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学園祭《事件編》その10

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2017/10/09 18:24:18

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柚山春菜は溜め息をついた。
…あり得ない。
私は、こんなに不器用だったのね…

9本目の曲がってしまった釘を釘抜きで抜きながら、もう一度溜め息。
その様子を見ていた佐々本昴は、言った。
『柚山先輩。貸してください』
ハルナは、黙って金槌を佐々本に渡した。

『先輩、DIYに興味があるって嘘ですよね?』
にやつきもせず釘を打ちながら、佐々本が言う。
釘は、すいすいと木材に吸い込まれて行く。
3本の釘を打ち込んだところで、佐々本はハルナに金槌を握らせ、その上から自分の手を添えた。
予想以上に温かく汗ばんだ手に、ハルナは一瞬ドキッとする。
『ここです。金槌はもう少し後ろを握るんです。そして、恐れないで一気に叩く!』
手を離し、少し離れながら、佐々本が続けた。
言われるように金槌を振り降ろす。
巧い!嘘みたいに上手くいった。

思わず佐々本の目を見つめる。
佐々本も、嬉しそうに笑ってくれた。
『その調子です。同じ箱をあと4個作りましょう!』


大道具係リーダーの佐々本から休憩が宣言される。
ハルナは、とりあえず、手にしていた金槌をそこに置き、部員の輪から少し離れた所に座った。
隣に佐々本がやって来て座った。
見ると、缶コーヒーを差し出している。
礼を言って受けとると、蓋を開けて口を付けた。

『柚山先輩、さっき言ったことすみませんでした。おれ、偉そうに…』
ばつが悪そうに言う佐々本に、ハルナの方が申し訳なくなる。
『いや、そんな…此方こそ、こんな忙しい時期に足を引っ張るようなこと…』
佐々本が笑う。
『誰もそんなこと思っていませんよ。柚山先輩が一所懸命なのはわかりましたから。DIYも、演劇も。やりたい人が作り上げたいものを作る。だから、それが大道具係の喜びなんですよ。先輩は、上達が早い。さ、今日はあと1時間半。頑張りましょう!』

ハルナは缶コーヒーを飲み干し、大きく頷いた。

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