不倫女子は略奪婚で「いい嫁」になれるのか……【少女マンガに学ぶ不倫】

こんにちは、少女マンガ攻略・解析室室長の和久井香菜子です。

「若い」とはどういう意味か。
新陳代謝が活発なことに加えて「傲慢であること」のような気がします。

自分の想像力は、せいぜい自分の年齢までしか働きません。
親のこと、先生のこと、かなりナメてましたよね~。
10代の頃は、とにかく人を攻撃したがるもので、
「あんなことするなんて、恥ずかし~い!」
「信じられなーい!」
とか言って自分の価値観とちがう人のことを大いにバッシングしてました。
20代、30代の頃にも、どれだけまわりの大人たちが自分を許してくれていたかとしみじみ思います。
大した経験もないくせにわかった気になっていたなあと思います。
そういうのって、大人の人は全部見抜いてるんですよね。

今、まさに自分がそんな感じで、傲慢に振る舞う若者たちに多少腹を立てながらも、
「いや~、でも自分も同じことをしてきたからなあ」
と思っていさめてます。

とまあ、人は誰かに迷惑をかけずに生きられないものだし、自分の経験にないことは遠く理解が及ばないものだと思うわけですよ。

■今週の教科書『貴船の道(きぶねのみち)』

※「貴船の道」は『二日月 (山岸凉子スペシャルセレクション 8) 』(潮出版社)に収録されています。

短編なのでご存じの方は多くないかもしれません。
人間の心の奥底を描かせたらめっちゃ怖い、山岸凉子先生の作品です。

主人公・真紀子は、とある男性と不倫をしていました。
彼には妻がいましたが2人の子どもを残して病死、主人公は後妻に収まります。
忙しくてなかなか家に居着かない夫。
慣れない家事、自分になつかない子どもの世話に翻弄されるうちに、彼女は先妻の霊を見るようになります。
そして、家に居着かない夫に対しては、不倫を疑い始めます。
なぜなら、自分がやってきたことと同じ状況だからです。
自宅への電話(この頃はまだ携帯がなかったんですね)を、こそこそと後ろめたそうに取る。
大事な日に「仕事で遅くなる」と言って帰ってこない。
主人公は、自分が夫と不倫中、家庭よりも自分を選ばせていたことを思い出します。

自分がいかに自己中心的な論理でものを考えていたか、先妻を傷つけていたかに気がつくと、今度は自分が先妻と同じ立場にあることにも気づきます。
「生活という積み重ねの部分を切り捨てて、おいしいとこ取りの愛人」だったけれど、結婚して家庭に入ると、自分は彼の「生活の一部」になるわけです。そうして、また誰かほかの人が「おいしいとこ取りの愛人」になるんだ、と考えるようになります。

「彼は運命の人、出会ったのが遅かっただけ」と思っていたのは、自分の思い上がりだったと気づきます。
「自分のしたことは結局自分に返ってくる」と。

■真紀子に学ぶ「不倫略奪婚のその後」

この作品が怖いのは、単に後妻を恨んだ先妻が呪って出てきた幽霊物語じゃないところです。
先妻の立場を追体験したことで、主人公はさまざまなことに気がつきます。
自分の知らなかった自分の姿にも触れることになりました。

既婚者と不倫する女性は、たいてい彼の奥さんに対して否定的です。
「私の方が彼とうまくやれる」と言います。
でもそれ、ホント?
自分が彼と結婚したら、ホントに今の奥さんよりも「いい嫁」になるの? 
彼と生活をともにして、長く続く単調な生活を繰り返したことがないのに、どうしてそう思えるの? 
そもそも「いい嫁」ってなんだ?

『貴船の道』は、経験が浅く傲慢だった自分を客観的に見つめる物語です。
主人公は、後妻に収まったあとにそれに気づき、うまく修正することができました。
彼女がどんなことに気づいたかは、ぜひ作品を読んでみてください。

若い人が経験に乏しく、傲慢なのは仕方がないかもしれません。
だけど、揚々と自分を肯定して不倫をする前に、少し客観的にものを見てみたいものです。
本当にその夫婦の関係が終わっているなら、自分とつき合う前に別れるべきかもしれないし、妻に自分の存在を納得してもらう必要があるのかもしれません。
隠れてこそこそする時点で、「悪いこと」をしているわけでしょう。
だって結婚は「あなた以外の人とは金輪際男女の関係を結びません」っていう約束なのだから。
たとえ男性を奪い取ったとしても、その罪悪感が自分の首を絞めることになるんだな、と思うのです。

■まとめ

私の友人で、略奪婚した女性がいます。
彼女は、家事をしないという先妻を責め、不倫相手の男性にとても同情していました。そして離婚に追いやった先妻からいつ訴えられるかわからない「爆弾を抱えている」と言っていました。
そして私は、「爆弾が思いっきり爆発すればいいのに」と思ってしまったのです。ああ、もう彼女とお友だちとしてつき合うことはできないな、と思い、距離を置くことにしました。

自分の立場を客観視したときに、不倫のメリットがどこにあるのか。
メリットとデメリットを天秤にかけたときに、果たしてメリットが上回るのか。
ちょっと落ち着いて考えてみるのもよさそうです。
死んだ人の霊なんて見たくないですから!

(文・イラスト 和久井香菜子)

★次回の『少女マンガに学ぶ不倫の実態』は10月22日(土)掲載予定です、お楽しみに!

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