東京五輪ボランティア“厳しすぎる条件”の真相

熱狂のリオデジャネイロオリンピックが終わって早数カ月。次のオリンピックは2020年の東京である。競技場の問題などいろいろ懸案はあるが、いずれにしても1964年以来の東京開催が近づいてきている。

ボクら一般人でも何らかの形でオリンピックに関わりたい…と思ったら、「ボランティア」を思い浮かべる人もいるだろう。現状でボランティア募集の状況はどうなっているのだろうか。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に聞いてみた。

「現時点では大会運営に携わる『大会ボランティア』と、観光案内などをする『都市ボランティア』をあわせて9万人ほどのボランティアを募集する予定です。募集方法などについては東京都と組織委員会で連携し、一体的な仕組みになるよう検討していきます」

大会ボランティアの募集が開始されるのは2018年の夏頃、つまり再来年の夏がひとつの目処だとか。では、一体どんな人ならボランティアになることができるのか。ネット上では「条件が厳しすぎて誰もなれない」「まるでブラック企業」みたいな批判が散見されていたが…。

「まだボランティアになるための条件や業務内容などは検討をしている最中なので、決定済みのものはありません。ただ、理事会などを通じてまとめた案を公開、一般の方々からのご意見も募集しており、基本的にこれがたたき台になる予定です」

というわけで、その「東京2020大会に向けたボランティア戦略(案)」を見てみると、大会ボランティアの募集要件については“応募条件検討の方向性”と題して次のように書かれている。

(1)平成32(2020)年4月1日時点で満18歳以上の方
(2)ボランティア研修に参加可能な方
(3)日本国籍を有する方及び日本に滞在する資格を有する方
(4)10日以上活動できる方
(5)東京2020大会の成功に向けて、情熱を持って最後まで役割を全うできる方
(6)お互いを思いやる心を持ちチームとして活動したい方

さらに、大会ボランティアに活かすことのできる経験や資質等(案)として次の3項目。

(1)オリンピック・パラリンピック競技に関する基本的な知識がある方
(2)スポーツボランティア経験をはじめとするボランティア経験がある方
(3)英語やその他言語のスキルを活かしたい方

さらに、交通費や宿泊費などはすべて自腹になるという。確かにこうしてみると、自腹で交通費や宿泊費を払って10日以上活動し、あげくに語学力やスポーツ経験まで求められるとなるとなかなかハードルが高そうだ。「厳しすぎ」という批判も納得できる気がするが…。

「ただ、これらの検討案はロンドン大会やリオデジャネイロ大会での実績をベースにしたものです。また、競技会場での業務に従事するためにはある程度の競技経験や知識があったほうが望ましいとは考えていますが、あくまでもプラスアルファの部分であり、必須条件とは考えていません。ただ、世界中から選手・スタッフ・観客が訪れるので少しでも語学ができてコミュニケーションが取れれば、ボランティアに参加される方がより活動を楽しめると思います。また、実際に会場で活動するのは体力も必要で想像以上に大変です。なので、地元の小さな大会でもいいので、まずは何らかの形でスポーツボランティアを体験していただければありがたいですね。少しでも体験することでイメージもつかめると思いますので」

実際、検討されているボランティアの業務内容を見ると、その中身は意外と専門的なスキルが求められるものが少なくない。たとえば大会関係者の移動をサポートするドライバーであれば、運転技術(二種免許など)が必要になりそうだし、ドーピング検査のサポートや医療サポートなどでは医療知識も求められそう。どの業務に従事するかは募集時に希望できるとのことなので、競技知識や語学力も含めて応募者それぞれが持つスキルを活かしたボランティア活動ができる…と捉えることもできそうだ。

「最低限の募集要件はともかく、プラスアルファの部分はこれから大会までの3年半の間でチャレンジしていただければありがたいというものだと思っています。さらに障がい者、働く世代や子育て世代のボランティア参加が可能になるような取り組みも検討しており、できるだけ幅広い方々とともに大会を成功に導いていきたいと考えています」

そもそも、ボランティアとは災害ボランティアを思い起こせば分かる通り、交通費や宿泊費などもすべて“持ち出し”で報酬も求めないのが当たり前。一般企業の採用条件のように捉えて批判することが的はずれということか。

ちなみに2012年のロンドン大会では約24万人が大会ボランティアに応募し、約7万人が活動したとか。2018年夏の応募から書類選考や面接などを経て採用されれば、2020年の大会直前には研修などもあるという。日々忙しく働いている人たちの参加はなかなか厳しそうだが、興味がある人はチャレンジしてみては? 

(鼠入昌史)

(R25編集部)

※当記事は2016年11月29日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。
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※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
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