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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/07 14:21:54

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「ま、あいつが自分で言ってこないうちは、こっちからは聞かない。」

華音には…少なからずとも傷がある。

大学時代、仲の良かった女友達が自殺した。

そして…全て華音のせいにされた。

俺は…華音を守れなかった。

だから華音には、本当に…


「…ノン君以外の事は?何か思う事ある?」

聖は使ったタオルをたたんで…る途中、それが華月のだと気付いて『やべっ…』と小さくつぶやいた。

「…華月は詩生と上手くいってる。」

「華月が言ってた?」

「あいつは落ち込んだら顔に出る。」

「…確かに。」

「…咲華は…」

「……」

俺は完全にスプーンを置いて、麦茶の入ったグラスを手にした。


咲華は…相変わらず俺と話さない。

だから俺にも分からない。

だが…

「咲華は、少し前にちょっと様子がおかしいって知花が言ってた。」

「え?姉ちゃん、そんな事言ってたんだ?」

「ああ。俺は…分からなかったけどな。」

「……」

麦茶を飲んで、再びスプーンを手にする。


「…最近、おまえら何か秘密の共有してるだろ。」

俺がオムライスを口に運びながら言うと。

「ぶふっ。」

聖はまた…麦茶を噴き出した。

そして、華月のタオルだと気付いてたたんでおいたはずのそれで、もう一度テーブルを拭いた。

「……親父。」

「何だ。」

「咲華の事、嫌ってるわけじゃねーよな?」

「嫌う理由がない。俺は嫌われてるままだが。」

「……」

「俺は咲華に厳しいって知花にも言われるが、そんなつもりもない。ただ大事に想ってるだけだ。」

そう口にしながら、それすら届いていない事も分かっている自分に…少し呆れた。

分かってるなら、動けばいいものを。

娘の事は…母親の方が分かるのかもしれない。

全部を知ろうとすると、気付かない自分がダメな親と思えて空しくなる。

…子供達も、もう立派な大人だ。

知らなくていいんだ。

そう言い聞かせるものの…


「…咲華、あいつと別れたんだってさ。」

「……」

聖の告白に、顔を上げる。

華音の秘密は言わなかったクセに…咲華の事は言うのか?

「たぶん…姉ちゃんが咲華の様子がおかしいって言ってた頃だと思う。七夕に別れたってさ。」

「……」

七夕…

まさに、知花が言ったのはその夜だ。

「…おまえはそれを咲華からいつ聞いた?」

聖の顔を見ないまま問いかけると。

「あいつ、誰にも言わなかったんだよ。」

「…え?」

「華月と映画に行った日に、華月が問いかけて初めて言ったらしい。」

「……」

「実際、俺は咲華から聞いてないよ。華月とノン君から聞いた。」


咲華と志麻が…別れた…?

あいつらは、仮にも婚約してたんだぞ?

それを…どうして言わない?

「志麻から振ったのか?」

「咲華が待ち疲れたんだってさ。」

「……バカな。」

つい、そう答えていた。

咲華が志麻を待ち疲れるなんて…

「ノン君も華月もそう言ってたよ。でも、もういーんじゃね?咲華、よく待ったよ。もう次に行くべきだ。」

「…おまえは志麻が嫌いなのか。」

「…好きか嫌いかって言われると、嫌いな方かも。」

「なぜ。」

「なぜって…別にちゃんとした理由はねーけど。親父だって、生理的に合わない奴っているだろ?」

そりゃあ、いる。

それも、ごまんと。

が…

聖にそういう存在がいるとは思わなかった。

しかもそれが志麻とは。


「…これ、咲華が自分から言うまで、そっとしといてやってくれる?」

聖が小さく溜息をつきながら言った。

「…どうして俺に話した?」

「傷付いてる咲華に、もう少し優しくして欲しいって思ってるからかな。」

「……」

「ま、親父なりに優しくしてるつもりなんだろうけど…もう少し分かり易く優しくしてやんないと、うちの女性陣は鈍いから届かないぜ?」

「…ふっ。」

聖の言葉に鼻で笑って。

残りのオムライスを静かに食った。


傷付いてる咲華に、優しく…か。

だとしたら、今俺にできる事は…


咲華と距離を持つ事ぐらいだな…。

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