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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/10 17:32:40

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「…父さん、うちに帰ったら?」

あたしが向かい側に座って言うと。

「………」

父さんは、それまで笑ってた口元を引き締めて…

「…夕べ知花と話して思った。あいつにとって、俺は毒だなって。」

「ど…な…そんな事…」

あたしが言葉に詰まると、父さんは小さく笑って。

「あいつに色んな事を吐き出させなくしてた。本当は、自分の気持ちも文句も…山ほど口にしたい事があったはずなのに、俺が言えなくしてた。」

リズを…そっと抱きしめた。

父さんの腕の中で、リズは一瞬顔を上げて父さんを見て。

それから…笑いながら、小さな手で父さんの頬に触れた。


「…昔、SHE'S-HE'Sに全米デビューの話が持ち上がった時、あいつは両立は無理だ。って、俺よりバンドを選んだ。」

「……」

「あの時も…俺は知花にとって毒でしかなかったからな…」

父さんの小さなため息に…あたしは唇を噛みしめて眉間にしわを寄せた。

…どうして?

父さん、全然毒なんかじゃないじゃない…

どこから見ても、母さんの事…全身全霊かけて愛してて…


そりゃあ、あたしなんて…

漠然と傍から見て『仲良し夫婦』だって思ってて…

実際は、父さんとは何年も『そこにいるだけ』みたいになって、さらには険悪にもなってたけど…

だけど、父さんが家族をどれだけ愛してるかは、すごく分かってるつもり。

…ていうか…

この別居で…痛感した。


大部屋に父さんがいるだけで、あたし達は安心してた。

家族の事、ちゃんとそこで見てくれてる…って。


「母さん…どうして両立は無理だって…?」

「…ま、ただ単に俺を信用出来なかっただけだ。離れたら不安だっつってたからな。お互い若かったし…仕方ない選択だったとは思う。」

「だからって…」

「そう。だからって、離婚なんてする必要なかった。」

「……」

「だから、俺は…」

「……」

「……」

「…俺は…何?」

父さんは鼻で笑って立ち上がると。

「いや…」

リズをあたしに手渡して。

「心配するな。あいつがどれだけ俺を拒否しても、俺があいつから気持ちを離す事はないから。」

そう言って、あたしの頭をポンポンとした。

「…大丈夫…?父さん…」

何が…ってわけじゃないけど、何か心配でそう声をかけると。

「俺はへーきだよ。おまえとリズに、随分助けられてるからな。」

すごく…

泣きたくなるような、優しい顔して言ってくれた…。

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