【医師監修】子どものヘルペスの薬を使用する際の注意点

子どもも感染するヘルペスウイルス。ヘルペスで症状が出たときはどのような薬が治療に使われるのでしょうか。「ステロイドはヘルペスに効くの?」、「飲み薬、塗り薬の副作用は?」、「市販薬はあるの?」など、気になることをまとめました。







この記事の監修ドクター

皮膚科 小澤 佑美 先生

医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

現在同じく皮膚科専門医の妹とともに父の開業するクリニックで皮膚科・美容皮膚科を担当しています。女性ならではのキメ細やかな診療を心がけています。日本美容皮膚科学会、女医+(じょいぷらす)所属。

「リンデロン軟膏®」などステロイド外用薬のヘルペスへの影響

皮膚の赤みやかゆみを和らげるリンデロン軟膏®は、病院で処方されるお薬です。以前皮膚の疾患で処方して貰ったリンデロン軟膏®が余っている場合、「ヘルペスの症状に使えるのでは?」と考える方もいるかもしれません。果たしてリンデロン軟膏®はヘルペスの薬として有効なのでしょうか。
リンデロン軟膏®とは
リンデロン®は抗炎症作用をもつ「ステロイド」に分類されるが入った薬で、内服・外用があります。外用剤は軟膏やローション、クリームがありますが皮膚のトラブルで病院を受診した時に処方されることがよくあります。配合成分によって、軟膏でいうとリンデロンVG軟膏®、リンデロンV軟膏®、リンデロンDP軟膏®、リンデロンA軟膏®・・・の4種類に分けられます。ステロイドの強さが一番強いのは、リンデロンDP®で「ベリーストロング(非常に強い)」、VG、Vは「ストロング(強い)」で同じぐらいの強さです。「ウィーク(弱い)」のはリンデロンA軟膏®で、目や耳、鼻にも使えるので耳鼻科や眼科でもお馴染みのお薬です。
ステロイド外用薬はヘルペスに禁忌の薬
アトピー性皮膚炎や湿疹の赤ちゃん、子どもにはステロイド外用薬を処方されますが、ヘルペスの症状が出ている時には絶対に使わないで下さい。リンデロン軟膏®だけではなく、ステロイドはヘルペスの薬として使うことはできません。体調が悪い時、免疫力が低下している時にヘルペスの症状が出やすくなりますが、ステロイド薬を使ってしまうと症状がさらにひどくなります。
ステロイド外用薬はヘルペスを悪化させる
ステロイド薬は、炎症反応を抑えますが、一方で免疫を抑制する作用があります。ヘルペスウイルスに抵抗する免疫の力が弱まってしまうことで、ヘルペスウイルスはどんどん増殖し、症状がかえって悪化してしまう可能性があります。そのため、リンデロン軟膏®などのステロイド外用薬はヘルペス治療に用いないのが原則です。
カポジ水痘様発疹にもステロイド外用薬は厳禁
アトピー性皮膚炎の患者さんがヘルペス感染症を合併した場合、カポジ水痘様発疹と呼ばれる病気を発症することがあります。赤いぶつぶつ、水ぶくれだけではなく、発熱やリンパの腫れ、強烈な痛みに襲われます。一般的に軽症なイメージの口唇ヘルペスとは比べものにならないほどの苦痛に耐えなくてはなりません。カポジ水痘様発疹にもステロイド外用薬は厳禁で、ステロイド外用薬が原因でヘルペスの症状を悪化させるケースがあるので注意が必要です。
ヘルペスに効く薬とは

ヘルペスの症状が出たら、まずは病院を受診して適切な診断と治療薬を処方して貰うのが安心です。
ヘルペスの飲み薬は抗ウイルス薬
ヘルペスウイルスが原因で症状が出ている時は、抗ウイルス薬が処方されます。抗ヘルペスウイルス薬は飲み薬と塗り薬があります。飲み薬はバラシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビルなどがあります。現在ではバラシクロビルが処方されることが多いです。バラシクロビルは、帯状疱疹や口唇ヘルペス、性器ヘルペスに効果があります。バラシクロビルの場合、口唇ヘルペスでは5日程度服用しましょう。帯状疱疹では7日間服用します。薬が効いてくるまでに時間がかかるので、症状が出たら早めに診察を受け処方してもらうと良いでしょう。
バラシクロビルは子どもにも使用できる薬
子どものヘルペスによく処方されるバラシクロビルは、成分の名前です。製薬会社によって、バルトレックス®などと呼ばれます。薬の形態は顆粒と錠剤があります。子どもにも使用できますが、胃腸症状や頭痛、眠気、めまいといった副作用が出る場合があるので気をつけてみてあげましょう。ごく稀に発疹など皮膚症状が出ることもあります。たくさん飲んでしまうと興奮、けいれんなどの症状が起き、妄想など精神神経症状が現れることもあるので、服用量には注意が必要です。指定された量を守って使用しましょう。
症状が軽いヘルペスは塗り薬で治まることも
ヘルペスを発症して初期の段階や、症状が重くない場合、塗り薬で改善することもあります。病院では5%濃度のアシクロビル軟膏、3%のビダラビン軟膏を出して貰えるので、1日数回、軟膏を塗ってあげて下さい。
・塗り薬アシクロビル軟膏も副作用が出る?
アシクロビル軟膏は重い副作用はないとされていますが、かゆみや発疹などの副作用が報告されています。子どもにも使用できる薬ですが、塗った後はこまめに様子を見てあげましょう。また、新生児や乳児の安全性は確立されていないので、兄妹がいる場合、下の子どもの皮膚に触れないよう用心して下さい。
市販されているヘルペスの外用薬もある
ヘルペスの中でも、口唇ヘルペスの外用薬は市販されています。ただし、初めて症状が出た時に薬局、ドラッグストアに行っても売って貰えません。過去に口唇ヘルペスにかかった方で、再発した人だけが販売して貰えます。薬剤師さんに治療を受けたことがあるかどうか、チェックされるのでご注意下さい。そもそも6歳未満の乳幼児は使用することができません。
薬を使わずヘルペスを予防することはできる?

薬を飲むと腎臓・肝臓などの臓器に負担がかかります。特に抗ヘルペス内服薬は腎臓に負担が大きいのでまだ臓器が完全に発達していない子どもには、なるべく薬を飲ませたくないと考える親御さんもいらっしゃるかと思います。ヘルペスは再発することも少なくありませんが、薬を使わずに予防することはできるのでしょうか。
日焼けに注意
強い紫外線を沢山浴びると日焼けして肌が赤くなったり黒くなったりしますが、実は見た目の変化だけではありません。肌の細胞がダメージを受け、身体にとって大きなストレスとなります。ストレスは、免疫力を低下させるのでヘルペスのリスクを高めます。屋外活動をする際は必ず日焼け止めクリームなどを塗り、帽子や時には長袖などの着用や紫外線対策を忘れないでください。最近では飲む日焼け止めなどのサプリメントもあります。
毎日ぐっすり眠ることも大切
「子どもはストレスを感じない」なんて思っていませんか?不快な環境の中では赤ちゃんだってストレスを感じています。むしろ、まだ頭で十分に考えることができない子どもは、ちょっとした刺激を受け止め切れずに心身が疲れ果ててしまうことも・・・。ただ、たいていのストレスはよく食べてぐっすり眠れば解消されます。ヘルペスの薬のお世話にならないためにも、毎日熟睡できる環境を整えてあげて下さい。寝る直前までテレビをつけっぱなしにしている家庭も少なくありませんが、布団に入る2時間前にはスイッチを消しましょう。薄暗くして、布団の中で絵本などを読む習慣をつければ、自然に熟睡しやすくなります。
子どもが大好きなチョコレートでヘルペスが再発?
最近、ヘルペスを再発する子どもが増えています。「うちの子もしょっちゅう唇にヘルペスが…」なんて時は、食べ物の影響があるかもしれません。最近ではアミノ酸の一種である「アルギニン」が体内で増え過ぎると、ヘルペスウイルスが活性化すると言われています。アルギニンが多い食品には、肉類や魚類、ナッツ類などがあります。さらに、子どもが大好きなチョコレートも、アルギニンがたっぷり含まれている食材です。

おやつで与えるときはたくさん食べ過ぎないようご注意下さい。ただし、アルギニンは身体の成長に欠かせない大事な必須アミノ酸ですし、アルギニンの取り過ぎだけでヘルペスを発症するわけではありません。「ヘルペス対策のためにアルギニンを一切与えない」ということは決してしないで下さい。
まとめ

ヘルペスに限らず、基本的には子どもに薬を使うときは、病院から処方された薬を指示通り使用するようにしましょう。病院は子どもでも使用可能な薬を選んで処方してくれます。心配なときは処方される際に医師や薬剤師に相談してみると良いでしょう。ただし、どんな薬にも副作用があります。必ず副作用が出るわけではありませんが、子どもが薬を使用した後は意識して様子を見てあげましょう。

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