がんの分類基準はいくつかの種類がある
□治療方針はいくつかの分類を組み合わせて決める複雑なもの

乳房のしくみ
乳房は乳腺と脂肪から成っています。小葉と乳管からなる腺葉という組織が複数集まって乳腺を構成しています。小葉でつくられた乳汁が乳管を通って、乳頭から分泌されます。

女性が思春期になり、卵巣が女性ホルモンを活発に作るようになると、乳腺が大きくなります。

一方で、閉経して女性ホルモンの量が減少してくると、乳腺は小さくなり、脂肪に置き換わるようになってきます。

組織のタイプでの乳がんの分類
乳癌の組織を顕微鏡でみたときの種類による分類があります。

DCIS


乳がんの病気段階ではステージ0期という極初期のがん。超早期発見の乳がんです。ほぼ100%治癒すると言われておいますが、乳腺の中を細い糸が広がるようになっていることがあるため、乳房温存が難しいと言われます。

浸潤性微小乳頭がん


非常に早期から転移を起こしやすいがんです。抗がん剤が適用されます。

浸潤性小葉がん


乳腺の中で、あちこちに多発する傾向があるがんです。マンモグラフィー(乳腺X腺撮影)でもなかなか撮影しづらいため、発見が遅れることがあります。

粘液がん


抗がん剤が効きづらく、進行していてもまずは外科的な処置が適用されます。

パジェット病


これまでの4つのがんとは異なり、乳輪や乳頭部の皮膚にただれや湿疹、痛みやかゆみといった症状がみられます。視診でも観察しやすく、比較的予後も良いとされています。

ホルモンレセプターやたんぱく質レセプターによる分類
がん細胞がもっている分子によっても分類ができます。

ホルモンレセプター


ホルモンレセプターによる分類では、細胞が女性ホルモンを受け取る窓口のホルモンレセプター分子の有無で、がんを分類します。乳腺の組織は、卵巣から分泌される女性ホルモンを受け取り乳腺細胞を大きくしています。

がん細胞がこのホルモンレセプターを持っていると、女性ホルモンの影響を受けて増殖するのです。一方、女性ホルモンを減少させる治療を行えば、がん細胞の増殖も抑えることに繋がります。

HER2レセプター


HER2レセプターは特殊なレセプターです。まだ明らかになっていないことが多く、具体的に何の物質が刺激を与えるのかは判明していません。

HER2レセプターを持っていると、何らかの因子で刺激を受けてがん細胞が増殖します。このHER2レセプターの有無でもがんを二分できます。

病期による分類(TNM)
がんの進行度については「ステージ」という言葉をよく耳にします。

腫瘍の大きさ(T)、リンパ節への転移(N)、他の臓器への転移(M)によって分類されるTNM分類を元にしており、ステージ0~ステージⅣまでの5段階に分類されます。

しこりのサイズ


しこりの大きさは、しこりがないレベルから、直径が2~5cm、5cm以上、大きさを問わないレベルと5段階に分けられます。

リンパ節への転移


リンパ節への転移は、なしの場合、わきの下への転移、わきの下と胸骨の横への転移、わきの下と胸骨の横および鎖骨の上下への転移と4段階に分けられます。

他の臓器への転移の有無


臓器ごとの分類はなく、他の臓器への転移の有無のみで二分されます。

乳がんの治療方針の決定は?
乳がんの治療は、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法があります。

手術(外科治療)


手術によって、乳がんの患部を切除します。すなわし、乳房の切除が行われます。がんの大きさだけではなく、位置や乳房の大きさ、本人の希望などから、切除する範囲が変わってきます。

また、がんによって切除された乳房を、腹部や背中から採取した自家組織や、シリコンなどの人工組織を用いて再建する手術も含まれます。

放射線治療


がん細胞の増殖を阻害し、がんを小さくする目的のために外部から放射線を照射します。乳がんでは、外科的手術後に再発予防のために行われることもあります。

薬物療法


薬物療法には、ホルモン療法、化学療法、分子標的治療などがあります。

手術前にがんを小さくしたり、手術や他の治療の効果を補う、あるいは根治が難しいがんの場合に、延命やQOL(生活の質)向上のためなど、いくつかの目的があります。

また、薬剤の組み合わせについても、さまざまな要因から検討されます。

治療の方針決定において考慮すること


それぞれの治療は単独で行うだけではなく、いくつかの治療を組み合わせる場合があります。

治療の方針決定には、がんの特徴や、現在の病気、全身状態、年齢、合併している疾患に加え、患者や家族の希望を考慮しながら決めていきます。

乳がんは要因が複雑に絡みあって治療方針が決まっていく
乳がんという病気には、分類の基準からいくつかの種類がありました。

そしてのそれらを複雑に組み合わせて考慮することで、治療方針を決定していきます。

その複雑さから専門医が存在しています。乳がんは命の危険だけではなく、治療の副作用での毛髪の脱毛や、外科治療での乳房の摘出など心身ともに辛いものです。

年齢に関係なく、普段から意識して早期発見に繋げることは大切ですね。

(監修:Doctors Me 医師)

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