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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/10 00:14:03

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「…なっちゃんに本当の歳を言うの、怖かった。」

ふいに、母さんがうつむいて言った。

「あー…衝撃的だったな…」

「え…?本当の事を話したのって、付き合う前?」

あたしが二人を交互に見て言うと。

「俺はもう惚れてたからな…かなり童顔の21歳に告白したら、実は…ってさ。」

父さんは首をすくめて。

「あの時なっちゃん、すごく動揺してた。だからあたしもショックで…自分の事も責めたし、あたしが悪いのに…呆然としてるなっちゃんに八つ当たりした。」

母さんは、唇を尖らせた。

「それからも…さくらには秘密だらけだった。」

「そ。あたしは秘密のさくらちゃんだったの。」

「何だそれ。」

「ふふっ。」

「……」

秘密のさくらちゃん…

それはきっと、あたしも知らない事なんだろうな…って思ったけど。

あたしは…

「…母さん。」

「なあに?」

「本当の自分を知ってもらうのって…怖くなかった?」

「えっ?」

あたしの質問に、母さんは目を丸くして。

「あー…」

首をぐるーん…と回して、空をじっ…と眺めた後…

「…怖かったし、今も怖いなーって思う事あるよ?」

笑顔で…言った。

「…今も?」

「だって、人ってきっと毎日変化がある。その中で、自分の知らない自分に出会う事だってあるかもしれないじゃない?」

「……」

「それを全て、周りの人が受け入れてくれるとも限らない。だから…あたしだって、言えない事はたくさんある。」

そう話す母さんを、父さんが…すごく切ない目で見てる事に気付いた。

「でも…一度きりの人生だもん。言わなくていい事は置いといて…言いたい事や知ってもらいたい事は、言わなきゃ損じゃない?」

「言わなきゃ損…」

「あっ、そこを繰り返す?」

「最後だったから。」

「ふふっ。とにかく…大事な人が幸せならそれでいいって思うのは悪い事じゃないけど、大事な人はきっと…あたしにも幸せでいて欲しいって思ってると思うんだよね。」

「……」

その言葉を聞いて…あたしは…

「…どうした?」

父さんが、あたしの頭を撫でる。

ポロポロと…次から次へと、あたしの目から涙がこぼれた。


あたしは…

あたしが黙ってれば…あたしが『うん』って言ってれば…って。

周りが幸せでいられるなら、いいんだ…って。

そう思ってた。

本当は、全然いい子なんかじゃないし、優しい女でもない。

ドロドロした気持ちもたくさん持ってるし、ヤキモチ焼きだし、すぐ拗ねるし僻むし…

その時口に出して言い返したいのに…飲みこむ。

笑顔で飲みこんで…腹の中で愚痴を言う。

それが全部抽象的な英語の歌詞になって…

…あたしには、素直な恋や愛の歌が書けない。


ハードロックにはうってつけの歌詞と思われてるのかもしれないけど…

あたしが歌いたいのは…


千里への、溢れんばかりの愛の歌なのに…。

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