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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/12 10:30:37

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「……」

「……」

「ばーっ。あっあっ。あーばっ。」

「ふふっ…リズちゃん、おしゃべり上手ね。」

「ほんとに。」

「ぶー。んっばーばっ。ぱっ。」

「……」

「……」

…環が…

『ちょっと電話をかけて来ます』って出掛けたまま…

帰って来ない。と思ってたら…

『海が帰って来たから本部に行って来る。また迎えに来るから』ってメール。

……嘘でしょ!?

「咲華…携帯置いて行ってるみたいで…」

知花さんが残念そうな顔でそう言って。

それにはあたしも…少し苦笑いになった。


美味しいお茶をいただいて、海と咲華さんの結婚についても少し話した。

だけど…

もう話すことがない…!!

リズちゃんは可愛いけど、仰向けになって天井を見てるその目は…

…もう、眠そう。


どうしよう。

歩いて帰ろうかな…

環は外堀を埋めよう…なんて言ってたけど、あたし一人じゃ…そんなの無理。

「…ばー…んっ。」

ふいに、リズちゃんが振りかざした手がリモコンに当たって。

パッとテレビがついた。

「あっ…」

その大画面に映し出されたのは…

知花さんの旦那さん、神千里さんの…歌う姿。

「あっ、あっ…ああっ…ごっごめんなさいっ…」

テレビを消そうと、必死な知花さん。

だけど慌てれば慌てるほど…リモコンは彼女の手を踊るように宙に浮いたり手に戻ったり…

最終的に、座布団の上にポトンと落ちた。

「んきゃっ!!」

そんな知花さんの様子がおかしかったのか、眠そうだったリズちゃんがパッチリと目を開けて笑った。

…ふふっ…

本当に天使みたい。


「…ごめんなさい…バタバタしちゃって…」

赤くなった知花さんがうつむいてテレビを消す。

「…ご主人と…別居中とか。」

「……」

「あ、ごめんなさい。立ち入った事…」

知花さんは小さく『いえ…』と言って、ニコニコになってるリズちゃんの手を握ると。

「…あたし…全然ダメなんです…」

そう言って、小さくため息をついた。

「…ダメ?」

あたしが首を傾げて問いかけると。

「…いつまで経っても…十代みたいな気持ちって言うか…彼の事が好き過ぎて…」

視線はリズちゃんに向けたまま、そう言った。

「……」

「自分だけが…こんなに好きなんじゃないかなって思ったりして…」

「……」

「いくら彼が愛情表現をしてくれても、それはもう生活の一部ってだけで…気持ちは入ってないんじゃないか…なんて、被害妄想もいい所なんですけど…」

「……」

「…あっ、ごめんなさい。こんな話…」

知花さんは、あたしが見つめてる事に気付いて顔を上げて。

「…別居の理由はそれだけじゃないんですけど…最大の理由はそんな…あたしのつまらない想いのせいで…彼はきっと理不尽だって思ってるはずだし、こんなあたしに呆れてるんじゃな」

「解る。」

「………え?」

気付いたら…あたしは彼女の言葉を遮ってた。

「…解るわ。あたしも…夫の事、大好きなの。」

「……」

「彼はいつまでも若くて…あたし達が生きてるのは裏の世界ではあるけど、女性がいないわけじゃない。そんな現場に彼だけが長く行ってしまうと…不安で…」

「…そんなの…あたしだったらモヤモヤしちゃう…」

「でしょう?だから、あたしはなるべく現場は一緒に行きたい。なのに…環は危険だから待ってろって…」

「危険だからこそ、一緒に居たいって気持ちなのに?」

「男にはわからないのかも。守りたいって気持ちは女にだってあるって事。」

「……」

「……」


それから…知花『ちゃん』は、テレビをつけて。

ご主人の歌う姿を見せてくれた。

陸の結婚式以降、あたしが彼を見たのは…テレビで数回。

親戚とは言っても、あたしの中では『向こう側』の人。

だけど…

「彼はいつも…みんなのものなんだなあって…」

テレビ画面に映るご主人に、まるで恋をしているファンのような目。

あたしはそんな知花ちゃんを見て。

環が戻って来るまで、どれぐらい時間があるんだろう…なんて思いながら。

「…このお菓子、いただいていい?」

ずっと手付かずだったダックワーズに手を伸ばした。

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