【医師監修】学習障害(LD)の特徴・年齢別で見る症状とは?

学習障害という言葉を聞いたことはありますか? 発達障害、アスペルガーなどさまざまな障害があり、それぞれどんな症状なのか混乱してしまう方もいるかもしれませんね。今回は学習障害について解説していきます。





この記事の監修ドクター

森若奈 先生

精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定産業医。精神単科病院、総合病院、クリニック、産業医等様々な場での経験を活かし、現在は予防医学や早期介入にも力を入れている。

女医+(じょいぷらす)所属。

学習障害(LD)について

学習障害とは
学習障害とは、生まれつき脳の発達に通常と異なった部分がある発達障害の一種です。発達障害には、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害などがありますが、そのうちのいくつかの要素が一人の人間に出ることも珍しくありません。

学習障害の定義とは
発達障害の定義は、まず全般的な知的発達の遅れがみられないことが上げられます。その上で、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」といった能力のうち、特定のものの習得が著しくできなかったり、またその能力を使用することができなかったりする状態をいいます。これは、文部科学省内で開かれた「学習障害に関する協力者会議」が1999年に出した最終答申による定義です。

学習障害が起こる原因とは
中枢神経系の機能障害が原因でないかと推定されていますが、いまだ確固とした定説はありません。まだはっきりと原因解明もされていません。
学習障害の特徴とは
学習障害には、いくつかの特徴があります。それらは一体どんなものなのでしょうか。
5つの能力のどれか又は複数に問題
「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する・推論する」の能力のうち、どれか、または複数にわたり問題が発生します。この能力の問題は、特に就学して勉強をする際に顕著に現れます。特定の教科が他の教科より著しく苦手で、学習到達度の1~2学年の遅れが目安となります。
読字障害
ディスレクシアとも呼ばれる障害です。症状はいくつかに分かれ、流暢な音読ができない、漢字の識別ができない、文章の意味が読み取れない、などがあります。細かい特徴的なサインとしては、文章を読む際に文字ひとつひとつを読んでしまう、単語や文節を途中で区切ってしまう、読んでいる場所を指で押さえる、音読み訓読みどちらかしかできない、などがあります。
書字障害
文字や文章を書くことに困難を生じます。特徴的なサインとしては、書く際の誤りが非常に多い、黒板などを書き写すのが極端に遅い、考えを文章にできない、拗音・促音などの書き間違え、「わ」と「は」など同じ音の書き間違い、形態が似ている文字を書き間違える、などがあります。日本特有の症状として、漢字だけをうまく書き取れないといったものもあります。

算数障害
算数の問題を解くことが困難である障害です。タイプとしては、数の概念を理解することができない、数学的な思考の組み立てができない、などがあります。わかりやすいサインとしては、簡単な計算や足し算ができない、数の大小が理解できない、指を使わないと計算できない、などがあります。

子どもの頃は判断が困難
学習に関わる障害であるため、就学前に判断することは難しいのが実情です。授業がはじまってから、学習障害があるかもしれないと疑いがもたれ、受診することによって発見されることが多い傾向があります。
年齢別でみる学習障害
就学してから「学習障害」と診断されるケースが多い印象がありますが、もちろん小学校入学以前に気づくケースもあります。

幼児期
話したり、数を数えたり、書いたりといったことを顕著にするようになる3歳頃に気づくこともありますが、軽度の場合は、就学まで気づかないことも多くあります。

小学生
小学校に入り、読み書きや計算の科目などをするようになり、学習障害が疑われる状態が浮き彫りになります。該当学年から1~2学年の遅れが目安となるため、3年生以上になってから判断がしやすくなっていきます。また、文字や文章に関係する障害の場合、ひらがな、カタカナ、漢字、など文字類の区別がついてからの時期の方が、症状がはっきりとします。

中高生
努力をしても極端にできない科目があると、学校の中で本人が自信を失ってしまうことがあります。それが原因で、イジメや不登校に繋がることもあります。学習障害であると周囲に認識されれば、例えば文字を書いたり計算をしたりするのを、パソコンなどの機器で代用してよいといった、配慮が得られる場合もあります。そのためにも、なるべく早い時期の、学習障害の発見が必要となります。また将来の進路を考える際にも、学習障害の特質をよく見極めての選択が必要となります。

成人
就職に際しては、自らや家族が障害をよく理解して、不得意な行為を必要としない職業を選択することが求められます。仕事は必ずしも、学習行為を活用するものばかりではないので、選択によっては学習障害自体が問題にならない場合もあります。

大人になってから気づくパターンも
子ども時代、就学時には、自分が学習障害なのではという疑いを持たず、成人してから過去や現在の状態を見て、初めて受診をするという方も多く存在します。
自宅でできる学習障害チェック
子どもの様子をじっくり観察すると、自宅でも学習障害かどうかをチェックすることができます。

以下のチェック項目は文部科学省が平成14年に実施した全国調査を元にしています。チェックする人間が主観的にどう感じるかではなく、対象児童が同学年の児童と比べてどれくらい差があるかが、チェックの基準になります。
話す能力
・話し方がたどたどしい。反対にとても早口。

・言葉に詰まる。

・単語を羅列した話し方、話の内容が乏しい。

・話の筋道が通らない。

・内容を分かりやすく伝えられない。

読む能力
・初めて、または普段あまり使わない語の読み間違え。

・文中の語句や行を抜かす、または繰り返す。

・音読のスピードが遅い。

・勝手に音を抜かして読む。

・文章の内容の要点を読み取れない。

書く能力
・字の形や大きさがまちまち。文字列を真っすぐに書けない。

・筆順が合っていない。

・漢字の細かい部分が不正確。

・句読点が抜ける。打つ場所が不正確。

・文章のパターンがいつも同じ。

計算能力
・学年相応の数に対する理解ができない。

・単純な暗算ができない。

・計算に非常に時間がかかる。

・複数の手続きが必要な計算ができない。

・学年相応の文章問題が解けない。

推論能力
・学年相応の量の比較や、量の単位といったことが理解できない。

・学年相応に図形を描くことができない。

・物事の因果関係を理解できない。

・目的に沿った行動や、臨機応変な行動の修正ができない。

・早合点や、考えの飛躍が多い。

学習障害は治るの!?
子どもが学習障害だと診断されたら……? 「治るものなの?」と心配になることでしょう。治療や完治について解説します。

学習障害の診断基準
医師の診断は、まずは脳に器質的な病気がないか、CT、MRI、脳波検査といった検査をします。

異常がないことが確認されたら、最初に基本的な知能検査、心理検査を行います。その後、国語と算数を中心とした標準学力検査を行います。

治療方法
各検査を通して、学習障害と診断されたら、治療が開始します。治療方法は、障害の重さやパターンによって変わってきます。例えば、読字障害ならば大きな文字でかかれた文章を指でなぞりながら読む、算数障害の場合は絵でビジュアル化して数を理解するなどです。

まとめ
学習障害は正しい理解と対策が必要です。また、その対策には保護者と教育現場・医師の連携が必要と考えられています。気になることがあれば、医師に相談するようにしましょう。

関連リンク
【医師監修】未熟児(低出生体重児)だと障害の成長リスクがある? | マイナビウーマン
妊娠したかも!? チェックすべき、普段と違う兆候・症状 | マイナビウーマン
【医師監修】妊娠中にめまいが起こる5大原因! やってはいけない対処法は? | マイナビウーマン

このページのトップへ