ブログランキング41

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 3862
  • 読者 795
  • 昨日のアクセス数 3619

テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/07 17:03:17

  • 98
  • 1

「え?娘さんが傷心旅行?」

「…そうなんです…」

スタッフはホールの機材のメンテナンスに出向いてて、今日は俺と知花ちゃんが二人で音楽屋から回って来た『修理不可能』ってシールの貼ってあるスピーカーを分解している。


今日は朝から溜息ばかりの知花ちゃん。

普段、こんなに難易度の高い修理品を見たら、目をキラキラさせてるのに。


「しかも一ヶ月連絡取らないなんて言われたら…それはちょっと心配だねえ。」

「そうなんですよね…」

「よく神がその条件を飲んだね。」

「…千里は、反対したんです。」

「…だよね…」

苦笑い。

神が反対しないわけがなかった。

「えっと…神が反対したのに旅立ったって事は…賛成意見が多かったって事?」

並べた部品にエアガンを当てて、埃を飛ばす。

うおっ…何だ?この金属片…

「…そうですね…みんな賛成しちゃった…」

「知花ちゃんも?行かせたいって思ったの?」

「……」

知花ちゃんは少し唇を尖らせたまま、しばらく考え込んで。

「あたし…本当は行かせたくなかったのに…いい母親ぶったのかも…」

そう言って、すごくうなだれた。

「…そっか…俺は子供いないから、的確なアドバイスなんて出来ないけどさ…でも、もし俺が傷心旅行を考えてるとしたら…後押しされたいって思うかもなあ。だから知花ちゃんは間違ってなかったんじゃない?」

「……」

あれ。

無反応。

て言うか…むしろ考え込んでる。

「…あたし…」

「うん?」

「……」

知花ちゃんはそれまで大事そうに持ってた新しいドライバーを作業台に置くと。

「…あたし、そういう所がダメなんだなって。」

俺の顔を見ずに言った。

「…そういう所?」

「後押しなんかじゃないんです…あたしが反対したら、娘はガッカリするだろうなって思っちゃって…」

「……」

「千里だけが、悪者になっちゃった…」

ああ…

神は、なんて愛されてるんだろう。

本当、羨ましい。

「…神が悪者になったから、落ち込んでんの?」

少しだけ、顔を覗き込んでみる。

さっきからうつむいてばかりだ。

すると知花ちゃんは驚いたように顔を上げて。

「あたし…落ち込んでますか?」

丸い目をした。

「…とっても。」

「……」

パチパチ、と瞬きの音が聞こえた気がした。

知花ちゃんはしばらく黙ってたけど…

「あたし…」

やがて、ゆっくりと。

「昔から、自分を出すのが苦手で…だから…千里が知ってるあたしも…あたしじゃないかもしれない…」

とても…不安そうに、そう言った。

同じテーマの記事

コメント1

しおりをはさむ

  1. 小春さん(101歳)ID:6611403・10/07

    なんか、知花の気持ちがわかるな。
    子ども、妻、嫁、母としていい顔してる自分がいるなぁと感じる時がある。
    本当の気持ちは隠して、こうしたら怒られないなぁとか、こう言ったら機嫌悪くさせないで済むなぁとか。
    その時の立場を自分としてというよりは演じてるという感じ。

関連するブログ記事

  1. 34th 37

    2017/07/20

    廉斗が生まれてからは…もう、あたしの気持は廉斗にまっしぐ...

  2. 今日は、新月だし、地球の反対側では日食だし天体図も六芒星に...

  1. 42nd 102

    2017/09/18

    「え?」あたしはその話を…ルームで聖子から聞いた。「...

  2. 41st 72

    2017/09/13

    いよいよ、この日が来た。…って言っても、決まったのが先週...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

9/23 編集部Pick up!!

  1. 新築お披露目で義両親にイライラ
  2. ママ友に苛々した出来事トップ3
  3. 何もない所で何かを呼ぶ娘が怖い

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3