入れる前に考えたい…タトゥーをレザーで消すときの痛み・後遺症

「レーザー治療ならタトゥーは簡単に消せる」「レーザーなら傷跡を残さずにタトゥーが消える」と思っている方は少なくありません。しかし実際は、なかなかタトゥーが消えないなど、トラブルが多いと言われています。実際のところはどうなのでしょうか。
そこで真実を確かめるため、「六本木境クリニック」院長、境隆博先生に、レーザーによるタトゥー除去治療について詳しい話を伺いました。
六本木境クリニック院長 境隆博先生
境先生は、年間のべ300症例を超えるタトゥー除去の治療を行っており、タトゥー除去治療について深い知識と豊富なご経験をお持ちのドクターです。


レーザーでタトゥーを除去するメカニズム

Q: まずは、レーザーによるタトゥーの除去治療のメカニズムについて教えていただけますでしょうか。
境先生:まず、そもそもとして、レーザー治療というものについて簡単にご説明したいと思います。レーザー治療は、光線を患部に照射し、光と熱のエネルギーで症状を改善する治療法の総称です。皮膚の治療に使用されるレーザーには2種類があり、1つはメラニン色素やタトゥーの墨などの「色素」に反応するもの、もう1つは皮膚の細胞に含まれる「水分」に反応するものです。タトゥーの治療には、主に前者の色素に反応するものが使われます。
色素に反応するレーザーの中にも、色々と種類があり、特定の色にだけ反応するもの、複数の色味に反応するものなど、様々です。具体的には、タトゥーの除去治療に用いられるレーザーには「Qヤグレーザー」「Qルビーレーザー」「Co2レーザー」などがあります。
特定の墨の色素に反応する波長のレーザー光線を照射すると、レーザーは墨の色に吸収され、瞬間的に熱を発して墨の色素が粉砕され粉々となります。粉々となった色素を「貪食細胞(マクロファージ)」と呼ばれる細胞が少しずつ食べて分解し体外排出したり、浅い部分にある色素は皮膚のターンオーバー(新陳代謝)によって置き換わっていくとされています。


タトゥーのレーザー治療の効果

Q: タトゥーのレーザー治療を行っているクリニックのWEBサイトなどをみると、レーザーを照射すればタトゥーを簡単に消すことができるような印象を受けます。実際のところ、レーザー治療にはどの程度効果があるのでしょうか。
境先生:結論から申しますと、多くのケースにおいて、レーザー治療はタトゥーを「消す治療」ではなく、「薄くする治療」というのが本当のところです。確かに、黒一色などの墨が皮膚の浅い部分に薄く入っている場合などはほとんど完全に消えたように見えることもありますが、そのような症例は極一部であって、多くの場合ではタトゥーは薄くなるだけで消えません。
タトゥー除去治療を行っているクリニックのホームページなどでは消えるような印象の言葉が羅列されていますが、それを鵜呑みにしないようにしてください。
Q:なぜ薄くなるだけで消えないのでしょうか。
境先生:レーザーを照射すると、タトゥーの色素に反応し、熱を発しますので、患部の皮膚は100%必ずやけどをします。タトゥーをしている部分にレーザー脱毛ができないのは、毛根のメラニン色素だけではなく、皮膚内の墨に反応し、やけどをしてしまうからです。
皮膚がやけどをすると、やけど跡がタトゥーの墨の上部を覆います。そうすると、やけど跡がレーザーをはじいてしまい、墨にレーザーが届きにくくなります。下の図のように、レーザーの回数を重ねれば重ねるほど、皮膚は傷あとで厚くコーティングされていき、効果が無くなっていくのです。
レーザー照射とやけど跡
レーザーを照射すればするほど効果がなくなるわけですから、回数を重ねると効果が横ばいとなります。他院でレーザー治療を受けた患者さんの多くは、「レーザーを照射し続ければいつかは完全に消える」と勘違いをなさっているのですが、上述の通り途中で効果は横ばいとなるので、100回レーザーを照射しても、タトゥーが消えないことは多々あります。
そもそも、レーザー治療は墨の色素を粉々にして、体内の不要物を排除する貪食細胞(マクロファージ)が食べやすくする治療です。たしかに黒一色で墨の量が少ない場合には、マクロファージが粉々になった色素を分解し体外に排出します。
マクロファージがタトゥーの墨を分解
しかし実際には、上図の右側のように、マクロファージは満腹になると動けなくなり、それ以上の墨を食べることができなくなります。そのため、墨の量が多いタトゥーにはレーザー治療自体が向かないそうです。


タトゥーのレーザー治療の痛みや傷跡

Q:先ほど、「レーザーを照射すると皮膚がやけどをする」と仰っていましたが、レーザー治療の痛みややけど跡について教えてください。タトゥーの切除や削皮手術よりも痛みや傷跡、術後の後遺症のリスクは低いのでしょうか。
境先生:こちらも勘違いなさっている方が多いのですが、レーザー治療は上述の通り皮膚が焼けるので、激痛を伴います。「メスで切る治療よりは痛くないはず」というイメージを持つ方が多いのかもしれません。しかし、実は局所麻酔をした手術よりもレーザー治療の方が圧倒的に痛いため、他院のレーザー治療後に手術を受けられた患者さんは、手術の方が痛くないことに驚かれます。
Q:治療後の傷跡や後遺症についてはいかがでしょうか。
境先生:こちらも上述の通りやけどをするので、当然ながらやけど跡が残ります。そもそもレーザー治療によるやけどの前に、タトゥーを入れる時に刺した針の刺激で、既にタトゥー部分には傷跡があります。そのために、最新型・最高性能のレーザーを理想的に当てたとしても、タトゥーを入れた時にできた傷あとが浮いてくるように感じるようです。
タトゥーを入れた時の傷
タトゥーのレーザー治療による傷跡の変化
タトゥーのレーザー治療をたくさん行っているクリニックが「レーザー治療は傷あとができない」という勘違いをさせるような情報を発信していますが、これに信じてレーザー治療を受けると、やけど跡に悩まされることになります。
レーザー治療の跡


タトゥー除去治療におけるレーザーの取り入れ方

Q:お話をお伺いすると、レーザーでタトゥーを消すのは難しいようですが、タトゥー除去治療において、レーザー治療は意味があるのでしょうか。レーザー治療が向いているケースがあれば教えてください。
境先生:タトゥーを無傷で消す方法がない以上、レーザーは1つの選択枝であり続けることはまちがいありません。墨の深さによっては良い結果が出せますが、多くの場合はあまり効果が出ません。「消す治療ではなく薄くする治療である」というのを知っておく必要があります。
私のクリニックでは、レーザーだけの治療は、基本的に黒一色のタトゥーで「薄くなる程度でいい」とお考えの方にだけお勧めしています。
また、当院では、「削皮」とレーザーを組み合わせた治療を行っています。削皮は、文字通り、タトゥーの入っている皮膚を削り取る治療です。あまり深く削皮をしてしまうと、傷跡が目立ったり、感染症や皮膚がんのリスクが高まります。そのため、削る皮膚をなるべく浅くし、残ったタトゥーの墨にレーザーを当てることで、確実にタトゥーを除去しつつ、デメリットを少なくしています。


レーザーによるタトゥー除去治療を検討している方へのメッセージ

Q:最後に、レーザーでタトゥーを除去しようとしている方へメッセージをお願いします。
境先生:何度も申しますが、以下がレーザーによるタトゥー除去治療の特徴です。
多くの場合、薄くなるだけで消えることはない皮膚が焼けるため、治療には激痛を伴うやけど跡が残る(タトゥーを入れた時にできた傷あとも浮いてくるように感じる)レーザー照射の回数が増えれば増えるほど、やけど跡が墨を覆ってレーザーが届きにくくなる(効果がなくなっていく)これらをしっかりと理解した上で、治療法を検討するようにしてください。
また、最新のものとして「ピコ秒レーザー」がありますが、最新の「ピコ秒レーザー」では、墨の色素の爆発力が強く、実際に使われている先生のお話では切れ味がいい、性能が良いということになります。国内で導入している施設がまだ少ない状況です。これまでのレーザーが苦手としてきた緑やターコイズブルー・紫にも効果がある一方、赤や黄色が弱点とされています。最新のレーザーは当然効果が格段に良いのでしょうが、基本的なことは最新のレーザーでも同じ傾向にあると言えます。
クリニックの中には、患者さんのことよりも、レーザー治療機器が高額であることもあって、利益を重視してレーザー治療を勧めるところもあります。タトゥーを除去する手術には技術や経験が必要で、しかも時間も手間もかかりますが、レーザーを照射するだけなら、経験の浅い医師でもでき、時間もかかりません。
しかも、タトゥーが薄くなるだけで消えないのをいいことに、患者さんに何度もレーザー治療を受けさせるようなクリニックも、残念ながら存在します。こういったクリニックでの治療を選択してしまい、手術でないと大きな改善を望めない症例なのに、高額な治療費を払い、レーザー治療を延々と繰り返し受ける患者さんは少なくありません。
タトゥーを消したいとお考えの方は、くれぐれも十分に検討してクリニックや医師を選ぶようにしてください。
(この記事の監修: 六本木境クリニック 院長 / 境隆博 先生)
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