あなたが大人になったら

持病を抱え、恋愛はしないと決めた。 あなたが大人になる、その時まで。

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2017/10/07 17:08:40

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長い、長い沈黙が続いた。
カチカチと、掛け時計の秒針の音だけが響いていた。

この張りつめた空気を打破しようと、私は極力明るい声を出す。
「悲しくないよ」と言わんばかりに。







「そ、蒼太くんっ!


ご飯食べようよ!私、お腹空いたーっ。
ははっ。私、ご飯大盛りにしちゃおうっかなーっ。



そうしたら、また皆に『幸せ太りだ』って笑われるかなっ。」







私は、少し冷めてしまったご飯とスープをテーブルに運ぶ。
鼻歌まじりにルイボスティーを準備する。
ボーっとする蒼太を横目に、私は独り言のように話す。



会話を止めてしまったら、悲しさが押し寄せてきそうだった。








「次の検診は2週間後だよ~。
それまでに1冊母子手帳貰いにいかないとね♪


まだまだ分からないもんね。





2週間後までのお楽しみだね~。」








「そういえばさ~」と、話題を変えようとしたとき
後ろからスッと手が伸びてきた。






「あとは俺が運ぶから。
モカさんは座ってて。」






振り返ると、蒼太がルイボスティーを注ぐグラスを準備していた。蒼太の顔はとても穏やかで、私はホッと胸を撫で下ろした。
言われるがまま、椅子に腰かける。

てきぱきと動く蒼太を目で追った。
蒼太の一挙手一投足を見逃せなかった。





蒼太が、苦しんでいないか


私は知りたかった。








「………蒼太くん、あのさ。」






私が話しかけようとすると、それを遮るように蒼太は口を開いた。





「モカさん。





俺は、大丈夫だよ。






2人で受け止めよう。」










ニッコリと微笑む蒼太に、私は泣きそうになった。
私に病気がなかったら、笑えていたはずだ。

蒼太を巻き込んでしまったと


私の心はチクチクと痛んだ。






蒼太は、私と結婚を決めた時すでに


色々な覚悟ができていた。







私が考えているよりずっと。

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