眠りが浅いと悩んでいませんか? その原因と改善策【専門家監修】

人は、夜中に何度も目が覚めたり、朝起きても疲れが取れていなかったりすると、「眠りが浅い」と感じるものです。だけど、健康的な毎日を過ごすためには、質のいい睡眠が大事であるのは誰もが知るところ。では、毎朝気持ちよく目覚めるためにはどうすればいいのでしょうか。眠りのプロである、ナイトケアアドバイザー・小林麻利子さんに、眠りが浅くなる原因とその改善策をアドバイスしてもらいました。

■眠りが浅いとは、どんな状態を指すの?

「夜、なかなか眠れない」「途中で何度も目が覚めてしまう」「まだ眠いのに朝早く目が覚めてしまう」……など、睡眠の悩みは切実なもの。では、どうして睡眠は浅くなるのでしょうか?

◇睡眠の種類とメカニズム

小林:まずお伝えしたいのが、よく「レム睡眠=眠りが浅い、ノンレム睡眠=眠りが深い」と言われますが、レム睡眠は浅い眠りとは一概には言い難く、確かに脳は覚醒には近い状態ですが、筋肉の弛緩が著しかったり心拍数や呼吸数が不規則です。

睡眠には段階があり、眠りはじめには脳を積極的に休息させるノンレム睡眠が1→2→3→4段階へと深くなっていき、今度は4→3→2→1と浅くなり、レム睡眠が出現します。これが睡眠のメカニズムです。

◇ぐっすり眠るために必要なこと

小林:熟睡するためにもっとも重要なのは、ノンレム睡眠の3~4段階。寝始めてから1時間半以内に、いかに睡眠段階4まで深く眠れるかどうかがポイントになります。というのも、この1時間半の間に睡眠段階3~4が出たときに初めて、成長ホルモン(脳の疲労回復や、細胞の修復・増殖を促すホルモン)が分泌するからです。そして、これがトリガーとなって、次の睡眠周期に深い眠りが出現し、再び成長ホルモンがぐぐっと分泌するわけです。

◇「眠りが浅い」とは……

小林:1時間半以内にぐっすり熟睡状態までいかなければ、途中で何度も目が覚めたり、本来なら朝が近づくにつれて出なくなるはずの3~4段階が起床時間帯に出現してしまってすっきり目覚められなかったり、成長ホルモンがしっかり出なくて起きても疲れが取れていなかったり……となってしまうのです。これがよく言われる「眠りが浅い」状態です。

■眠りが浅くなる原因は、現代の生活習慣にあった!

睡眠のメカニズムがわかったところで、「なぜ眠りが浅くなってしまうのか」、その原因と改善策について小林さんに教えていただきました。

◇15時以降の仮眠は夜の熟睡を妨げる

小林:眠りが浅くなってしまう一番の原因は、15時以降の「仮眠」です。睡眠段階2での軽い昼寝はむしろ脳を回復させ仕事もはかどらせますが、ものすごく疲労がたまっていて、寝不足の状態で夕方以降につい仮眠をとってしまうと、一気に睡眠段階3~4が出てしまいます。そうなると、逆に夜の睡眠で3~4段階が出なくなり、眠りが浅くなってしまいます。ですから、眠りが浅いと感じている人は、どんなに眠くても通勤電車やオフィス、夕飯後のうたた寝は決してしないようにしましょう。

◇入浴で深部体温をコントロールする

小林:眠る前に「深部体温」(脳や内臓など体の中心部の温度)が下がっていないことも浅い眠りを引き起こします。実は、深部体温の上下変動幅が大きく、低下する時間が短いほど、ぐっすりと深く眠れることがわかっています。本来なら深部体温は体が睡眠モードに入れば自然に下がっていきますが、女性は特に月経前の高温期は、なかなか下がりにくいのです。結果、眠りが浅くなり、イライラしたり憂鬱な気分になったりということが起こります。

では、深部体温を急降下させるにはどうすればいいのか。ずばり、脳を錯覚させるのです。深部体温をさらに上げることで、「このまま体温が上がり続けるとまずい」と脳に思わせればOK。「体温を下げろ」と命令を出すため、血管が広がり、一気に放熱し、深部体温が急降下します。

上げる体温の目安は、舌の下ではかる基礎体温計で+1℃。体温計がなければ、手の甲や額から汗がじんわり出るまでお風呂に浸かりましょう。シャワー浴よりも湯船に浸かったほうが、結果的に深部体温が下がる研究報告もあります。40度前後のお風呂に10分~20分ほどゆったり浸かりましょう。

どうしてもお風呂が面倒な場合や疲れがひどく早く寝たいときもあると思います。でも疲れているからこそ、体や脳の修復をしてくれる睡眠を優先させる必要がありますよね。そんなとき、そのまま寝るよりも、体温低下を促したほうが効率のよい眠りになるので、お風呂は睡眠のためと割り切って、夜は浸かるだけ、髪は朝に洗うなど「分浴」することもおすすめです。

◇副交感神経を優位にするうっとり習慣を身につける

小林:寝つきをよくするためには、自律神経の副交感神経が優位になり、体が休息モードになっていなければなりません。しかし、忙しく働く現代女性は、仕事のストレスや残業などで夜遅くまで考え事をしたりと、交感神経が興奮した生活をしてしまっています。ですから、眠りが浅いと感じる人は、副交感神経を優位にする=「うっとりする」行動を意識しましょう。手っ取り早く「うっとり」する方法を3つご紹介します。

☆呼吸

まずひとつは、呼吸です。「3秒吸って、2秒止め、5秒吐く」という呼吸を1分間で6回繰り返しましょう。ゆっくり吐くことで副交感神経が優位に切り替わります。日中から眠りが浅くなる原因を作ってしまっている方は仕事中にも行ってほしいですね。

☆ウォームインプット

これは、目や耳など絶えず情報をインプットしている部位を、湿らせて温めたおしぼりなどで10分ほど温めること。単純に血行がよくなって疲れがとれるというのもありますが、たとえば目を温めると、ストレスホルモンの数値が下がるということがわかっています。

☆夜用の香り

“日中に使わない”とっておきの香りを用意しておくことも大事。嗅覚は五感の中で唯一、脳にダイレクトに伝わるので、うっとりしやすいんです。「この香りをかぐと、なんだか呼吸がゆっくりになるな」と心地よく思える香りであれば、ペットの耳の匂いでも、彼のシャツの匂いでも、何でもOKですよ。

■眠りが浅いときにやりがちなNG行動って?

生活習慣の乱れによって浅くなる睡眠。「仕事が忙しいから」と言い訳をして、寝酒や睡眠導入剤などに頼ってしまっているという人もいるはず。だけど本当にそれらが質のいい眠りを促してくれるのでしょうか?

◇寝酒は逆効果

小林:寝酒は絶対にNGです。寝つきはいいかもしれませんが、眠りが浅くなるということが科学的に証明されています。またお酒は利尿作用もあるので、寝ている途中にトイレに行きたくなり、何度も起きてしまうことにもつながります。飲むなら、夕食時に嗜む程度にとどめましょう。

また今は各メーカーからさまざまな睡眠サプリメントが出ていますが、安易に使用するのは依存につながりますので避けましょう。まずは生活習慣を改善することからはじめましょう。その上で、どうしても眠れないということであれば、自己判断ではなく然るべき専門家に相談してみてくださいね。

■「眠りが浅い原因と、その改善策」まとめ

考え方・過ごし方を少し変えるだけでできる快眠対策がたくさんありましたね。生活習慣を改善すると、より質の高い睡眠が得られるようなので、「これなら私にもできそう!」と思えるものは、どんどん試してみてください!

(監修:小林麻利子、取材・文:ヨダヒロコ/六識)

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