ブログランキング9

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 2958
  • 読者 712
  • 昨日のアクセス数 22996

テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/08 13:46:33

  • 86
  • 0

「……」

しばらく門前に立ち尽くしてしまった。

だがもうどこにも出かける気力がない俺は…裏口に回って家に入った。

大部屋に入ると、知花は…一人で映像を見ていた。

…昔々の…SHE'S-HE'Sの映像…

大部屋の入り口に立ったまま、その様子を眺める。

歌う知花は…刺激的だ。

攻撃的だったり、妖艶だったり…

いつも俺の腕の中にいる女とは…別人になる。

そんな知花をカッコいいと思うし、誰よりも優れたシンガーと尊敬もしている。

だが…何より…

世界一、可愛い女だ。

そんな知花が俺の妻でいてくれる事は…

「…千里?」

ふいに、知花が俺に気付いて…映像を停めた。

「…どうして停める?見てていい。」

「どうしたの?華月は?」

「……」

「…千里?」

俺はゆっくり大部屋に入ると、座ってる知花の隣に腰を下ろして。

「…俺は…おまえの夫としては、最低か?」

知花の目を見て言った。

「…え?」

「華月に言われた。知花の望みを叶えないって。知花は俺といる時より、里中とアンプ直してる時の方が楽しそうだってさ。」

「……」

知花は大して驚きもせず…無言で俺を見つめる。

ゆっくりと横になって、知花の膝に頭を乗せた。

華月に言われた言葉が…痛過ぎた。

「…グサグサ来た。」

前髪をかきあげると、知花が優しく…頭を撫で始めてくれた。

…あー…癒されるな…

「まさか華月にあんな事言われるとは…」

「あたしが華月の前で拗ねたのがけなかったわね。ごめんなさい。」

「…もとはと言えば、俺…だよな…」

目を閉じて、溜息をつく。

咲華が帰って来るというのに…今度は華月と…


「…ねえ、千里。」

「ん?」

俺の頭を撫でながら、知花が言った。

「もし…あたしが別れたいって言ったら…どうする?」

「………え?」

すぐには、その言葉が理解出来なかった。

今…知花は…なんて言った?

…別れたい…?

「おまえ…別れたいのか?」

俺は知花の膝から起き上がって、問いかけた。

嘘だろ…?

別れたいって…

「…もしって言ったじゃない。」

「もしなんかあるか。」

「……」

「どうしてそんな事言う。」

「…何でもないの。聞いてみただけ。」

「それを聞きたくなった理由を言え。」

「……」

つい、まくしたてるように言ってしまうと、知花は溜息をついて…

「…理由…なんだろ。よく分かんない。」

「分からない?」

「分かんない…ほんと…」

「…知花…」

俺は…知花を抱きしめて。

「俺にはおまえしかいねーんだよ…」

耳元でそう言った。

本当に…

俺には、知花しかいねーんだよ。


しばらくそうしていると、知花は俺の胸に身体を預けるように寄りかかって。

「…ごめん…おかしな事言って…」

小さくつぶやいた。

「…俺に不満があるな」

「そんなの、ないから。」

俺の言葉を遮るように、そう言った知花。

「そんなの…ほんとにないから…」

「……」

ないのに…

なんでおまえ、そんなに泣きそうな声なんだ…?

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

10/21 編集部Pick up!!

  1. 共稼ぎなのに夫が家事をしない
  2. 作ったご飯を毎日こっそり戻す夫
  3. 不在時に来た子供が発作起こした

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3