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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/12 18:47:39

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目の前のランプが光って、あたしは歌うのを止めて振り返った。

今日は…『ぼっち部屋』って呼ばれてる個室のスタジオで、個人練習。

もう随分歌った事のない古い曲も、おさらいするかのように歌い続けてた。


「お久しぶりです。」

ドアを開けて言うと、久しぶりの里中さんは前髪をかきあげた。

本当は、会わなくなって数日だけど…

先月からかなりオタク部屋に通ってたあたしには、すごく久しぶりな気がした。


「集中してる時に悪いけど…ちょっといいかな。」

里中さんが申し訳なさそうに…言った。

「あ、はい。もうそろそろやめなくちゃって思ってたので…」

ヘッドフォンとマイクを片付けて、あたしはぼっち部屋を出る。

「そこのミーティングルームでもいい?」

「はい。」

「何か飲む?」

「いえ、あたしはこれを…」

あたしが手にした水筒を見せると。

「ああ…いつもの特製ドリンク?」

里中さんは苦笑いをした。

あたしにとっては美味しいんだけど…

里中さんは一口飲んで、この世の終わりのような顔をしたっけ…


「正直に言わせてもらっていいかな。」

里中さんはルームに入って椅子に座ると、あたしの正面に座って…組んだ手をテーブルに置いて言った。

「はい…」

「ライヴまでに、神を家に戻してやってくれないかな。」

「……」

つい…黙ってしまった。

「…ご存知だったんですね…」

「この前、神に呼び出されてマンションに行ったんだ。」

「千里に…?」

「ああ。ほぼ朝までセッションした。」

「……」

それは…

とても意外だったし、何だか嬉しいと思う自分がいた。

千里、アズさんとか…みんな仲いいけど、うちに誰かを呼んで朝までセッションなんて事、なかったし。

人を呼んでお酒を飲むことはあっても…

元々千里は、家で歌ったりギターを弾いたりする人じゃないから…


「今、F'sのスタジオに入ってるんだ。」

「…噂に聞きました。大御所相手にも容赦ないって。」

あたしがズバリ言うと、里中さんは『そこかー…』って小さくつぶやいて、テーブルにゴンと頭をぶつけた。

「ぶっちゃけ…神、すげーよ。俺、もう演る方は終わったって思ってたし、やる気もなかったんだけど…」

「……」

「神の歌聴いてたら、うずうずした。ほんと、あいつの歌は…」

里中さんは首を小さく横に振って、軽くため息と言うか…小さく息を吐いて。

「魂だな…って思う。」

あたしの目を見て、言った。

その…里中さんの目は、何だかキラキラしてて。

ああ…里中さんをここまで言わせるなんて…

千里の歌って、本物なんだな…って思った。

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