あなたが大人になったら

持病を抱え、恋愛はしないと決めた。 あなたが大人になる、その時まで。

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2017/10/08 17:48:33

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翌日、いつもと変わらない日常を過ごす。

蒼太も、何も変わらない。
そんな些細なことが、嬉しかった。



ただ、体調がすぐれない。
倦怠感に襲われながらも、身体に鞭打って仕事へ向かう。



会社には、妊娠の報告はまだできない。
気付かれないように頑張るしかないのだ。








(『妊娠報告』って、
どのタイミングですればいいんだろう…。)






「うーん…」と考えていると、出勤前の蒼太が声をかけてくれた。




「体調が悪いなら、ちゃんと休むんだよ。

しんどいなら、上司だけでも報告すること。いいね?」





蒼太の心配そうな顔を見ていると、逆に気持ちが落ち着いてきた。私は案外、単純な生き物なのだ。




「うん。
上司は私の病気のことも心配している人だから。


きっとわかってくれると思うよ。」




そう言って、ニッコリ微笑んだ。
私の周りは、良い人で溢れている。

そうだ、こんなに恵まれた環境なのに、何を悩む必要があるのか。


蒼太と二人でお腹を撫でて、家を出る。

分かれ道で、手を振って別れた。
2、3歩進んだところで「そういえば」と蒼太が声をかける。



振り返ると


「モカさん、ちょっと太った?」



蒼太がお腹の肉をつまむ動作をしながら笑っている。








もう!!!!!






私が怒るフリをすると、蒼太は嬉しそうに笑っていた。



もう、一言余計だ……。

そう思いながらも、蒼太なりの優しさが身に沁みる。






いつも通り、笑顔で過ごせそうだ。


この道の先、何が起こるかなんて誰にも分からない。






それでも、私たちは笑って進みたい。





たとえ、その道が『茨の道』であったとしても。












会社に到着すると、通勤の疲れからか深く椅子に腰かける。
「おはようございます。」と同僚に声をかけながら、フゥ、とため息をついた。





「……あれ、桃花さん。

妊娠した?」






突然の声掛けに、私は椅子から転げ落ちる勢いで驚いた。
振りむくと、隣の席の先輩が心配そうに顔を覗き込んでいた。





「加藤さん……!


おはようございます!………っていうか、どうしてですか!?」






心臓がバクバクと高鳴る。
どうして、どうして……と頭の中が混乱していた。

そんな私のミエミエの態度に、先輩が慌てて謝った。






「ごめんねっ!!

ちょっとしんどそうに見えて……失礼な言い方だったね。」





平謝りの先輩に、私はドキドキしながら話しかける。





「いえいえ、大丈夫ですよ!」



先輩の洞察力の鋭さに、緊張しっぱなしだった。
(これは、嘘はつけないな………。)
心の中で、この先輩には早めに報告しようと決意する。


そして、フと思い出した。






「加藤さんのお子さん、双子ですよね。」






私は、ゴクリと唾を飲み込んだ。


聞きたいことは、山ほどあった。

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