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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/09 21:01:55

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「疲れただろ。」

「ううん。大丈夫。」


今夜は…初めて、二階堂の本家にお泊り。

昼間、ここの敷地内にある東さんにお邪魔して…ご両親に挨拶をした。

しー…志麻さんとの事。

ご両親はあっけない程、あたしに『幸せになって下さい』と。

ホッとした自分もいるし…

…彼に同情する自分もいた。


今も…あの日の彼の冷たい目を思い出すと…背中が冷たくなる。

あの時泉ちゃんが来なかったら…

彼はあたしとリズをどうするつもりだったんだろう。


「うちの親が桐生院家にはいつ挨拶に行こうって言ってるけど、高原さんに相談したら『もう少し落ち着いてからにしてもらっていいかな?』って言われてさ…」

海さんが、あたしの頭を抱き寄せて言う。

今日は東家に挨拶した後、父さんの所へまた行って…

それから一度桐生院に戻って…

本部から戻った海さんに迎えに来てもらって、一緒にここへ。

二階堂の皆さんがズラリ並ばれた前で…挨拶をさせていただいた。


「うん…ごめんね?お母様には、それとなく…事情を話しておいたんだけど…」

「ああ。心配してたけど、そういうんじゃないからって言っておいた。」


リズはとっくに夢の中。

時々急に笑ったりするから驚いちゃうけど、いい夢でも見てるのかな…?


「それより…お義父さんは大丈夫だった?」

「……」

あたしはその問いかけに、少し悩んで…素直に話す事にした。

「父さん…あたしの頭を抱き寄せて、ポロポロ泣き始めちゃって…」

「え?」

「あんな父さん初めて…」

「青天の霹靂だろうからな…きっと色々思い悩まれてるはずだ。」

「そうだよね…でも、母さんの事、嫌いになるなんてあり得ないって言ってくれたから…それは安心した。」

海さんの胸に顔を埋めてつぶやく。


…ここ数年は…父さんと門限の事で色々ケンカになったりして。

どうせ、あたしなんか…って。

勝手に思ってた。

だけど…

自分が結婚して、酔っ払った勢いで…でも、リズを娘に迎えて。

子育てをしていく間に、色々あたしなりに感じた事もあって…


「そう言えば、『リズ』って呼ぶようにしたんだ?」

海さんがあたしの髪の毛を撫でながら言った。

「うん…あたしの娘だから…って言い方は変かもしれないけど…」

「…分かるよ。」

「ほんと?」

「ああ。」


みんなに抱っこされても、ずっと笑顔のリズに…

あたし、本当は…少し妬いた。

あたし自身、まだリズのママとして成長出来てない。

ママになって、まだ一ヶ月。

手探りな事も多い。


小さな事だけど…

本当に、小さな事だけど。

『リズ』って呼ぶ事で、自分に言い聞かせる事にした。

あたしは、リズのママ。

って。

自信が持てるように。


「…今日ね、父さんが…海さんが現場に安心して行けるよう、毅然としてろって言ってくれた…」

「え…そんな事を?」

「うん…」

あたしはあの時…瞬時に色んな事を思い出した。

ふらふらするな。

毅然としてろ。

父さんには…以前にも、そう言われた事がある。

…その時の話はちょっと…まだ海さんには言いたくないけど…


「父さんがそう言ってくれて嬉しかった。なのに…」

「なのに?」

「あたし、今朝父さんがあたし達の事認めてくれた時、別居で気が動転して認めてくれたのかなーなんて…」

「……」

「それに…アメリカに行く前、あたし…父さんに『嫌い』って言っちゃったの…」

「…それは…堪えただろうな。」

「うん…あたし、娘失格。」

本当……自分にガッカリ。

唇を尖らせて目を閉じると。

「…俺は、お義父さんは…純粋な人だなって思ったよ。」

海さんが小さく笑いながら言った。

「…純粋?何だか…照れくさいな…」

「不器用な人だとも思ったけど、それよりも純粋だって。それに…自分の間違いに気付いたら、それを改める事が出来る人だ。」

「…海さん、父さんを分析しちゃったの?」

「あ…つい、仕事柄…これは内緒で。」

海さんは唇の前に指をおいて『しー』って言った。

「…でも、嬉しい。父さんの事、ナイフみたいって言う人が多いから。」

頬にキスして言うと。

「お義父さんには、ナイフみたいにしてなきゃいけない理由でもあったんじゃないかな。」

海さんが…意外な事を言った。

「…理由?」

「そう言った鎧をまとわないといけない理由。まあ…今となってはもう習慣と言うか…育った環境も関係してるとは思うけど。本来はそんな人じゃないと思う。」

「……」

そう言われると…

いくつか気になる事が浮かんだ。


「…沙都とトシは二ヶ月こっちにいるらしい。」

海さんが耳元で言った。

「そうなの?」

「ああ。だから、咲華も向こうに戻るのは沙都達と一緒にしたらどうかな。」

「…海さんの現場、そんなに長くかかるの?」

「いや、そんなにはかからないけど…ご両親の状態がこんなままじゃ、咲華もほっとけないだろ?」

「うん…」

本当は…海さんと長く離れていたくないけど…

両親の事が気になるのも本当。

だけど…

「大丈夫。現場が終わったら、こっちにも帰るから。」

あたしが不安に思ってると、海さんがあたしの前髪をかきあげて額にキスをした。

「…ほんと?」

「ああ。だから、しばらくこっちで俺を待ってて。」

「…うん。分かった…」

しばらく会えない。

ずっと…一緒にいたから、それはすごく寂しい気がしたけど…

「次に咲華とリズに会う日が、もう待ち遠しい。」

そう言いながらキスする海さん。

「ふふっ…あたしも…」

背中に手を回して…ギュッと抱きしめる。

そして、気持ちを込めた。

必ず…元気で戻って来てね…って。

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