皮膚掻痒症の原因と治療の進め方

強いかゆみを引き起こす皮膚掻痒症の治療では、その原因を突き止めることが重要となります。原因に基礎疾患がある場合には、まずその疾患の治療を優先して行い、それ以外の場合には、保湿治療薬を中心とした最適な治療を行います。


基礎疾患のある場合には、その治療を最優先

見た目には、異常がないように見えるのに、強いかゆみを感じる皮膚掻痒症は、さまざまな原因により発症します。かゆみを引き起こす原因をしっかりと突き止めることが治療の第一歩となるため、必ず専門医と相談をしましょう。皮膚掻痒症は、身体のどの部位に出現しているのか、また、その範囲によっても原因が異なってきます。皮膚掻痒症には、全身にかゆみが起きる汎発性(全身性)皮膚掻痒症と、身体の一部分にのみ、かゆみが起こる限局性皮膚掻痒症の2種類に分けられます。
汎発性(全身性)皮膚掻痒症とは汎発性(全身性)皮膚掻痒症の場合には、基礎疾患として内臓疾患などが原因の場合があります。内臓疾患として、腎機能障害や肝機能障害、がんや悪性リンパ腫、痛風、糖尿病、甲状腺疾患、血液疾患(鉄欠乏性貧血や多血症など)、精神神経疾患、寄生虫疾患、薬剤中毒などが考えられます。
その他にも、疾患治療のために使われる治療薬の副作用や透析などの治療により、皮膚掻痒症が引き起こされる可能性もあります。透析治療では、約8割の患者の方に、皮膚掻痒症の症状があらわれているという報告もあります。
限局性皮膚掻痒症とは限局性皮膚掻痒症は、女性の場合には外陰部、男性の場合には肛門周辺に症状が多くあらわれます。外陰部皮膚掻痒症は、カンジダ、真菌、HPV(ヒトパピローマウイルス)、トリコモナス、細菌などによる感染が原因となります。肛門周辺の皮膚掻痒症は、男性の中でも青年期と壮年期に多く症状があらわれ、その原因は、便秘、下痢、痔、脱肛などのほか、排尿障害、前立腺肥大、前立腺がんなどの場合も考えられます。このような疾患が発見された場合は、まずは、その疾患治療を最優先することが重要となります。


肌の乾燥が原因の場合は、保湿が基本

基礎疾患が認められない場合には、皮膚の乾燥が強いかゆみの原因となります。肌の乾燥が原因の場合、基本治療は保湿を十分に行い、皮膚や粘膜のうるおいを取り戻すことが大切です。主として使われる保湿治療薬は、ヘパリン類似物質添加外用剤、尿素を含んだ軟膏、ワセリンなどで、症状があらわれている肌の状態や、肌質にあった保湿剤を使用することをおすすめします。
自分にあった保湿治療薬を、かゆみがでている部位を中心にして入浴後20分以内に塗ることで、皮膚の乾燥を防ぐとともに、強いかゆみを緩和することが期待できます。
また、肌だけでなく、生活環境も乾燥させすぎないように注意しましょう。特に冬場は、湿度が低く乾燥しやすいうえ、暖房器具の使用などで、さらに空気が乾燥しやすくなります。室内では、加湿器を使ったり、洗濯物を室内干ししたりして、積極的に室内加湿を行いましょう。55〜65%程度の湿度を保つように湿度計を室内に設置するのもおすすめです。
ほかにも、電気毛布や電気マットなど、肌に直接触れやすい電化製品は、素早く温めるのと同時に、肌を乾燥させてしまう場合もあるため使用の際には十分に注意しましょう。


その他の原因に対する治療法

皮膚掻痒症は、乾燥以外に心理的ストレスが原因となって引き起こす場合があり、そのようなケースでは、専門医による十分なカウンセリングを受診することをおすすめします。カウンセリング内容によっては、抗不安薬、安定剤などが処方されることもあります。日頃から免疫力を低下させないことや、ストレスを溜めすぎないように、自分なりの緩和、発散方法を見つけておくことも大切です。
また、かゆみをなるべく引き起こさないためには日常生活の改善にも積極的に取り組みましょう。食生活では、バランスよく栄養素を補給し、血糖値を急激に上昇させない食べ方を学び(にしやま由美式ダイエットプレート)、カフェインやアルコール、香辛料といった刺激物はなるべく控えましょう。
下着など肌に直接ふれるものは、刺激を与えやすいとされる素材(ウールやナイロンなど)よりも、肌触りのやさしい木綿製を選ぶことも大切です。そして、肌自身を清潔に保つことも忘れてはいけません。入浴時に固いタオルやあかすりなどで力強くこすり洗うのは、かゆみの症状を悪化させることもあります。低刺激性のボディソープなどを十分に泡立てて、柔らかいタオルや手のひらでやさしく洗うようにしましょう。


症状を悪化させないために

日頃から肌の状態に気をつけているけれど、それでもなかなか症状が改善しないという場合には、必要に応じて適切な治療薬を使用します。皮膚掻痒症によるかゆみは、一度かゆくなりだすとなかなか症状がおさまりにくいため、時には、皮膚に傷がついてしまうほど掻いてしまうこともあります。
このようなことにならないように早めに抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤などの内服薬や、ステロイド外用薬を使用しましょう。かゆみが強くなった場合には、早めに皮膚専門医と相談することをおすすめします。ほかにも、東洋医学の漢方では、血流を整えて皮膚の乾燥を和らげる作用の処方薬もあります。
(この記事の監修: 医療法人桃姫メディカル 理事 / 西山由美 先生)
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