ロタウイルス検査マニュアル お母さんが気になる内容と費用を解説
冬から春にかけて、小さい子供の間で大流行するロタウイルス。
胃腸炎の症状が出て心配、家族が感染したのでうつっていないか知りたいなど、ロタウイルスの検査について気になる人のために、検査の詳細をお伝えします。
要チェック項目
□検査は何科でも受けられる
□検査で必ず判明するとは限らない
□検査同様に予防も大切
ロタウイルスとは
ロタウイルスというのは、ほとんどの人が一度は感染するウイルスです。
胃腸炎を引き起こすウイルスなため、初めての感染のときには突然始まる激しい嘔吐から、40度近いほどの高熱、そして激しい下痢といった症状を伴います。
中には2度以上感染する人もいますが、一般的には2度目以降の感染の際にはほとんど症状がみられません。ただし、抵抗力や免疫力が弱っている老人などの場合にはひどい症状がみられることもあります。
ロタウイルスは、通常は5歳までにほとんどの子供が感染するウイルスです。
子供や老人がロタウイルスに感染すると、下痢や嘔吐によって脱水症状に陥ったり、体内が酸性に傾きすぎて起こる代謝性アシドーシスなどの合併症を併発することがあります。
代謝性アシドーシスは過呼吸や手足のしびれの原因になってしまうこともあります。
感染力の高さはロタウイルスの特徴のひとつで、糞口感染が主です。
ロタウイルスはアルコール消毒では消毒しきれないため、ウイルスに感染した人の吐瀉物や赤ちゃんの排泄物などをしっかり掃除したつもりでも、乾いてから空気中に菌が混ざってしまうことがあります。
また、保育園のおもちゃや本を介しての関節感染、手を繋いだときの接触感染などが感染経路になり得ます。
ロタウイルスの検査方法は?
ロタウイルスはウイルス性胃腸炎の原因になる菌の一種です。激しい下痢や嘔吐などの症状がみられますが、ただの胃腸炎なのかロタウイルスによるものなのか、症状だけで見分けることはなかなか難しいものです。
しかし、先ほどお伝えしたように、赤ちゃんや老人がロタウイルスから胃腸炎を発症すると、ひどい症状とともに脱水症状を起こす可能性などもあるため、
周りの家族が胃腸炎にかかった場合などはそれがロタウイルスなのか、うつしてしまう可能性があるのかを理解できた方が安心です。
では、実際にロタウイルスの検査ではどんなことをするのでしょうか?
血液検査も存在しますが、ロタウイルスは、基本的には便の中にウイルスが存在するかどうかを調べる検査キットを使用して検査をします。
保険適用の範囲内で、注射の痛みなどを伴わずにすぐに結果がわかる、とても簡単な検査です。
ロタウイルスの検査が受けられる場所
ロタウイルスの検査は、どんな病院でもほぼ受けることが可能な検査です。
特別にいつもと違う病院に行く必要はないので、検査を希望する場合はかかりつけの内科や小児科などで希望を伝えてみてください。
特にかかりつけの病院がない場合は、総合病院であればまず間違いなく検査を受けられるはずです。
費用や時間など、その他の詳細
検査費用
病院に検査に行くとなると、気になるのは実際にかかる費用や時間などの細かい部分です。ロタウイルスの検査は、迅速診断キットにより、診断可能です。保険診療となり、数千円程度です。
時間
特に子供の場合は具合の悪いときに長時間病院で待たされるのはとてもつらいものです。検査にかかる時間がとても短いのがこの検査のメリットのひとつです。
便の検査をしてからわずか10分から15分もあれば、ロタウイルスの感染の有無がわかります。
対象年齢
薬や検査の中には、たとえば赤ちゃんでは受けられない検査や、飲めない薬などがあります。しかし、ロタウイルスの検査は赤ちゃんから老人まで誰でも受けることが可能です。
注意点
ロタウイルスは、検査のタイミングなどによって、感染していても陽性反応が出ない場合があります。そのため、検査結果は100%ではない、ということは覚えておく必要があります。
検査と同様に予防も大切
検査によってロタウイルスであることがわかった場合には、とにかく家族や他の人などに感染させない、ということが大切です。
ロタウイルス自体は発症しているところに効果的な抗ウイルス剤や治療法などは今のところなく、体外に菌を排出するしかありません。
発症中はなんとかひどい下痢をおさえてほしい、と思うほどつらいものですが、下痢は体がどうにかしてウイルスを体外に排出しようとするからこそ起こるものです。
そのため、下痢止めなどは一般的には処方されず、脱水症状を起こさないための処置や、なるべく体力を消耗せずにウイルスを出し切るように対処するしかありません。
そのため、検査はもちろん重要ですが、予防や感染をふせぐための知識が非常に大切です。
ロタウイルスの予防法
あまり知られていませんが、ロタウイルスには2種類のワクチンがあり、予防接種を受けることができます。
ただし、予防接種を受けたからといって100%感染が予防できるものではないことと、ロタウイルスそのものが重篤な病気になる菌でもないため、ロタウイルスの予防接種は乳児に義務とされているワクチンではありません。
それでも赤ちゃんや老人がかかれば深刻な合併症の可能性も否定できない上に、他の家族への感染も懸念されるため、予防接種を受ける人も少なからずいます。
予防接種の費用は1万円から1万5000円ぐらいです。悩んでいる場合はかかりつけの医師に相談してみても良いでしょう。
感染を拡大させないために
ロタウイルスの感染や拡大を防ぐためには、洗濯やおむつの交換時に注意が必要です。保育園などで集団生活を送る子供は、いつ感染してしまうかわからないもの。
知らず知らずのうちに子供が感染していたときに家族への感染を防ぐためにも、しっかりとした知識を備えておきましょう。
ロタウイルスはアルコール消毒では死滅しない菌です。赤ちゃんのおむつを交換するときには使い捨てタイプの手袋をし、その都度処分するのが安全です。
また、ロタウイルスかどうかがわからなくても、嘔吐や下痢などの症状で服や寝具などが汚れた場合には、85度以上の熱湯に1分以上浸けて消毒をしてください。
胃腸炎の症状があればロタウイルスかも
特に冬場に胃腸炎の症状があれば、ロタウイルスの可能性があります。小さい子供は保育園や学校などで感染してしまったり、逆に感染させてしまうことも。
日頃から感染を極力防ぐことができるように気をつけて、感染の疑いがあれば検査や、徹底した熱消毒で感染の拡大を防ぐようにしましょう。
(監修:Doctors Me 医師)
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Doctors Me 2016/11/25