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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/09 19:17:39

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「よお。」

「あ、お疲れ様です。」

「……」

「えーと…知花ですか?」

「いや。」

「…陸?」

「おまえ。」

「……俺?」

SHE'S-HE'Sのルームの近くで、早乙女を待ち伏せた。

早乙女はキョトンとした顔で周りを見渡して。

「俺、何かしましたか?」

目を細めた。

「何でだよ。話しがある。時間あるか?」

エレベーターを指差して言うと。

「俺一人?」

「ああ。」

「…大丈夫ですけど…」

早乙女は眉間にしわを寄せたまま、少し猫背になってついて来た。

…何かやましい事でもあんのか?

そう聞いてしまいたくなるほど、早乙女がビクついてる気がする。


「…知花に何か聞いたか?」

エレベーターに乗って問いかけると。

「な…何かとは…何でしょう…」

「……」

狼狽えてる。

「何も聞いてないのか?」

「か…神さんは知花から聞いたんですか?」

「……」

知花から聞いたか?

「何を。」

「え?」

「知花から何を聞いたかって?」

「……」

早乙女の顔から、サーッと音がするほどの早さで血の気が引いた。

元々色白だが、蒼白もいいところだ。

詳しく聞きたい所だが…知花との仲をこじらせたくない。


社食に行くと、いつもより人が少ない気がした。

本当はミーティングルームにしようと思ったが、早乙女を待ち伏せる前に調べたらどこも塞がっていた。

「お茶取って来ます。」

「ああ…サンキュ。」

早乙女は少し動揺した様子のままで、紙コップにお茶を入れて戻って来た。


「…二階堂海は、おまえの子か。」

「……」

思いがけない質問だったのか、早乙女は丸い眼鏡の向こうで目を見開いた。

しばらく沈黙が続いたが…

「…いつも声でバレてしまいます。」

早乙女はうつむいて小さく笑った。

「詩生達は知ってるのか?」

「息子がいる事は。でも接点がないと思ってたので、誰とは言ってません。」

「…接点がないと思ってた…まあ、当然だな。」

「はい…」

二階堂海は…二階堂のトップ。

外の女とは結婚しないはず。

誰もがそう思ってた事だろう。

だが、海は咲華と結婚したし…

詩生はいずれ華月と結婚する。

そうなると…

海と詩生は義理の兄弟だ。

…その前に、すでに腹違いの兄弟か…。


「海は知ってるのか?」

テーブルに肘をついて、両手の指を組む。

親指で唇を触りながら、華音が嘘をつくと唇を触るクセがあったのを思い出した。


「はい。」

「…じゃあ、この前うちで会った時は…」

「驚きました。まさかサクちゃんと結婚するなんて…」

「……」

「…神さん。」

早乙女は背筋を伸ばすと。

「俺は…彼は二階堂環さんの息子だと思ってますが、自分の血を分けた息子だとも勝手に思ってます。だけど、ただ血を分けただけの俺が偉そうに父親ぶる事は許されないとも思ってます。だから本当は、こんな事言える立場ではないのですが…」

俺の目を見たり、少しうつむいたりしながら言った。

「海は…いい男です。とても優しくて…正義感に溢れて…少し不器用かもしれませんが、先日の幸せそうな顔…本当に…」

「……」

「本当…」

早乙女はうつむいて眼鏡を外すと、手の甲で涙を拭いた。


SHE'S-HE'Sは…本当に仲のいいバンドで、それこそ家族のような。

だから、きっとみんなこの事は知っているはず。

だけど、その事を家族にまで言うかどうかは…それぞれの想い次第。

『センには、若い頃に結ばれなかった彼女との間に子供がいる』

遠い昔の話。

俺はそれを、知花から聞いたか噂で聞いたかも思い出せない。


「…嫁さんは知ってんのか?」

「知ってます。この前…桐生院の外で海を抱きしめて喜んでました。」

「…ふっ…」

「神さん、どうか…二人の結婚を…」

俺は大きく溜息をついて紙コップを手にすると。

「今朝一緒に飯を食った。『神さん』って呼ぶのをやめろと言っておいた。」

そう言って、お茶を飲んだ。

「え…っ…」

「俺も…復縁する時は桐生院の親父さんに、だいぶ嫌われてたのを思い出した。」

「……」

「一瞬だったけどな。」

お茶を飲み干して立ち上がる。

「とりあえず、モヤッとしたから確認に来ただけだ。時間取らせて悪かったな。」

「…いえ、ありがとうございます。」

早乙女は立ち上がって俺の手から空の紙コップを取ると。

「今度…飲みに行きませんか?」

珍しい事を言った。

「茶じゃねーだろーな。」

「ははっ。それもなかなかいいですけどね。アルコールを。」

「ああ。都合のいい時に誘ってくれ。」

「必ず。」

早乙女とはそこで別れた。


海の親とはまだ会えてないが…麗の結婚式で面識はある。

ただ、当時二階堂は秘密組織で…あまり外部の者と接触しないと言われた。

だから、桐生院の親父さん達も…麗の結婚式以来、年に数回の電話のやりとりぐらいしか接点がなかったと聞いた。

うちの子供達は、陸経由で遊びに行ったりもしていたようだが…

「……」

知らなかったのは俺だけじゃねーだろーな。

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