【医療的ケア児】対象となる疾患と親が抱える深刻な問題とは?

皆さんは、「医療的ケア児」という言葉をご存知でしょうか?


その名の通り、様々な障害により医療的なケアを必要とする子どもを指した言葉ですが、近年人数が増加傾向にあることが分かりました。


今回は医療的ケア児について、対象となる疾患やケア事例、親が抱える問題などを詳しく医師に解説していただきました。






医療的ケア児とは

酸素吸入器をつける男の子


呼吸・食べる・排泄するなどの機能に障害があり、以下の医療的ケアを日常的に必要とする子どもを指します。


・人工呼吸器管理

・気管切開カニューレの管理

・痰の吸引

・栄養剤注入

・頻繁な投薬

など




医療的ケア児の推定人数 

人口増加のグラフ 

特別支援学校または通常の小中学校に通っている児童のうち、医療的ケア児は全国で9,000人近くいると考えられており、毎年100〜300人のペースで増えています。


未就学児については25,000人程度であり、平成23年から25年の2年間で6,000人も増加しています。


(参照:文部科学省「特別支援学校等の医療的ケアに関する調査結果」11ページ)




医療的ケア児が増加している背景

医療の進歩


医療ケアが必要になる原因は様々ですが、小児科医療の発達により、今までなら命を落としていた重症の障害児や未熟児が生存するようになり、障害を持って生きる子どもの人数が増えたことが関係していると考えられています。




医療的ケアの対象となる疾患 

未熟児


未熟児


様々な体の機能が未熟なまま生まれてくるため、呼吸・食事などの機能が未熟な場合があります。


低酸素性虚血性脳症、脳室周囲白質軟化症、脳性麻痺


出産前後に酸素が脳に届かない状況になったことで脳の機能が低下し、運動機能や知能の発達が遅れるとともに、痰を自分で出すなどの基本的な体の仕組みが未熟な場合があります。


喉頭気管軟化症、気管支狭窄症、舌や喉の運動麻痺、声帯麻痺


呼吸が不安定で、気管に穴をあけて首の正面に管(カニューレ)を入れる気管切開が必要になることがあります。


誤嚥性肺炎、胃食道逆流症


口から食事を摂ると吐き戻して肺に入ることがあります。


肺炎を繰り返す場合は、鼻から胃にチューブを通して栄養剤を注入したり、お腹の壁に穴をあけて胃に達するチューブを通し、栄養剤を注入する「胃ろう」が必要になる場合があります。


神経筋疾患、難治性てんかん


脳の機能の発達が遅れ、呼吸・食事・排泄の機能が未熟です。


先天性心疾患、肺高血圧症


血液中の酸素濃度を定期的に測定したり、酸素投与を行う必要がある場合があります。


先天性代謝異常疾患


栄養素や有害物質を体内で処理・処分する機能がうまく働かず、体や精神の発達が遅れ、呼吸・食事・排泄の機能が未熟です。


染色体異常、遺伝子疾患


体の設計図にあたる遺伝子や染色体に異常があると、様々な機能に障害が出る場合があります。




医療的ケアの事例について 

人工呼吸器をしている子供


人工呼吸器、在宅酸素療法


自分で呼吸をするための脳の機能が未発達な場合や、高濃度の酸素投与を必要とする場合に行われます。


気管切開


痰を自分で出す機能が低く窒息の危険があったり、気管の構造が弱く、激しく泣くことなどで気道がふさがってしまう恐れがあります。


その場合は、首の正面に穴を開け、そこにプラスチックチューブを通しておくことで空気の通り道を確保します。定期的に痰を吸い取る処置が必要になります。


経鼻栄養、胃ろう


口から食べて飲み込む機能が未熟だったり、吐き戻した食べ物が肺に入ってしまう場合には、鼻から胃にチューブを通して泥状の食べ物を送り込みます。


長期に渡りそうな場合は、お腹の壁に穴をあけ、胃に通じるチューブを置いておく「胃ろう」を行います。


導尿


尿を出す神経や膀胱の機能が未熟な場合、放っておくと膀胱に尿が溜まりっぱなしになり、膀胱や腎臓に感染症や機能低下を起こすことがあります。


その為、定期的に尿道に管を入れて尿を出す必要があります。 




医療的ケア児の親が抱える問題  

看護師の常駐問題


看護師


医療的ケアは保育士や幼稚園教諭が行うことはできず、親が付き添うか、看護師が行う必要があります。


十分な数の看護師を確保し、常駐させられるかなどが課題になっています。



保育園・幼稚園受け入れ問題


保育園


医療的ケア児を受け入れる保育園・幼稚園は少なく、親が仕事をやめて24時間育児・看護をすることになる場合が多いのが問題となっています。




医療的ケア児の支援体制 

助け合いの心

平成28年、障害者総合支援法が改正され、医療的ケア児を支援することが自治体の努力義務として定められました。(参考)


今回の法改正に尽力したのが、自身も医療的ケア児の母親である野田聖子議員です。


今後この法改正に従って各自治体が体制を整えていくと考えられますが、前述のような問題も残っています。




最後に医師から一言 

今後も障害児やその親の当事者目線での体制強化が期待されます。


(監修:Doctors Me 医師) 



【関連記事】
子どもの魚嫌いを克服させるには?一手間で激ウマ!絶品お魚レシピ
子どもの“愛着障害” 親子の結びつきによる心の成長を考える
お尻以外にできる蒙古斑「異所性蒙古斑」の原因と治療法について

Doctors Me 08/30

このページのトップへ