【医師監修】女性ホルモン「エストロゲン」は不足すると危険⁉︎

女性に多くみられる病気には、女性ホルモン「エストロゲン」が深く関係しているといわれています。妊娠や出産のできる体をつくるために欠かせないエストロゲンは、女性の健康を維持するという重大な役割も担っているのです。いつまでも健康的な女性であり続けるために、エストロゲンの重要性をしっかりと理解しておきましょう。







この記事の監修ドクター

パークサイド広尾レディスクリニック  内山明好 院長

浜松医科大学医学部卒業。医学博士。同大学整形外科学入局、ハーバード大学骨疾患研究所留学。その後エーザイ株式会社、グラスソ・スミスクライン株式会社にて臨床開発、薬事、薬剤安全性等の部門長、 担当役員を歴任後、株式会社アーテイジ代表取締役社長として遺伝子検査やサプリメントを用いた健康増進事業に取り組む。

現在、医療法人社団宗友会パークサイド広尾レディスクリニック理事長・院長。

http://www.ladies-clinic.or.jp/
エストロゲンの大事な機能と働き

女性ホルモンには2種類ある
女性が妊娠・出産できる体をつくるために、脳からの指令を受けて卵巣でつくられているのが女性ホルモンです。この女性ホルモンの働きにより、初潮を迎えてから閉経するまでに体が大きく変化をしていくのです。つまり、女性の体は女性ホルモンにコントロールされているということ。女性が男性に比べて心身が不安定になりやすいのも、女性ホルモンの影響によるものです。

女性ホルモンには卵胞ホルモンの「エストロゲン」と黄体ホルモンの「プロゲステロン」の2種類あります。2つの女性ホルモンが周期的にバランスをとりつつ分泌されており、このバランスが正常に保たれていれば順調に生理がきて、妊娠・出産ができるという仕組みになっているのです。

生理がはじまって2週間ほどしてから、卵巣から卵子が出てくる排卵が起こります。この時期から多く分泌されるのが、プロゲステロンです。プロゲステロンの重要な役割は、妊娠の準備を整えること。排卵の時期に子宮内膜を厚くやわらかくして妊娠に備え、妊娠にいたればそのまま分泌され続けます。しかし、妊娠しなかった場合には2週間ほどでプロゲステロンの分泌は少なくなっていきます。そして、子宮内膜がはがれて生理として体の外に排出されるという仕組みになっています。

心身ともに健康的な生活を送っていればプロゲステロンとエストロゲンは一定の期間で分泌をくり返すので、生理は規則正しく起こるはずです。しかし、女性ホルモンの分泌は非常にデリケートにコントロールされているため、ストレスや疲労、栄養不足などの影響を受けて簡単にバランスが乱れてしまうのです。
エストロゲンの働き
女性らしい体をつくりあげているのは、エストロゲンです。エストロゲンは乳房や子宮、皮膚、骨などの発育を促す働きがあります。

うるおいのある肌や粘膜を保つにはエストロゲンは欠かせないので「美人ホルモン」と呼ばれることもあるほどです。また、骨や血管の健康を維持する作用もあるので、女性が美しく健康でいるためには不可欠なホルモンといえるでしょう。

エストロゲンは脳の働きにも深い関係があります。脳の血流を増やす作用により、記憶や認知にかかわる脳の働きを活発にさせることができると考えられているのです。自律神経のバランスを保つ役目も果たしているので、心の健康にも欠かせない存在です。
エスロトゲンの種類による作用の違い
エストロゲンには、次のように「エストロン(E1)」「エストラジオール(E2)」「エストリオール(E3)」の3種類あります。
エストロン(E1)
副腎や脂肪組織でつくられるエストロゲンで、閉経した後はほかの2つのエストロゲンよりも多く分泌されます。エストロンの量が増えると乳がんや子宮がんになりやすいといわれています。
エストラジオール(E2)
もっとも作用の強いエストロゲンで、閉経を迎えるまでほかの2つのエストロゲンよりも多く分泌されるのがこのエストラジオールです。卵巣でつくられており、生殖器の発育を促す働きがあります。エストラジオールが多くなり過ぎると、乳がんを進行させるといわれています。
エストリオール(E3)
胎盤や肝臓でエストロンやエストラジオールから変換されてエストリオールがつくられます。エストロゲンとしての強さは3つのうちでもっとも弱いのですが、乳がんや子宮がんなどを抑える抗がん作用があるとされています。
エストロゲンが分泌される時期
エストロゲンが多く分泌されるのは、生理の終わりころから排卵前まで。エストロゲンの分泌量が増えるこの時期を「卵胞期」と呼んでいます。卵胞期は基礎体温が低く、心も体も比較的安定してお肌の調子もよくなるのが特徴です。

エストロゲンが卵巣で分泌され始める時期は個人差がありますが、一般的には8~9歳ころです。乳房や子宮、膣などの成長を促して、女性らしい体をつくっていきます。身長や体重の増加にも関係しており、エストロゲンの分泌により女性特有のまるみをおびた体つきになっていくのです。

そして、初潮を迎える12歳くらいになるとエストロゲンの分泌量がグンと増えてきます。その後、閉経するまで生理の周期に合わせて増減をくり返します。エストロゲンが活発につくられるのは30歳の半ばころまでで、この時期は妊娠や出産をしやすい体になっているので「性成熟期」と呼ばれています。

しかし、40歳くらいから卵巣機能が低下してエストロゲンの量はどんどん減少していきます。エストロゲンの減少にともない、少しずつ生理の周期が乱れがちになり、50歳ころに閉経を迎えるというわけです。この閉経を迎えるまでの10年ほどの期間が「更年期」で、ホルモンバランスが急激に崩れることから心と体が非常に不安定になりやすくなるのです。

更年期を過ぎると、エストロゲンがほとんど分泌されなくなる「老年期」にはいります。更年期の症状はおさまりますが、同時に健康を維持していたエストロゲンの働きも弱まるので体のあちこちに問題が生じやすくなります。
エストロゲンの過不足で生じやすい3つの病気

骨粗しょう症
エストロゲンは、骨の代謝に深い関係があります。骨をつくるのを促すだけでなく、骨が吸収されてしまうのを抑える働きがあるのです。そのため、エストロゲンが不足すると骨の量が減少してしまいます。高齢になると「骨がもろくなる」と昔からいわれているのには、閉経でエストロゲンの分泌が急激に減少することが関係していたのです。

骨の量が減少して、骨がスカスカな状態になり骨粗しょう症になってしまうと、転んだだけで簡単に骨折しやすくなります。このように年齢を重ねるほどに女性は自分の骨の状態に十分に気をつけなければなりません。自覚症状がほとんどないのですが、エストロゲンが減少する60歳代の女性で30%ほど、70歳代になると50%ほどの女性が骨粗しょう症を発症していると報告されているほど女性にとってリスクの高い病気であることを理解しておきましょう。
更年期障害
女性ホルモンは、脳からの指令を受けて分泌されています。脳の視床下部から「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」が出されると、脳下垂体は「性腺刺激ホルモン」を放出して卵巣を刺激します。そうして卵巣から女性ホルモンが分泌されるという仕組みになっています。

ところが、更年期にはいると卵巣の機能は低下してしまいます。視床下部がいくら性腺刺激ホルモンを出し続けても女性ホルモンが分泌されないので、脳はいわゆるパニック状態に陥ってしまうのです。視床下部は自律神経や免疫系をコントロールしている器官でもあるので、混乱した視床下部は自律神経などをうまく調節できなくなってしまいます。その結果、自律神経のバランスが崩れて冷えやのぼせ、ほてり、動悸といったさまざまな不調を引き起こすというわけです。
乳がん
エストロゲンが多く分泌される期間が長引くほど乳がんを発生するリスクが高まるといわれています。たとえば、初潮を迎えるのが早かった、閉経するのが遅かった、授乳の経験がない、ホルモン補充療法や経口避妊薬を長期にわたって受けていたという経験があるほどエストロゲンが分泌されていた期間が長いと考えていいでしょう。

閉経するとエストロゲンの分泌は減少するのですが、脂肪組織などに存在しているアロマターゼという酵素が副腎皮質から分泌される男性ホルモン「アンドロゲン」からエストロゲンを合成するので、エストロゲンがなくなるというわけではありません。脂肪が多いほどエストロゲンに変換されやすいので、乳がんなどホルモン感受性のあるがん予防という観点では、閉経後は特に肥満に注意してください。
女性にも男性ホルモン「テストテロン」は不可欠

テストテロンとは
テストテロンは、体毛を濃くしたり筋肉を発達させたりする働きのある男性ホルモンです。筋肉や骨の量を維持して運動機能を向上させるほか、内臓脂肪の増加を防ぐ役目も果たしています。そのような身体的な機能だけでなく、仲間との社会的関係を保つ能力やリーダーシップ、チャレンジ精神、競争心などをもたらすといった精神的な機能もテストテロンによるものだとわかってきました。つまり、いわゆる「男性的」な体と心に不可欠なホルモンです。
更年期以降の女性にテストテロンが増加傾向
男性ホルモンであるテストテロンは、女性の体にも存在します。女性もまたテストテロンの影響を受けて、なにかにチャレンジして達成感を得るといった精神活動を行っていることが研究によってわかっています。

更年期を過ぎると女性の体内ではエストロゲンは減少しますが、いっぽうでテストテロンの働きがより重要になってくると考えられています。女性が年齢を重ねるほど元気を増して活動的になる傾向があるのは、もしかしたらテストテロンの影響が関係しているのかもしれません。
まとめ
女性の一生は女性ホルモンに支えられているといっても過言ではないでしょう。それほど、大きな影響を受けているのです。しかし、女性ホルモンのバランスの乱れなどにより体調を崩してしまうなど、振り回されてしまうことがあるのも事実です。とはいえ、女性が生きていくうえで女性ホルモンとの関係は切っても切れません。エストロゲンの働きや年齢による分泌量の変化とその影響などを十分に理解して上手に付き合い、心身ともに健康的に過ごしていきましょう。

関連リンク
【医師監修】妊娠中にめまいが起こる5大原因! やってはいけない対処法は? | マイナビウーマン
鈴鹿サーキットへ家族で行こう!子連れでの楽しみ方ガイド | マイナビウーマン
大和田美帆さん「子育て、どうですか?」と聞いてもらうことのメリット | マイナビウーマン

このページのトップへ