マダニで感染するライム病とは

マダニは、野ネズミや小鳥などの野生動物に寄生して、その血を吸いながら生きています。もし、その寄生した動物がなんらかの病原体を保菌していたら、マダニを介して人間にも感染してしまう危険性があります。マダニが媒介する病気はいろいろありますが、その中でも、ライム病は最近発見されました。欧米では、年間数万人のライム病患者が出ており、社会的な問題にもなっています。日本でも1986年に初めてライム病患者が報告され、それ以来、毎年わかっているだけでも数百人確認されています。


ライム病とは

ライム病は、1975年にアメリカ合衆国のコネチカット州ライム地方で初めて発見されたため、この名がつきました。マダニの体内にいる「ボレリア」という細菌が哺乳動物の体の中に侵入して発症する病気です。動物などがこのライム病に感染すると、関節炎を起こします。人の場合は、以下に注意する必要があります。
関節炎角膜炎多発性神経炎不整脈骨髄炎脳炎このように、さまざまな症状を起こすライム病ですが、あまりにも幅が広すぎて特徴的な症状がないため、ライム病だと診断することが難しく、病院に行っても発見・治療が遅れることもあります。


ライム病の症状と原因

ライム病の原因は、「ボレリア」という細菌です。血液の中に入り込んで、体内循環によって体全体に拡散していきます。ライム病には「感染初期」「播種(はしゅ)期」「慢性期」と3つのステージで進行していきます。
ステージ1「感染初期」マダニに咬まれた部分を中心として特徴的な「遊走性紅斑」がみられます。これは、徐々に皮膚の赤味が環状に拡がっていくものです。同時に筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、倦怠感といったインフルエンザのような症状が出ることがあります。
ステージ2「播種期」血液やリンパ液に乗って、病原体が体全体に拡散します。これにともなって、皮膚、神経、心臓、眼、関節、筋肉などさまざまな部位に炎症が見られるようになります。
ステージ3「慢性期」播種期の症状に加えて、重度の慢性関節炎、慢性脳脊髄炎、皮膚炎などが見られます。慢性化するまで数か月から数年を要することもあります。


ライム病の治療は診断が難しい

ライム病は、確実な診断さえつけば抗生物質で確実に治療できます。しかし、ライム病の症状は非常に多岐にわたっているため、ライム病であるかどうかの診断が非常に困難です。唯一、マダニに咬まれたあとの「遊走性紅斑」が手掛かりとなるのですが、これもある程度時間が経過すると消えてしまいます。
ライム病は感染症ですから、本来は内科で治療する病気です。しかし、ライム病の特徴的な症状である「関節の痛み」があれば、整形外科、不整脈があれば、循環器科、角膜炎なら眼科で診てもらうことになります。こうして、次々に現れる症状に対して、いろいろな診療科を受診しているうちに、徐々に病状が悪化していきます。現実的には、患者自体がマダニに咬まれたことを自覚していない限り、ライム病の診断は難しいといえます。


ライム病の予防方法

ライム病にかからないためには、マダニに咬まれないことです。そのためには、主に初夏と秋のマダニの活動期に野山に出かけないことです。どうしても出かけるときには次のことに注意しましょう。
服装に注意する長袖長ズボンを着用して、皮膚の露出を少なくしましょう。また、マダニの色は黒っぽいので、白を基調とした服装をしていくと、衣服についたダニを発見しやすくなります。マダニは、すぐに咬むということはしません。身体を這っているのを見つけたら、ティッシュや近くにある葉っぱなどを使って取り除きましょう。
とくにひざ下の防御を重点的に自然の多い郊外の草むらには、確実にマダニがいると思っていいでしょう。ひざ下くらいの高さの草むらを歩くときには、長靴を履くか、ズボンの裾は靴下の中に入れておくとマダニの侵入を防ぐことができます。
もし咬まれてしまったらマダニは、人に気づかれることなく忍者のように忍び寄ってきます。また、咬んだときにも痛みがほとんどないので、知らずに血を吸われていることがあります。てっきり「かさぶた」だと思ってそのままにしていたというケースもあるほどです。
マダニが血を吸っているのを発見したら、冷静になりましょう。今まさに血を吸われていると思ったら、1秒でも早く取り除きたい衝動に駆られますが、そこはじっと我慢してください。無理矢理引きはがしてしまうと、マダニの刺口が皮膚の中に残ってしまったり、血を吸っているときにつぶすとダニの体液が体内に入ってしまう危険もあります。すぐに病院に行って適切な処置をしてもらいましょう。
マダニに咬まれたときには、咬まれたところの観察と体調の変化に注意しましょう。インフルエンザのような兆候が出てきたら病院に行き、必ず医師に「マダニに咬まれた」ことを伝えてください。
(この記事の監修: おおり医院 院長 / 大利昌久 先生)
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