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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/08 22:56:58

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「…知花は…小さな頃からずっといい子だったそうだな。」

ふいに、父さんが話し始めた。

「…え?」

あたしは自分の右腕を枕にしてたけど、少し顔を上げた。

「貴司とばーさんが言ってた。麗と誓の面倒をよく見てくれて、家の手伝いもよくしてくれてたって。」

「…父さんとおばあちゃま…そんな事を?」

「ああ。手のかからない、いい子だったって。」

「……」

並べた座布団の上、両手枕で仰向けになってる父さんの目は、閉じられたまま。

「貴司が気にしてた。大人の顔色を見る子にさせてしまったって。」

「…そんな事…ないよ…」

な…なんだろ…急に…

何だか落ち着かなくて、寝転んでなんかいられなくなった。

「…知花。」

「…ん?」

「……」

父さんは目を開けてむくっと起き上がると、トレイをずらして…

「…えっ?」

あたしの乗った座布団二枚をギューッて、自分の隣に引っ張って…

「よし。」

笑った。

「お…重かったんじゃないの?無理しないでよ…」

「まだこれぐらいはイケるぞ?ジジイだから無理だって思ったのか?」

父さんは前髪をかきあげながらそう言って、またゴロンと寝転んだ。

「……」

どうしたらいいか分からなくて…座ったまま父さんを見下ろしてると。

「どうした。横になれよ。」

父さんは、片手で座布団をポンポンとした。

「……うん。」

ゆっくりと…父さんの隣に横になる。

ちょっと緊張…

だって、桐生院では…

自分の部屋以外で寝転ぶなんて、した事ないし…

ましてや、父さんの隣だなんて…


「…瞳とはずっと昔、あいつが辛い時に…こうして隣で横になった。」

「…そうなんだ…」

ゆっくり流れて行く雲を眺めながら、小さく返事をした。

「何か、思い悩んでるんじゃないか?」

「……」

問いかけられて…一瞬、口に出してしまいそうになったけど…飲みこんだ。

あたしの悩みなんて…

瞳さんが辛かった事と比べたら…

「何でもいい。思ってる事、ちゃんと話せ。人の顔色を見て、自分の気持ちを飲みこむな。」

「……」

人の顔色を見て…自分の気持ちを飲みこむな。

そう言われて、少し胸が痛んだ。

やっぱり…昨日のあたしを見て、みんな違和感って思ったのかな。


「…あたし…」

「うん。」

「…あたしは、黙って千里の言う事を聞いてれば、このまま家族みんな幸せでいられるのかなあ…って…」

あたしがそう口にすると、それまで仰向けになって空を見てた父さんが、ゆっくりあたしを見た。

「…色々我慢を?」

「我慢…我慢って言うのとは違うかもしれないけど…」

千里は…いつも自分の意見を通す。

それが正しいと思うあたしもいるし、あたしの意見に耳を傾けてくれない千里に…

あたしは何なのかな。って…強く思い始めたのも事実。


ずっと、こんな感じでやって来て。

それで家族が幸せでいられるなら、それでもいいのかもしれない。って…自分で納得させてた事もある。

…だけど。


「…ねえ。」

「ん?」

「父さんから見て…最近のあたしは、おかしい?」

あたしがそう問いかけると、父さんはあたしの前髪をゆっくり撫でて。

「おかしいと言うより…考えながらそうしてるって感じに思えるかな。」

優しい声で言った。

「そうしてる?」

「千里に少し冷たくしてないか?」

「……」

「千里と何かあったのか?」

あたしの頭を撫でてる父さんの手と、声が優しくて…

「…あたし…」

我慢が出来なくなったあたしは…

「ああ、どうした?知花。」

つい泣いてしまって…

「ははっ…知花が思い悩んで泣いてるのに…笑ってすまない。」

「…いっ…いいの…っ…」

「大丈夫だ。何があっても、知花の味方はたくさんいる。」

父さんはあたしの頭を抱き寄せて。

「おまえは、貴司にとっても俺にとっても…可愛い娘だ。いつだって…そばにいるし、力になる。」

そう言って…何だか少し嬉しそうに…笑った。

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