むくみに効く漢方薬とは? 症状による漢方薬の選び方

むくみの解消には、食生活の改善やマッサージなどさまざまな方法があるとされていますが、実は漢方もむくみに効果的だということを知っていましたか? 日本で独自に発展した漢方医学やむくみへの効能について、漢方専門医・古屋京子先生に教えていただきました。

■漢方の歴史と特徴とは?

むくみに効く漢方の紹介の前に、そもそも漢方とはどのようなものなのかを古屋先生に教えていただきました。

◇漢方の歴史

古屋:漢方は中国から伝来し、日本で独自に発展した医学です。中国の後漢の時代が起源と言われ、日本には5~6世紀の飛鳥時代に伝わり、その後、日本の風土や気候、日本人の体質などに合わせて独自に発展してきました。江戸時代に入り、オランダ医学が日本に伝来したのをきっかけに、「蘭方」「漢方」と区別するようになりました。「蘭方」とはいわゆる西洋医学のことです。

◇漢方の特徴

古屋:西洋医学と漢方医学とでは、考え方が全く異なります。西洋医学は痛みを取る、熱を下げる、菌を殺す、などピンポイントで治療する対処療法です。それに対して、漢方医学は「心身一如」の考え方が特徴で、心と身体は相互に関連していて一体であるという考え方です。「気(元気)・血(血液)・水(体液)」を整えることで、人間本来の自然治癒力を高めていきます。

■むくみに効果的な漢方とは?

漢方の特徴についてよくわかりました。では、漢方がなぜむくみに効果的なのか、また、むくみにオススメの漢方について古屋先生に教えていただきました。

◇漢方がむくみに効果的な理由

古屋:漢方医学において、むくみとは「気・血・水」の「水」が停滞した状態のことで、場合によっては「気」の不足が加わることもあります。漢方薬は、この「気・血・水」のバランスを整えます。植物の茎や根、哺乳類の化石、鉱物など自然由来の成分“生薬”が原料の漢方薬は、その“生薬”を複数組み合わせているため、ひとつの漢方薬で複数の症状に対応でき、原因不明の“未病”や体質改善にも効果的です。またむくみの主な原因は「冷え」「リンパの流れの停滞」「体質」の3つで、その中でも特に女性に多いのが「冷え」です。体を温める効果がある漢方薬は、冷えの解消にとても有効と言えます。

◇むくみにオススメの漢方薬

☆五苓散(ゴレイサン)

利尿作用や体内水分量を調整する作用があり、“むくみに効果的”と言われる一般的な漢方薬です。飲酒前に服用すると、悪酔いや二日酔いの防止にも効果があります。

☆当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

手足が冷たくなりやすい冷え性体質で、生理痛のある人にオススメです。生理前は水分をため込む時期なのでむくみやすくなりますが、利尿作用があるので効果的です。

☆桂枝茯苓丸(ケイシブクリュウガン)

むくみがあって、顔はのぼせるのに足が冷える人にオススメです。血液の循環を促進し、利尿作用があります。

【体質による漢方の選び方】

朝起きたら顔がパンパンになるタイプの場合、冷え性体質なら「当帰芍薬散」、冷えのぼせ体質なら「桂枝茯苓丸」が効果的です。

☆防已黄耆湯(ボウイコウギトウ)

下半身がむくむ人、特に立ち仕事やデスクワークなどで足がむくんだり、夕方、靴がきつくなる人にオススメです。体質的には汗をかきやすくポッチャリ体型で、水太りタイプの人に。服用することで体内の余分な水分が排出されて、体重が減ることもあります。

☆猪苓湯(チョレイトウ)

膀胱炎などの排尿障害があり、足がむくむ人にオススメです。体内にたまった余分な水分を排出する利尿作用があるため、水分代謝を改善します。

☆人参湯(ニンジントウ)

胃が冷えていて、下痢気味の人に。利尿作用があるので、下痢の改善とともにむくみの解消を促します。

☆真武湯(シンブトウ)

「水」が滞っている状態に効果のある漢方薬。腸が冷えていて、下痢気味の人にオススメ。

■漢方薬選びの注意点

むくみに効果的な漢方薬はいろいろあるんですね。たくさんあると選ぶのに迷ってしまいますが、自分に合った漢方薬の選び方や服用の注意点について、古屋先生に聞いてみました。

◇漢方薬の選び方

古屋:漢方医学では、その人の「証」にあった薬を飲むことが大切です。「証」というのは、体質のことで、「陰」と「陽」に分けられます。自分で判断する場合は、「冷えがあるかないか」「胃腸が強いか弱いか」が、ひとつの判断基準になります。ただ冷えがあり、胃腸が弱い虚弱体質の人は「麻黄(マオウ)」「大黄(ダイオウ)」が入った漢方薬には気をつけないと、胃腸を痛めたり下痢になる可能性があります。また「附子(ブシ)」は体を温める生薬なので、冷えがない人が飲むと逆効果となることがあります。「桂皮(ケイヒ)」はアレルギーを起こす人もいるので注意が必要です。

このように、自分に合う漢方を自分で判断するのは難しく、「証」が違う薬を飲み続けると、症状が治りにくくなる「壊病(えびょう)」という状態になってしまいます。ドラッグストアで購入できますが、不安な方はなるべく病院で処方してもらうほうが望ましいです。

◇漢方薬の注意点

古屋:西洋薬に比べると、副作用が少ないのが特徴です。体力が低下しているような、そんなときこそ漢方薬がオススメです。ただ、お薬である以上、副作用がゼロとは言えません。特に「甘草(カンゾウ)」と「麻黄(マオウ)」には注意が必要です。「甘草」の摂りすぎは低カリウム血症になり、むくみが悪化する恐れがあります。「麻黄」は胃腸障害や動悸、不眠になることもあります。

服用する際は、自己判断はせず医師に相談するようにしましょう。持病やアレルギーがある方も必ず医師に相談しましょう。生理に関してはそれほど気にする必要はありませんが、生理前は便秘気味でも生理中は下痢気味になるなど、体調に変化がある場合は注意しましょう。生理前に飲んでいた漢方薬をいったん中止したほうがいい場合もあります。妊娠中の場合、特に3~11週の妊娠初期は服用しないようにしましょう。ただし、風邪やぜんそく、便秘などで困っている時は、治療の有効性が高いと判断した場合、処方することもあります。

■「むくみに効く漢方薬の選び方」まとめ

人間本来の自然治癒力を高め、むくみだけでなく複数の症状を改善してくれる漢方。自分の体質をしっかり把握して正しい漢方薬選びをすれば、むくみとサヨナラできそうですね。自分の体質・症状に合った漢方薬選びのため、判断に迷う場合は医師に相談してからはじめましょう。

(監修:古屋京子、文:伊藤康江)

※画像はイメージです

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