化学熱傷のときの応急処置と治療について

化学熱傷とは、高温によるやけどとは異なり、化学物質に触れただけで発生するやけどをいいます。原因となる化学物質に適した処置法が求められますが、普通のやけどとは違ってくるところがあります。化学熱傷に対する処置法などについて見てみましょう。


化学熱傷とは

化学熱傷とは、化学物質に触れることで発生するやけどです。やけどとは、高温に触れた際に起こる損傷で、中等度(軽度と重度の間)以上の深さになると水ぶくれなどが発生します。一方、化学物質によるやけどは、化学物質に触れることでやけどが起きますが、それだけにとどまりません。表皮以外も損傷することがあります。たとえば目の損傷、気道粘膜損傷、消化管粘膜損傷などの可能性があります。そして、化学物質の種類によって、やけど以外に起こるとされる損傷や症状などに注意する必要があるでしょう。


化学熱傷の症状

原因となる化学物質の種類や濃度、接触時間などによって、症状が異なってきます。やけどの深さは、I度熱傷、II度熱傷、III度熱傷という3つの段階に分けて考えます。I度熱傷は、たとえるなら日焼けで、ほとんどの場合は自然治癒で、しかも跡を残さず完治することが可能です。II度熱傷では、水ぶくれが生じ、III度熱傷は、皮膚そのものが壊死(えし)して、皮膚における痛みの感覚はほとんどなくなってしまうといわれています。
目に化学物質が入った場合、目そのものにやけどが発生すると考えてもいいでしょう。一番危険なのは、強酸や強アルカリなどです。アルカリ性の物質は、排水口などの洗剤でもよく使われています。それらの物質が目に入ると、強い痛みが生じます。あまりの痛さのためにまぶたを閉じてしまいがちですが、まぶたを閉じた状態では、目に入った物質が取り除かれず、損傷が悪化します。
また、フッ化酸素酸は、金属のさび落としや湯垢などの洗浄剤にも使われる弱酸ですが、透過性や浸透性、腐食性が高く、皮膚や粘膜などに接触してしまうと、表皮の下にある真皮(しんぴ)の深くにまで達して、局所的な障害を発生させます。目で見えている以上に、深刻な障害が起こっている可能性が高いです。その影響は接触した部分の深部組織、さらには骨にまで達することがあり、皮膚の壊死や深部組織の損傷となることが多いとされています。


化学熱傷の原因

原因となる化学物質はさまざまな種類が存在します。種類や性質などによって、やけどの程度やそれにともなう症状などが異なります。また、単独では有害でない物質も、複数が混ざり合うことによって、有害な物質に変化する可能性も否定できません。化学物質から発生するガスを吸い込んだり、液体状態の物質に素手で触れたりすることで損傷につながり、それがやけどとなることがあります。
職業上、化学物質に触れる機会が多い人は、化学熱傷を患うことも多く、危険度の高い化学物質を扱う場合は、その化学物質に関する国家資格を持つ必要があるとされています。


化学熱傷の治療と応急処置

通常のやけどの場合は、やけどした患部に流水をあてて徹底的に冷やすなどの応急処置をしてから皮膚科を受診することが求められます。やけどの範囲が広い場合には、119番通報して救急車に来てもらうことも考える必要があります。化学熱傷では、原因となった化学物質が何であるのかを突き止めたうえで、治療を行う必要があります。しかし、原因となった化学物質が特定できない場合は、治療を行いつつ、その正体を突き止めるということになります。
損傷の程度に応じて治療方針が決定されます。中和剤などによる特殊治療法や外用療法などがあげられます。重度の場合には、形成外科手術が行われることがあり、入院が必要になることもあります。
応急処置としては、有害な化学物質を拭き取り、洗い流すのが基本的です。しかし、原因となる物質が生石灰であるときには流水で洗い流す方法をとってはいけません。生石灰は水に触れることで発熱しますので、やけどの症状を悪化させかねません。化学物質によって、水が使えない場合は、水分を含んでいない清潔な布で拭き取る必要があります。
目に入ってしまった場合の応急処置方法は、医師や看護師などの医療従事者が到着するまでの間、流水で洗い流します。腐食性の高い化学物質であれば30〜120分ぐらい、継続的に洗浄を続けるべきでしょう。また、水に関しては生理食塩水でも代用可能です。


化学熱傷の対処法

化学熱傷を起こしたら、すみやかに皮膚科を受診しましょう。その際、原因となる化学物質を持参することをおすすめします。診察のときにわかっている方が、対処がスムーズにいくと考えられるからです。また、それに適した治療方針も決定されるでしょう。皮膚以外の臓器、たとえば目や気管や食道などに損傷が及んでいる場合、損傷箇所にあわせて診療科を選択しましょう。医療機関を受診する前に、汚染された着衣を脱ぎ捨て、すべて処分することが望ましいでしょう。
(この記事の監修: マブチメディカルクリニック 院長 / 馬渕知子 先生)
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