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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/10 14:41:06

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「何が。」

何か考え込んでる里中に声を掛けると。

里中は難しい顔をしたまま。

「いや…早乙女に新しいエフェクターボードの相談を受けた事があってさ。」

話し始めた。

「ああ。」

「早乙女と二階堂の音作りに関しては、プロデューサーに入って色々ディスカッションを繰り返して信頼してもらえてたから、今回も細かい部分まで話を聞いたんだけどさ…」

里中は二本目のビールを開けて。

「最初に知花ちゃんから預かった早乙女のリクエストを見て、ん?って思ったんだ。」

しかめっ面で俺を見た。

「どうして。」

「音作りの内容が、ライヴ向けだなって思ったんだよ。」

「……」

ライヴ向け。

て事は…

SHE'S-HE'Sはメディアに出るっつっても…

雑誌とかそういう類に顔を出すって言うより…

「…事務所以外のステージでライヴをしたい…っつー事か。」

俺がビールを飲みながら言うと。

「しかもあの様子だと、屋外だな。」

俺の眉間にしわが寄るような答え。

「…屋外?」

「何かフェス的な物に出るとか…企んでるんじゃないか?」

「……」

この前、早乙女を呼び出した時…あいつ…

『知花に何か聞いたんですか?』っつったよな。

もしかして、この事だったのか?


「あいつら、ずっとメディアに出ない前提でやって来て…やっても事務所でのライヴだろ?人様の音作りを参考にしようとしても…出来ないわけさ。」

「出来ない?なんで。」

「一つは、知花ちゃんの声だな。」

「…知花の声…」

「もちろん、瞳ちゃんの声も。あんなボーカリスト他にいないだろ?あの二人の声を屋外で響かせるとなると、ギター二人の音作りはかなり慎重にやんねーと、下手すると声殺すからな。」

「……」

俺が頬杖をついて里中を見てると、里中はキョトンとして。

「…何だ?」

とぼけたような声で言った。

「いや…おまえ、ずっとオタク部屋にしかいねーのに。さすがだなと思って。」

俺が一応誉めたつもりでそう言うと。

「…誉めんなよ。気持ち悪い…」

里中はやっと弁当を開いて食い始めた。

「…知花に惚れてんだろ。」

「ぐはっ!!げほっ…ぐっ…」

「ったく…言っとくけど…」

「ばっ…バカか…急に…」

「いいから聞け。」

俺は里中に顔を近付けると。

「…今夜の事…」

「……」

「アズに言うなよ。」

低い声で言った。

「……はあ?」

「別居の事は誰にも言ってねーからな。あいつが知らない事をおまえが知ってるとなると、間違いなく妬く。今夜ここに呼んだのが、アズじゃないってとこにもな。」

「…何で俺に…」

「また最初から説明すんのか?」

「…はいはい…一番近い男だから…だな。」

「男とは言ってない。」

「…めんどくせー奴…」

「ふっ。」


里中が知花に惚れてるのなんて、オタク部屋でのこいつの視線を見てれば一目瞭然だ。

まあ…

知花は気付かねーだろうけどな…。

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