O-157食中毒と家庭でできる予防の三原則【ママ女医と娘の○○な日常 vol.12】

先日、O-157食中毒を起こした3歳の女の子が死亡するという報道がありました。この夏、O-157を含む腸管出血性大腸菌の食中毒が多数起きています。O-157の解説と家庭で出来る予防法、お惣菜を買う時の注意点について解説します。







記事の著者  

のんびり子育て中のママ女医   HAL先生

内科医。大学病院研修中にうつ病を発症し、数年間療養生活を経て復帰。その後、病気の間支えてくれた医者の夫と結婚し、娘を出産。現在は田舎で夫、3歳の娘と暮らす。自身の出産・育児の日々をもとに、医学的なエビデンスを交えて育児情報・ニュースなどをブログで発信。またTwitterでは、娘との会話や、ほっこりあたたまる育児エピソードも紹介し、注目を集めている。

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O-157ってなんですか?

O-157は大腸菌の1種です。大腸菌は、その名の通り、皆さんの腸に普通にいる細菌の一つです。ほとんどのものが無害なのですが、悪さをするタイプの大腸菌がいます。

悪さをする大腸菌を「病原性大腸菌」と言い、その中でも出血を起こすような腸炎を起こしたり、HUS(溶血性尿毒症症候群)という非常にやっかいな病態を起こす大腸菌を、「腸管出血性大腸菌」と分類しています。腸管出血性大腸菌にもたくさん種類があるのですが、その中で代表的なものがO-157なのです。

O-157に感染するとどうなるの?
O-157を含む腸管出血性大腸菌は、ベロ毒素(志賀毒素)と呼ばれる毒素を産生します。O-157に汚染された食品を食べると、腸の中でじわじわと菌が増殖します。増殖する時に、この毒素を作り出します。そのため、症状が出るまで時間がかかります。O-157の潜伏期間が長い(1週間程度)のはこのためです。

この毒素が腸や腎臓など、体の中のあちこちで悪さをします。その結果、下痢や腹痛、血便といった腸炎の症状だけでなく、腎不全や溶血性貧血(赤血球が壊れて起こる貧血)、血小板減少といったHUS(溶血性尿毒症症候群)を起こします。

O-157に感染して死ぬことってあるんですか?
O-157に感染した場合、下痢や嘔吐を伴いますが、多くの人は1週間程度で改善します。しかし、3日以上続く下痢、高熱を伴う下痢、血便、嘔吐で全く水が飲めない、尿がほとんど出ない……そのような症状がある場合には、医療機関にご相談ください。

さらに、特に5歳未満の小児及び高齢者は、前述したHUSという命に関わる合併症を起こすことがあるので、注意が必要です。HUSは、腸管出血性大腸菌に感染した人の1〜10%に起こり、そのうち20〜60%は透析療法が必要となります。急性期の死亡率は2〜5%と言われています。HUSは小児や高齢者といった抵抗力の弱い人に起こりやすいため、特に注意が必要となります。

家庭でできる予防法、食中毒の三原則

今回事件になったようなポテトサラダを買い控えすることは、本質的な予防とは言えません。本来、一般的な食中毒対策をした施設で作られたポテトサラダであれば、O-157に汚染される可能性は低い食品です。

食中毒の三原則、菌をつけない・やっつける・増やさない。これを元に予防法を解説します。
菌をつけない 〜肉に触ったもので、他の食材を触らない〜
O-157はどこにでもある菌というわけではありません。主に、牛の腸にいます。そのため、肉にはO-157がいるもの、と思って処理しましょう。

まな板や包丁、手、食器、箸など、肉を触ったもので、野菜等他の食材を扱わないようにしましょう。必ずきれいに洗浄しましょう。他の食中毒を防ぐ意味でも、肉・魚・卵を扱った場合はきちんと他の食材と分けて調理しましょう。特にサラダなど、生食の予定のものは決して包丁をそのまま使い回してカットしてはいけません。肉類を扱う前に、先に生食するものの下ごしらえをする方が効率的です。

また、野菜が原因とされるO-157食中毒もあります。アメリカでほうれん草が原因の集団食中毒を起こしたことがありましたが、この時はイノシシが農場に入り込み、農場を汚染させたのではと推測されています。野菜はきちんと洗いましょう。

菌をやっつける 〜肉は必ずしっかり加熱する〜
塊の肉であれば、表面を焼けば菌は死滅します。しかし、加工肉やミンチ、筋切りをしたものなどは内部にまで菌が入り込んでいますので、中心部までしっかり火を通しましょう。『75℃・1分以上』が目安です。
菌を増やさない 〜作ったらすぐに食べる・食べない場合は冷やす〜
食事を作って放置しておくと、菌がいた場合、増殖して食中毒の危険が増します(常温ではO-157は15分程度で2倍に増えます)。調理後は早めに食べましょう。

もし食べるまでに時間がかかる場合は、冷蔵庫に保管する方法もあります。低温で菌が死ぬわけではありませんが、菌が増えるスピードが落ちます。野菜を保管する際にも、冷蔵庫を上手にご利用ください。
手洗いはしっかりとこまめに!

食材を触るときは勿論、トイレの後、食事の前には必ず手を洗いましょう。手には思わぬところで菌が付くものです。
店で調理・販売されているお惣菜の食中毒対策

では、家庭では予防ができたとしても、もし店で調理・販売されているお惣菜などが汚染されていた場合はどうするか? これについては、(まずは食中毒対策を店にとってもらうことが大原則ではありますが)対策がなかなか難しいところです。

確かに、購入者がトングなどで取り分ける量り売りについては、店側で個別にパッケージされたものよりも菌が付着する可能性はあがります(一つのメニューが汚染されていたら、他の物も汚染される可能性が出てくるため)。しかし、トングが清潔だからといって解決する問題ではありませんので、これだけを判断材料にするのはおすすめできません。「総菜を買いたいけれど心配……」と言う方は、以下の基準を三つ頭に入れておいてください(これで全ての食中毒を防げるわけではありませんが、危険を下げる事ができます)。

•5歳未満の子供やお年寄りが食べるか

•調理から常温のまま長時間経過していないか

•再加熱できるか

今回のポテトサラダの様に、「家に帰ってもそのまま食べるもの」は、重症になりやすい5歳未満の小児や高齢者は気をつける必要があると私は考えます。更に常温で時間が長く経過しているものほど、菌が増えている可能性があります。それに対して、家に帰って再加熱して食べるものの方が、危険性は少ないです。電子レンジでも『75℃・1分』の条件をクリアすれば、菌を死滅することが可能です。

知っておきたい食中毒・正しい手洗い方法
今回事件のおきた店は、包丁の使い回しなどその対策に不備があったことは間違いないようですが、これだけ多数の食材・店舗で食中毒を起こしたという事は、なにか更に別の理由があるのは……? と考えてしまいます(あくまでも個人的な意見です)。

トングの使い回し自体は、O-157に汚染された食材が広がる可能性はありますが、今回の本質的な原因とは言えません。O-157は潜伏期間が長いため、原因を探るのが難しいことがある食中毒です。今回、感染経路の究明は難しいかもしれません。

政府広報オンラインが食中毒についてまとめてくれています。O-157だけではなくさまざまな食中毒が、共通した予防法で防ぐことができます。正しい手洗いのやり方なども書かれていますので、ぜひ一度、読んでいただけたらなと思います。

http://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/index.html
まとめ
食中毒は、注意することで減らすことができます。それでも、毎日食事をする以上、どうしても危険はゼロにはできません。家族の中でも、抵抗力の強い人は症状が出なかったり、症状が軽かったりしますので、はっきりしないことも多々あります。

下痢や嘔吐など、気になる症状が子どもだけに出ることがあります。下痢止めは症状を悪化させることがありますので、もし食中毒かなと思う症状が出た時には、自己判断せず、一度医療機関にご相談ください。

<参考サイト等>

溶血性尿毒症症候群(HUS) – 日本小児腎臓病学会

http://www.jspn.jp/file/pdf/20140618_guideline.pdf

腸管出血性大腸菌Q&A/厚生労働省

http://www1.mhlw.go.jp/o-157/o157q_a/

Shiga Toxin-Producing E. coli & Food Safety | Features | CDC

https://www.cdc.gov/features/ecoliinfection/index.html
(HAL)

※記事内の画像はすべてイメージです

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