期間限定の愛人 完結編

服役囚を待つ女の、はかないひと時のラブアフェア…。 貴方は 期限付きの私の愛人…。

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真夏の別れ 4⃣

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2013/07/23 16:06:25

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マキから切り出した別れの理由が、果たして 真実かウソか…? ルリには 正直 わからない。


だが、初めて見たマキの涙だけは、どうしても 信じたい…と、ルリは思った。


ホテルを 出る時、急いで 自動精算機に1万円札を 突っ込んだルリを、マキは あわてて 制した。


これまでマキとの付き合いの間、 ルリがホテル代を支払ったことは何回もある。


それは、 経費負担はお互い様だと理解した、ルリの大人の判断だった。


しかし、ルリから マキの元へ 出向く様になってからは、全部 彼に支払わせていた。


当然のように そうしていたが、もし本当に マキが 困っていたとすれば、それさえも 負担だったのかもしれないと、ルリは胸が痛んだ。


「 だって、私が 無理やり貴方に逢いに来たんだから…。ダメよ、私が!」


「 いいよ! ホテル代くらい 大丈夫だから…。
最後くらい 俺に 花を持たせてくれよ(笑)」



最後くらい…と言う マキの言葉に、ルリは改めて 、別れの現実に 胸が締め付けられた。


月に 1、2度、完全に習慣化したマキとの逢瀬は、もうこれで 最後なのだ。


泣いてもわめいても、シマがいない間の 儚い宴のような、短いルリの恋は終わった。


( 私は フラれたのだ…。)


別れが近づき、何度も待合せしたインター側の駐車場で マキの車を降りる時、ルリの覚悟は 出来ていた。


「 マキさん、本当に 今までありがとう。
おかげで私、ボスがいない間も 女のままで いられたわ(笑)
あと暫く、なんとか 頑張るから!」


ルリは、いつもの 精一杯の営業スマイルを無理矢理つくり、助手席からマキへ にっこり微笑んだ。


マキも、にっこりと笑い返す。


だが、その笑顔は どこか 哀しげだ。


「 俺、契約違反だな…。
約束の一年半の 半分ちょっとしか 、ルリに 尽くしてあげられなかった。 ホントにごめんな…。」


穏やかな口調で、マキは 優しくそう言った。


「 気にしないで!
私みたいなややこしい女の相手をしてもらって、貴方には 本当に感謝してるのよ。
こっちこそゴメンね。…あの、ブログのことも…。」


どうしても これだけは謝罪したいと、最後に思い浮かんだ言葉を、ルリは口に出していた。



そして、最後に一度だけ、ルリが書いたあのブログを マキがどう思っていたか、本音を聞いてみたかったのた。


「 ねえ マキさん、私のブログ あのまま 公開してて いい?
貴方が 嫌なら、私 全部削除してもいいのよ…。」


記事を書きながら、実は常に 気にしていた 実在のモデル マキの本音は、ルリにとって最大の関心事であり 恐れでもあった


ネット上で あれを公開したことで、もしかして マキは、傷付いていたのではないか?


すると マキは、寂しげな笑顔のまま ルリをじっと見つめ、意外な 答えを返してきた。


「 …その必要はないよ。
俺みたいなつまらない男の事を、 あんなにカッコ良く 書いてくれて、嬉しかったよ。
まさか 自分が小説のモデルになるなんて、考えたこともなかった。
貴女には 本当に 驚かされた(笑)
だけど、俺にとって 一生の 記念になったよ。
やっぱり ルリは、忘れられない女…だな。」


…と、呟くようにマキが 言った最後の一言に、ルリは 心の底から湧き上がる充実感を噛み締めた。


ルリが書いた、マキへのラブレターのような、あの「期間限定の愛人」を、彼はどうやら理解してくれたのだ。



もはやルリは、 他に何もいらなかった。


この時、やや照れてはにかむマキの 寂しげな男前の笑顔を、ルリはきっと忘れないだろう。


( ありがとう…、マキさん。)


それからルリは、別れのキスも 抱擁さえもせず、 助手席ドアを勢い良く開け、外へ飛び出した。


そして、横付けされたワゴン車に乗り移ると、エンジンをかけながら、パワーウインドウを下げ、大声で叫んだ。


「 さよなら、マキさん! 元気でね!」


すると、マキもウインドウを下ろし、最後の笑顔を見せる。


「 ボスに よろしくな…!(笑)」



「 貴方こそ、奥さんと子供 大切にね! 
頑張れ、オヤジ…!」


最後にそう 軽口を叩き合い、ルリは笑いながら、ワゴン車を 滑らかに発進させた。



シマのいない寂しい秋に始まり、一年を待たず夏に終りを告げた 中年女ルリの最後の恋は、真夏の通り雨のように 激しく降り注ぎ、そして 鮮やかに消え去ったのだ。


そしてルリに残されたものは、マキとの出逢いによって生まれた、あのブログだけであった。



最終章へ続く

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