ブログランキング13

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 3889
  • 読者 789
  • 昨日のアクセス数 9818

テーマ:小説 > 恋愛

2018/05/17 12:19:26

  • 110
  • 2

「乃梨子。」

広縁に座って庭を眺めてると、背後から声を掛けられた。

振り返ると…

「え…っ、お義父さん?」

立ち上がりかけると、お義父さんは小さな声で『いいからいいから』なんて言って…あたしの隣に腰を下ろした。

「誓は。」

「あ…おばあさまの教室を手伝って来るって。」

「仕事好きだな。時間が空いたなら少しは休めばいいものを。」

「お義父さん…お仕事は?」

「何となく帰りたくなってね。」

「…何となく帰りたくなって…」

「ふっ…私も歳を取ったな。」

「……」

お義父さんは…社長さんだ。

本当に忙しい人…だけど、晩御飯までには帰って来ようとしてくれてるって分かる。


「…私が言うのもおかしい気はするんだが…」

少しだけ無言で景色を眺めた後。

お義父さんが、穏やかな声で話し始めた。

「母は、結婚して10年子供が出来なかったんだよ。」

「……」

その言葉に、静かに瞬きを繰り返す。

おばあさまが…結婚して10年…

…ん?

でも…

「…相当若くしてご結婚された…って事です…か?」

何となく、お義父さんの年齢と合わない気がする…と思って、顎に手を当てて首を傾げると。

「16で結婚して、26で妊娠。27で娘を産んだ。」

「……」

顎に当てた手を動かせなくなった。

お義父さんは今、『娘を産んだ』と言った。

て事は…

…お義父さん…は?


「あそこにかかってる写真が、そうだよ。誰かに聞いたかい?」

お義父さんが仏間を指差して言った。

そこには、先祖代々の写真が掲げられてる中に…一枚だけ、幼い女の子の写真が。

「…お義父さんの…妹さんだ…って…」

そう。

おばあさまに聞いた。


「…私は、父の愛人の息子なんだよ。」

「!!!!」

その告白に、あたしは目を見開いた。

だけどそうなるのを予測出来たからか、お義父さんはあたしの顔を見ずに庭に目を向けて優しく微笑んだ。


先祖代々…ご高齢や初老の方の写真が並ぶ中、幼い女の子の隣に…お義父さんに似た男性の写真がある。

それは聞かなくても、『おじいさま』だって気付いた。

お義父さんはもうその『おじいさま』の年齢を越されてて…だけど、ふと…お義父さんから亡くなったおじいさまの話を聞いた事は一度もなかったと気付く。

…おばあさまからも。


「…どの時代でも、女性は大変だな。」

膝に置いた手を組んだお義父さんは。

「実の娘を亡くした母は…憎いであろう私と…ここで生きて来た。」

そう言って、そっと目を伏せた。

あたしはその何と言葉を出していいか分からない告白に口をつぐむ。

…憎いであろう私…?

ううん…絶対…そんな事、ない。


「憎いなんて…」

気が付いたら、あたしは口にしてた。

「…?」

「憎いなんて、絶対思われてないですよ。」

あたしは背筋を伸ばして…空を見上げる。

「おばあさま、言ってました。あの写真は『貴司の妹ですよ』って。」

「え…」

「おばあさまの中では…お義父さんはご自分の『息子』なんだと思います…」

「……」

「家族って『血』じゃないですよ。」

「……」

「…はっ…あっ…ごっごめんなさい!!偉そうに…」

お義父さんが無言であたしを見てる事に気付いて、慌てて頭を下げる。

するとお義父さんは小さく笑って。

「…乃梨子も、『血』じゃないって思えてるんだね?」

あたしの頭を、ポンポンとした。

「あ…は…はい…」

すごく恐縮だけど…こんな機会、めったにない。

あたしはお義父さんに向き直ると。

「桐生院家は…本当に温かくて…『家族』って…『血』の繋がりだけじゃないって思い知らされてます。」

しっかりと目を見て言った。

「…思い知らされてる、か。」

「あっ、そこだけ切り取らないで下さいぃぃ…」

「ふっ。乃梨子を励ますつもりが、反対に励まされてしまった。」

「…え?」

「乃梨子が笑顔じゃないと、子供達の元気が出ない。あ、もちろん私達も。」

「あっ…あたし、みんなに心配かけて…本当ごめんなさい!!」

下ろしてた足を広縁に上げて正座して。

あたしは床に額をこすりつけて謝った。

「あはは。謝らなくても。まあ…誰にも落ち込む理由はあると思うけど、それを一人で抱え込むのは良くない。」

「…はい。」

「乃梨子には、誓も…家族のみんなもいる。」

「…はい。」

「もっと、吐き出していいんだよ。」

「……」

本音は…

吐き出せるわけないじゃない…!!

なんだけど…

お義父さんに、こうやって励まされた事は…すごく嬉しい。

掴みどころがなくて、無口で…

だけどいつも家族のみんなを温かい目で見守ってくれてるお義父さん。

同じテーマの記事

コメント2

しおりをはさむ

  1. ホナミさん(102歳)ID:6695233・05/17

    ヒカリさん、
    お久しぶりです(✿´ ꒳ ` )
    楽しみにしていますね

  2. ヒカリさん(100歳)ID:6695200・05/17

    今日は頑張っていくつか更新します!!

関連するブログ記事

  1. 逃げ出したかったけど、二次会には参加した。式場の最上階に...

  2. 53rd 79

    12/10

    「んーあっ!!」「おはよー。」咲華が桐生院に顔を出し...

  1. 39th 133

    2017/08/30

    アメリカでなっちゃんと再会した経緯や、誰と暮らしていたかを思...

  2. 39th 85

    2017/08/27

    「…聞きたい事があるんだけど。」突然、ソファーにいた麗が...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

11/16 編集部Pick up!!

  1. 妻を家政婦扱いする夫に呆れた
  2. FBの幸せそうな投稿見てイライラ
  3. 共稼ぎなのに夫が家事をしない

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3