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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/09 08:12:30

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「えっ?」

その時俺は…背中にへばりついて泣きそうな声の咲華に問いかけた。

「それ…いつ聞いた?」

「…海さんが二階堂に戻ってる間…」

「それで眉間にしわだったのか…」

「えっ?そんなに?」

咲華は俺の背中から離れると、両手の平で顔のあちこちを押さえた。

「ははっ。大丈夫。」

そんな咲華の腰を抱き寄せて、額にキスをする。

向こうではいつもしてた事だが…ここは日本で、咲華の実家。

昨日ここに挨拶に来たが、咲華の部屋に入るのは…これが初めて。

昨夜は大部屋で神さんと華音に挟まれてうとうとして。

先に部屋で休んでた咲華とリズとで寝たいと思ったが…

何となく、和室で寝る事を選んだ。

まだちゃんと認められてない。

そう思ってる俺には、桐生院で咲華と普段通りにするのは気が引けた。


沙都とトシの寝言を聞きながら。

そして、咲華の叔父である聖の微動だにしない寝姿に心配になりながら。

怒涛の一日を思い返して…少しだけ眠った。


今日は二階堂に顔を出して、それから本部に行って。

仕事の段取りを色々と済ませて桐生院に。

リズは知花さんが大部屋であやしてくれてて。

二階に高原さんとさくらさんがいる。と聞いた以外…誰もいない。

昨日、今朝とあれだけの人を見ていただけに、六人いても寂しい気がする。

それほどに広い家。


「思いもよらなかった…母さんが父さんと距離を置きたいなんて…」

咲華の泣きそうな顔を見て、俺も少し気持ちが沈んだ。

俺の知る限り…神さんは愛妻家で有名だし、知花さんも神さんを愛して止まない。

とても愛の溢れた夫婦で、それを見習いたいとも思っていた。

…その二人がそれじゃ…

咲華は、しばらく向こうに帰る気になんてならないかもしれない。


少しの間、日本にいたいと思ったが…

俺が滞在できるのは、長くても三日。

別々に帰る事になるだろうとは思っていたが…


「咲華。」

「ん?」

「俺は…あと三日しか居られない。」

「……」

俺の告白に咲華は少し瞬きを多くしたが、それ以外は普段と変わらない様子で。

「そっか…仕事もあるし、そうだよね…」

そう言って…俺の胸に来た。

「…海さん…」

「分かってるよ。こんな状態で帰れるわけがない。咲華とリズだけでも、しばらくこっちに居るといい。」

咲華の頭を撫でながらそう言うと。

「…いいの?」

咲華が顔を上げて俺を見た。

「もちろん。俺もそうして欲しい。」

「…でも寂しい。」

「それは俺も。」

軽く唇にキスをして、頬に触れる。

「だけど、こういう時だからこそ…リズの存在が大きいと思うんだ。今も知花さんベッタリだしな。」

「…そうだよね……ところで…」

咲華は少し間を空けた後。

「あたし達、もう結婚してるのに…どうして『神さん』とか『知花さん』って言うの?」

少し拗ねた唇で言った。

「…お義父さんお義母さんって呼んだ方が?」

「うん。」

「…だよな。」

「抵抗ある?」

「まだちゃんと認められてないって思ってるからな…」

「……」

俺の言葉に無言って事は、咲華もそう思ってるらしい。

「大丈夫。俺が咲華の夫として認めてもえらるのは、そう遠くない気がする。」

「ほんと?」

「…どうかな。」

「もうっ。」

「ははっ。まあ、一度に全部を欲張るのもな。とりあえずは迎え入れてもらえただけでも。」

「…うん。」

そう。

今は…咲華のご両親の事が…重要だ。

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