失明する可能性は? 目にヘルペスができる原因・症状・治療方法

“目がゴロゴロしてて、真っ赤で涙が止まらない! ”それはもしかしたら、目の表面にある角膜にウイルスが感染して炎症を起こす「角膜ヘルペス」かもしれません。角膜ヘルペスは、視力の低下や最悪の場合視力を失ってしまうことにもなりかねない恐ろしい病気です。今回は、角膜ヘルペスの原因、症状、治療法、予防策をまとめてみました。
目のヘルペスとは?

身近なウイルス“ヘルペス”
“ヘルペス”と聞くと、口の中にできる口内炎を連想する人も多いはず。ヘルペスとは「ヘルペスウイルス」によって皮膚や粘膜が炎症を起こし、水ぶくれなどの症状が起こる感染症のことで、人間にとっては大変身近なウイルスの一つです。ヘルペスは、現在発見されているだけでも100種類以上あって、そのうち人間に感染するヘルペスウイルスは8種類あるといわれています。

①単純ヘルペスウイルス1型  口唇ヘルペスなど

②単純ヘルペスウイルス2型  性器ヘルペスなど

③水痘・帯状疱疹ウイルス  水ぼうそう、帯状疱疹

④エプスタイン・バーウイルス  伝染性単核症

⑤サイトメガロウイルス  肺炎、網膜炎

⑥ヒトヘルペスウイルス6  突発性発疹、脳炎など

⑦ヒトヘルペスウイルス7  突発性発疹

⑧ヒトヘルペスウイルス8  カポジ肉腫

この8種類あるヘルペスウイルスの中でも、日本国内においては、7~8割の人が口や目の周りなどに関わりのある“単純ヘルペスウイルス1型”に、1割の人が性器や肛門に関わりのある“単純ヘルペスウイルス2型”に感染していて、感染していたとしても症状が出ない場合も多いといわれています。

単純ヘルペスウイルス1型に関しては、誰しも子供の頃にいつの間にか感染していることが多く、普段は身体の神経細胞が集まった“神経節”に潜んでいます。しかし、それが睡眠不足などの不規則な生活習慣や疲労、ストレスなどで体力が落ちたり、身体の免疫力が低下すると、身を潜めていたヘルペスウイルスが覚醒し、病気となって表に現れます。
目のヘルペス「角膜ヘルペス」

目のヘルペスといわれる「角膜ヘルペス」は、別名「ヘルペス性角膜炎」とも呼ばれ、口の中に水ぶくれができる「口唇ヘルペス」の原因ともなる単純ヘルペスウイルス1型が、目の表面を覆っている透明の膜である角膜に感染し、それによる免疫反応によって引き起こされる病気です。目の病気として代表的な「ウイルス性結膜炎」いわゆる「はやり目」は、一度かかると二度と発症することはない“終生免疫(生涯免疫)”ができますが、角膜ヘルペスは終生免疫がなく、再発を繰り返する可能性が高く、角膜ヘルペスに感染した4人に1人が2年以内に再び発症するといわれています。症状が進行すると、視力が低下したり、角膜移植が必要となったり、最悪の場合失明する可能性もあります。

人間の目は、白い部分である“結膜”と黒い部分である“角膜”が保護膜となって守られています。直径1.2cm、厚さ0.5mmある角膜は、1枚の非常に薄い透明なシートのようになっていて、「角膜上皮」「ボーマン膜」「角膜実質」「デスメ膜」「角膜内皮」の5つの層から成り立っています。コラーゲンで作られている角膜には、神経が通っていて、埃や光など外部のダメージから目を守ったり、物をくっきりと見えるようにしたり、目の水分を調整することで目の透明度をキープするなど様々な働きをしています。

角膜ヘルペスは、この角膜の5つの層の中でも、どの層で症状が出るかによって「上皮型」と「実質型」の二つに分けられます。

上皮型
単純ヘルペスウイルス1型によって目の角膜の一番外側にある上皮で炎症が起こり、ただれて傷が出来るもの。比較的症状は軽く、発症すると目の表面にまるで枝の様な模様を作ることから「樹枝状角膜炎(じゅしじょうかくまくえん)」とも呼ばれています。目がゴロゴロしたり、痛みや充血も見られますが症状は比較的軽くて済みます。
実質型
3つの層から成る角膜の中心部分にあたる実質が単純ヘルペスウイルス1型に感染し、炎症を起こしたもの。丸く腫れて白く濁ってくることから「円板状角膜炎」と呼ばれています。実質型になると、ウイルスに対して免疫が過剰に反応し、ウイルスから守ろうと角膜の細胞にダメージを与え、発症します。その結果角膜が濁り、視力が著しく低下することもあります。
目にヘルペスができる原因

角膜ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス1型」が原因で発症します。実は、大半の人が子供の頃に最初の角膜ヘルペスに感染していて、症状が出なかったり、軽度の結膜炎程度で治まっています。その時に出た単純ヘルペスウイルス1型が、目の神経細胞の要となる毛様神経節に留まり、体内で潜伏感染したままの状態になります。また、目の奥にある「顔が痛い」「顔が冷たい」といった顔の感覚を脳に伝える“三叉(さんさ)神経”にも、この単純ヘルペスウイルス1型が潜伏感染しています。

ほとんどの人はウイルスが潜伏した状態のままで、発症はしませんが、およそ0.05%の人が発熱、疲労、ストレスや寝不足などで免疫力が低下したり、紫外線や気温の低下などの影響を受け、潜伏していただけのウイルスが再び活性化し、神経を伝って角膜に感染。角膜ヘルペスとなって症状が出ると考えられています。

角膜ヘルペスを発症しやすいといわれているのが、特に高齢者とAIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群)患者です。また、その他にも糖尿病や抗がん剤の治療を受けている人、免疫抑制剤や副腎皮質ステロイドを服用している人、人工透析を受けている人などは免疫力が低下しやすく、角膜ヘルペスに感染する可能性が高まるといわれています。
目のヘルペスの症状

ウイルス性結膜炎は、感染して初めは片一方の目にしか症状がなかったものが、しばらくするともう片一方の目にも感染し、症状が出ることがほとんどです。しかし、角膜ヘルペスに関していえば、左か右のどちらか片一方にしか症状が出ません。目の違和感や充血など、下記のような症状が片一方にしか出ないといった場合は、角膜ヘルペスの可能性が高いといえます。
①ゴロゴロする
角膜の一部分が炎症を起こし、腫れることで目とまぶたの裏の方に、まるで何かが挟まっているかのような異物感があります。痛みはそれほど強くないことも多いのですが、目がゴロゴロするような痛みがあります。
②涙が出る
自然に涙目になったり、涙が止まらなくなったりします。
③充血する
角膜である黒目が炎症を起こすと、その周りにある白目の部分の血管が拡張し、充血してしまいます。
④ぼやけて見える
角膜ヘルペスの中でも、特に実質型の場合は角膜の中でも中央に位置する実質の部分が白く濁ってしまうため、ぼやけて見えるようになります。
⑤視力が低下する
上皮型では視力の低下は比較的軽く済むことも多いのですが、実質型だと視力もかなり低下してしまいます。
⑥まぶしく感じる
光などに対して、いつも以上にまぶしさを感じてしまいます。
目のヘルペスの治療方法

角膜ヘルペスの疑いがある場合は、目薬の麻酔をした後、黒目の部分である角膜を綿棒で軽く擦り、15分程度で角膜ヘルペスかどうか調べます。検査をしてみて角膜ヘルペスと判明すれば治療を開始します。

角膜ヘルペスの治療法は、どういった症状が出ているかどうかでそれぞれ異なりますが、基本的に点眼薬と内服薬を使って行われます。主に“アシクロビル”と呼ばれる“ゾビラックス”という抗ウイルス剤のジェネリック医薬品です。角膜ヘルペス以外にも、口唇ヘルペス、陰部ヘルペス、水痘、帯状疱疹にも使用されています。アシクロビルは、作用する時間が短く、ウイルスが体内で合成されないように、ウイルスの周期に合わせて1日に大人なら5回、子供なら1日に4回服用する必要があります。また、アシクロビルはウイルスを除去するのではなく、ウイルスの増殖を抑え、症状を改善する働きをするので、発症してから初期の段階で服用しないと効果が得られないと考えられています。

角膜の一番上にある上皮で炎症を起こす上皮型では、眼軟膏であるアシクロビルで症状が改善されることが多いのですが、重症化したり、免疫力の低下が見られる際には、抗ウイルス剤の薬を内服したり、場合によっては点滴することもあります。また、円板状角膜炎といわれる実質型では、抗ウイルス剤に加え、副腎皮質ステロイドの点眼薬や内服薬によって、ヘルペスウイルスに過剰に反応してしまった身体の免疫力を抑えるための治療も行います。症状が軽くなったからといって、処方された点眼薬や内服薬の服用を勝手に途中で止めてしまうと、また再発する可能性があります。処方された薬は医師の指示通りきちんと使用するようにしましょう。

点眼薬と内服薬を使用する以外にも、角膜を削ったり、角膜の濁りや視力が0.1以下になるなど視力低下が著しい場合には角膜移植が行われることもあります。

再発を予防するためには

角膜ヘルペスは、発症した際にきちんと薬を服用するなどして治療をしないと、再発を繰り返したり、角膜に影響が出てしまうこともあります。残念ながら現在の所、角膜ヘルペスの再発を完全に予防する方法はありません。しかし、角膜ヘルペスの再発を予防するためにも、充分な睡眠と栄養バランスの取れた食事をとること、体調管理をしっかりとすること、サングラスをかけて紫外線から目を守ることなどを日頃から行うようにしましょう。もしコンタクトレンズをしている場合は、正しい使い方を守ることも重要です。
まとめ

目のヘルペスである角膜ヘルペスは、大半の人は幼い頃にいつの間にか感染したもので、気が付くことはほとんどありません。そして、当時そのまま自分の体内に潜伏してしまったヘルペスウイルスが、疲れや風邪などをきっかけに体内で発症する病気なので、外部から感染したわけではなく、基本的には周りにうつすことはありません。しかし、角膜ヘルペスに感染した人が自分自身の目を触り、その手でまだヘルペスウイルスの抗体を持っていない乳幼児や抵抗力があまりない状態の人に接触することで感染させる場合があるので注意が必要です。

角膜ヘルペスは発症を繰り返してしまうことが特徴ですが、角膜ヘルペスが再発したと思って、以前に処方された薬を使用してしまうと、ヘルペスウイルスがその薬に対して耐性を持ってしまいます。そして、その結果ますます症状を悪化させ、角膜に傷が出来たり、視力を低下させ、失明してしまう可能性もあります。もしも、目の違和感や充血がなかなか消えない場合は、自己判断せず、早めに眼科で診てもらうようにしましょう。

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