期間限定の愛人 完結編

服役囚を待つ女の、はかないひと時のラブアフェア…。 貴方は 期限付きの私の愛人…。

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マキの過去…そして欲望 2⃣

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2013/07/22 13:08:54

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昼間のラブホテルの ロールカーテン越しに覗く、マキの住む街の景色は、ルリにとって 忘れられないものとなった。


遠くに 貨物船が着岸する 埠頭が見える。


マキと出会わなければ 何の接点も無いこの景色を、 ルリは生涯 目にすることは なかったかもしれない。


薄いバスローブを 引っ掛けただけの二人は、互いに 煙草をふかしながら、もの想いに耽る。


中年男女の、真っ昼間の情事とは こんなものだ…。


もともと 仕事も趣味も合わないルリとマキに、共通の話題などありはしないのである。


以前からどうしても マキに尋ねてみたかったことを、ルリは突然 口にした。


「 ねえ…、マキさんって 本気で 誰かを愛したことは あるの?
苦しいほど 、女を好きになったことは…?」


「 なに…? 突然?(笑)」


マキは、やや 困惑したように鈍く微笑んだ。


「 貴女も 失礼だなあ…(笑) 俺にだって、真剣に恋愛した時期もあるんだぜ。 まあ、遠い昔の話だけどね…。」


それからマキは、過去の女との ある別れを、 しんみりと語り始めたのである。


マキは 、10代の頃からこの地域でロックバンドを組んでおり、高校卒業後 直ぐに上京し、実は プロを目指して 5年間 バンド活動に 興じていたのだと言う。


当時彼は、 東京で貧しいバイト生活を食いつなぎながら、新宿や渋谷のライブハウスで、 バンドボーカルを張っていたと言うから、驚きである。


「 …やっぱり 貴方はタダ者じゃないと 思ってたわよ。そりゃ、昔は もっとカッコ良かっただろうしね(笑)」


初めて聞くマキの過去に、ルリは 興味を惹かれた。


「 …ソレ 否定はしないけどさ(笑)
まあ、当時は 女には不自由はしなかったよな一応、追っかけみたいなのも居たしね…。」


ルリの言葉に、マキは さらに頬を紅潮させ る。


「 …そんなことを 続けているうちに、ある女の子と 出会ったんだよな。
まあ、その娘が 俺の 生涯忘れられない人なんだが…。」


…そう言って、 マキは やや寂しそうな 笑みを浮かべた。


マキのライブをいつも見に来ていた その娘と、まもなく彼は 激しい恋に落ちてしまったのだと言う。


都会のホステスだった若いその娘と、運命的な恋に落ちた彼は、直ぐに 彼女と同棲生活を始める。


だが その娘には、俗に言う ヤクザのヒモが 着いていたのだ。


彼は、ヤクザ男と まだ完全に切れていなかった娘と、駆け落ちまがいに 東京を捨て、関西まで逃げて 身を潜めた。


しかし男は、組織の力で 二人を執拗に追い込み、 遂に探し出されてしまったのだ。

さらにヤクザは、北◯州の マキの実家にまで押し掛け、両親を脅し 凄んだのである。


あげくにマキは、女を奪われ 無残にも半殺しの目に遭わされ、ボロボロの状態で バンドの夢も何もかも総てを失い、故郷に 逃げ帰ったのである。


「 …結局、俺は 命を張れなかった…。女を 守ってやれなかったんだよ。
それから 、俺が再び ギターに触ることは 一度もなかった。
こっちへ 逃げ帰って暫くして、親戚のコネで地元に就職した。
今の女房は、幼なじみだった女さ。
妊娠させちまったから、仕方なく結婚した。
別に、 女なら誰でも良かったのかもしれない。
…アイツを失ってから、俺は もう 女を愛せなくなっちまったのかもな…。」



長い昔話を終えると、マキは ベッドに ゴロンと その身体を 投げ出した。


「 …貴方に そんな過去があったなんて…。 」


…リーゼントに革ジャン 小粋なツッパリ姿で、伝説のバンド キャロルやクールスに憧れ、ロックンロールに 真髄する 遠い日のマキの若き勇姿を、 ルリは思い浮かべる…。


彼も結局ルリと同じ 、バブル期の華やかな青春時代を過ごして来た若者だったのだ。


だが、過去の苦い体験は、熱い若者たちを いつしか醒めた大人の男女に変えてゆく。


ルリも そうだ…。
元夫も、10年越しの不倫相手タカヒロも、そしてシマも、全ては 今のルリの人格形成の要因なのだ。


(この男の どうしようもない冷酷さは、やはり悲しい過去の傷…だったのだ。
マキは やはり 魅力的な男だ…。
彼を好きになったことは、決して恥ではない。
でも私は、マキのように惨めな逃亡はしない。
私はもう、シマだけを待つことに決めた。
シマという男に、残された人生を賭けたのだ…。)



窓の外に広がる港の 遠い貨物船を眺めながら、ルリは まもなく訪れるはずの マキとの 別れを 想い描いていた。



次話へ続く

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