【医師監修】起立性調節障害になる原因と症状に対する治療薬まとめ

子どもの寝起きが悪いと毎朝起こすのが大変ですよね。いくら起こしても起きない子どもにイライラすることも・・・。実は起立性調節障害と言う障害かも知れません。「原因は?」「どんな症状が出るの?」「薬で治療できる?」「低血圧も関係している?」など気になる疑問に答えます。







この記事の監修ドクター

ベスリクリニック院長 田中伸明先生

日本神経学会認定医師、日本東洋医学学会専門医師、医師会産業医師。諏訪中央病院(鎌田実院長)で地域医療に従事。子どもの心と体のケアのほか、ビジネスパーソンの診療にも取り組む。
http://besli.jp/
小中学生に急増中!何が原因で起立性調節障害になるの?

朝起きられないのは性格ではなく障害のせいかも知れません。今、この障害に悩む子どもがとても増えています。
中学生の約10%は起立性障害
一般的にはまだまだ知られていない病名ですが、現在起立性調節障害に悩む子どもが増えています。日本小児心身医学会の発表でも、小学生の約5%、中学生の約10%が起立性調節障害を抱えていると言われています。10人に1人が発症していることを考えると結構身近な病気ですよね。

病院で診断を下されなくてもひそかにこの障害で苦しんでいる子どもはもっと大勢いるはずです。朝起きられないために不登校を引き起こすケースも増え、社会的にも問題になっていますが、ママ&パパが早く気づいてあげることで、適切な対応を取りやすくなります。
午前中は低血圧がひどくなる・・・原因は自律神経のズレ!?
起立性調節障害の原因は、自律神経のズレです。交感神経と副交換神経の連携がうまくいかないと、昼と夜の切り替わりに正常に反応できなくなります。自律神経に問題がなければ、朝起きた時に交感神経が活発になり、血圧や心拍も高くなり、活動的に動けるようになります。日が落ちて暗くなれば、自然に心身がリラックスし、血圧も低くなるのが自然な反応です。

ところが、起立性調節障害の患者さんは、朝になっても交感神経のスイッチが入りません。そのため、たとえ目を覚ましていても低血圧状態で、身体を動かすことができません。無理に登校しても思考力、判断力がダウンしているので、授業を集中して聞くことができません。

血圧が低いため、体育の授業で具合が悪くなることも。夜になっても副交換神経ではなく交感神経が活動し続けるため、中々眠れず朝方まで起きていることも珍しくありません。生活リズムはどんどん狂っていきますし、その影響でさらに自律神経が乱れ、悪循環に陥るパターンが珍しくありません。
自律神経の働きを改めてCheck!
起立性調節障害の話をするためには、自律神経の知識が欠かせません。自律神経は人間の身体を自動的にコントロールする神経で、食べ物の消化や睡眠中の呼吸、運動中の心拍、興奮時の血圧などを司っています。交感神経と副交換神経が交互に働くことで心身の健康はうまく保たれていますが、このバランスが崩れると起立性調節障害など心身の不具合が生じます。

■交感神経→運動など身体をアクティブに動かす時に優位になる神経

■副交換神経→睡眠や食事など身体がリラックスするときに優位になる神経
もしかして起立性調節障害?特徴的な症状

小学生から思春期を迎える年齢に多い起立性調節障害になると、どんな症状が現れるのでしょうか。
朝起きられないのはサボり癖じゃなく起立性調節障害のせい?
自分の子どもが朝起きられないのは、だらしない性格、サボり癖のせいだ・・・と悩んでいませんか? 実は、起立性調節障害になると、本人に起きる意思があっても自律神経の乱れのせいで身体を起こすことがままなりません。大きな音が出る目覚ましやママの怒鳴り声でも起きられないのは、特徴的な起立性調節障害の症状です。血圧が低く意識が朦朧としているため、朝の騒動をほとんど覚えていないことも珍しくありません。
疲れやすく疲れが残りやすいのも症状の1つ
若いのにすぐに疲れて、休んでも一向に回復しない我が子を見て、なんて頼りない、体力がない子どもだとがっかりした経験のあるママも多いでしょう。本当に運動不足や体力不足で疲れやすくなっているケースもありますが、起立性調節障害が原因で疲労回復が遅れている可能性もあります。このような状態で無理に身体を動かすと倒れてしまうかも知れません。血圧が低くなっているので、ハードな運動は禁物です。
ちょっと運動すると息切れや動悸がするのも起立性調節障害の特徴
起立性調節障害の子どもは体育の授業を嫌がる傾向があります。症状がひどいと、準備運動で身体を動かしただけでハアハアと息切れがして、具合が悪くなることも。周りにからかわれて辛い思いをする子どもも多いようですが、自律神経の乱れから血行が悪くなり、全身に酸素がうまく運ばれていない状態です。

具合が悪いと感じたら無理はせず、横になって血流が回復するのを待つしかありません。家でもいつも横になっているため、「だらしない」と怒られる子どもも・・・。性格ではなく障害のせいだと分かれば、ママもイライラすることが減るかも知れません。
深夜まで起きているのも障害が原因?
子ども部屋の明かりが深夜までついていると、「寝なさい!」と思わず怒鳴り込んでしまいたくなるママもいらっしゃるでしょう。朝起きないのに夜遅くまで起きていると、夜寝ないと悪いと憤りを覚えるのも無理はありません。ただ、もし起立性調節障害なら、身体は疲れていて眠りたくても、交感神経のスイッチが入りっぱなしになっているせいで、中々寝つけない状態です。

よくある安眠のコツなどを試してもうまく効果が得られないことも。一度本人に寝る意思があるのかどうか、冷静に聞いてみる必要があります。病的に眠れない悩みは本人にとって想像以上に辛いことですから。
立ちくらみや頭痛でフラフラ
起立性調節障害の子どもが学校に行くのを拒む理由の1つに、朝礼が辛いということもあるようです。起きるだけでも精一杯なのに、学校に到着すると朝礼が始まります。登校するだけで体力の限界を感じているところに長時間立ちっぱなしを強いられ、毎朝冷や汗を流し、立ちくらみや頭痛と闘っている子どもも。ギリギリまで我慢して転倒し、頭を打って怪我をする可能性もあるので、早い段階で障害を抱えていることを見つけてあげる必要があります。
病院で治療を受ければ起立性調節障害は治る?

朝起きられない、などの症状があまりにもひどい場合は、医療機関に相談しましょう。障害のせいで色々なことができずにいるのに、ママやパパに罵倒され続けると精神的にも悪い影響が及び、症状が悪化する可能性があります。
何科を受診すれば良いの?午前中の受診がおすすめ
もし小学生ぐらいの子どもなら、まずは小児科で相談してみて下さい。中学生以降なら精神科や心療内科で診て貰いましょう。大人の場合も精神科、心療内科が構いませんが、循環器科でもOKです。いずれにしても、この障害について詳しい先生がいる病院を探すのが理想的です。

本を執筆しているような起立性調節障害のエキスパートはほとんど小児科医なので、病院が通える範囲にあれば中学生、高校生でも小児科を受診しても問題ありません。無理は禁物ですが、できれば代表的な症状が現れている午前中に受診すると、診断の参考になるかも知れません。
新起立試験など複数の検査で診断を確定
病院ではこれまでの症状などについて問診を行い、医師と患者がスムーズにコミュニケーションを取れるよう医療面接を行うのが一般的です。ママは今までに感じた普通と違う症状、エピソードをメモしていくと良い参考材料になります。子どもにも、本人が辛いと感じていることをヒアリングしておくと良いでしょう。

起立性調節障害と似た症状が出る他の病気もあるので、血液検査や尿検査、心電図、胸部レントゲン検査など複数の検査を実施します。基本的な検査で問題がなければ、起立性調節障害の診断を確定し、どのタイプの障害が詳しくチェックするために新起立性試験を行う流れになります。
最初は薬を使わない生活療法からスタート
起立性調節障害と診断されても、すぐに薬が処方されるわけではありません。睡眠薬も副作用があるものが多く、長期スパンで服用することで効きにくくなるものも。薬に頼らなくても自律神経を整える対策に励み、徐々に症状を緩和する方針で治療が行われます。

薬物療法を行う時も、非薬物療法に取り組んでからではないと、薬を処方しない医療機関が大半です。一定量水や塩分を摂取してからではないと効きにくい薬もあるので、まずは医師の指示通り、生活習慣の改善に励みましょう。治療がうまく行けば、1年後には約50%、3年後は70%から80%の確率で回復することが分かっています。(「改訂起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応(田中英高)」の統計データより)。

■朝起きる時間と寝る時間を3日ごとに30分ずつ早くする

■たっぷり水分を摂取する(1日約1.5~2リットル)※塩分も1日10~12グラム摂取

■いきなり立ち上がらない、立ち上がる時は30秒以上足踏みしてからゆっくり立ち上がる

■はじめに頭を屈める姿勢を取ってから歩く癖をつける

■高温になる場所を避ける

■身体の調子が悪い時もできるだけ横にならずに我慢する

■日が暮れて体調が回復した頃散歩など軽い運動をする

■午後具合が悪くなければなるべく登校、出勤

■靴下でむくみを予防

■テレビやゲーム、スマホは夜9時以降控える

夜型の生活を朝型に戻すために、大人と同じ生活リズムで暮らすのは避け、意識して早寝早起きを心がけることが大切です。寝る時間になったら部屋全体を暗くして、明るい光を見ないようにします。朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。週末だけ夜更かしする子どもも少なくありませんが、規則正しい生活を送るためにも平日と土日の起床時間を揃えることも重要です。
薬物療法で処方される薬
起立性調節障害は、薬だけで治りにくい病気なので、非薬物療法と並行して薬を処方するのが特徴です。
■ミドドリン塩酸塩(メトリジン)
自律神経の交感神経を刺激し血圧を上げるための薬剤。体重によって服薬量が決まるので、10歳未満の子どもなら1日分1~2錠。吐き気などの副作用が現れる可能性がありますが、1%未満なので気にする必要がないレベルだと考えられています。
メチル硫酸アメジニウム(リズミック)
自律神経の交感神経の働き刺激し、強めるための薬剤。0.1~5%の割合で動悸などの副作用が報告されています。10歳未満の子どもは1日0.5錠。
プロプラノロール(インデラル)
交感神経を刺激し、身体のスイッチを入れる作用があるミドドリン塩酸塩、メチル硫酸アメジニウムとは反対に、心拍数を下げるための薬剤。起立性調節障害の中でも、体位性頻脈症候群と診断された患者さんにだけ処方されます。5%未満の割合で徐脈、うっ血性心不全などの副作用が出る可能性があり、気管支炎喘息の子どもに処方することはできません。

その他、漢方療法では、苓桂朮甘湯(りゅうけいじょつかんとう)が処方されることも。立ち上がる時に目がくらんでしまう症状によく効く漢方薬です。

まとめ

子どもに多い起立性調節障害の原因や症状についてお話させて貰いましたが、いかがでしたでしょうか。午前中のひどい低血圧などで朝起きられない患者さんも。性格やサボり癖のせいと誤解されることが少なくありませんが、病院で非薬物治療や薬物治療を受ければ3年後には70%から80%の確率で回復する見込みがあります。

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