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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/12 23:29:31

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特にこれといった会話もないまま食事を終えて、あたしが洗い物をしようとすると…

「そこはいい。送るから帰れ。」

千里が立ち上がって車のキーを手にした。

「え…でも…」

「作ってもらったんだ。洗い物ぐらいする。」

「……」

洗い物して…

このまま、一緒に桐生院に帰らない?

そう言いたいけど…

なぜか、千里には…そう言える隙がない気がした。

でも…言いたい…

ライヴ前だもん…

家でのんびりできた方が…


あたしが切り出そうと顔を上げると。

「もうしばらく、ここにいさせてくれって高原さんに頼もうと思ってる。」

千里が…あたしの目を見て言った。

「…え…っ…」

「……」

「……」

あたしが動揺したような表情を見せたのか…千里は小さくため息をつくと。

「帰りたくないとか、そういうんじゃないんだ。」

あたしの手を取って…言った。

「思いがけず一人の時間が出来て…色々考える事が出来た。」

「……」

「それは、俺とおまえの事もそうだし…家族の事や、仕事の事だってそうだ。」

すごく、ズキズキしてたけど…

ちゃんと聞かなきゃ…と思って、あたしはうつむきそうになった顔を上げた。

「今までの俺は…ずっと色んな事に甘えてたと思う。」

「…甘えてた…?」

「ああ。思いのままに歌を書いて、好きなように歌って、家に帰れば大事な家族がいて、これ以上ない幸せだ。って勝手に思って来た。」

「……」

「なーんにも、苦労なんてしてねーんだよな…」

千里の言葉に…あたしは、軽く唇を噛んだり…眉を少しひそめたりしてしまった。

そんなあたしを見て、千里は『ふっ』て鼻で笑うと…そっと頬に手を当てて。

「おまえから離れたいって言われた時は、この世の終わりみたいな気がしたけどさ…結果良かったって思ってる。本当に色んな事を経験出来たし、バンドの面でも……」

そこまで言うと…少し様子が変わった。

「…千里…?」

「……」

何だか、目が…

「千里?どうしたの?」

あたしは千里の頬に触れて、軽く叩いてみる。

「千里。ねえ、千里?」

両手で頬を挟んで、少し強めに叩いてみると…

「…あ…悪い…ちょっと考え事した。」

千里はパチパチと瞬きをして頭を振った。

「…考え事…?」

そんな顔じゃなかった。

「…今、何考えてたの?」

「何って…」

「教えて。知りたいの。」

「……」

あたしが胸元を強く掴んだせいか…

千里は自分のそこを見下ろして、もう一度あたしを見て…

「アズと、いつからの付き合いだったかなー…とか。そういうのを考えると、なんか…真っ白になるっつーか。」

そう言うと、苦笑いをしながら前髪をかきあげた。

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