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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/06 18:54:02

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「あっ、そこは直接じゃなくて、一度マスキングテープ貼ってからの方がいいかも。」

「えっ…あ、あー!!なるほど!!今まで直接でやってたから、はみ出して接触悪くなってたんですね!!」

「そうかも。少しなら差し支えないけど、熱を持ったら融ける可能性あるからね。少しでもいい状態で長持ちさせるには、ここで完璧にしておいた方が安全よ?」

「はい!!ありがとうございます!!」

…今日も知花ちゃんはオタク部屋で輝いている。

本人は気付いてないかもしれないが…彼女は若手に技術を教える能力にとても長けている。

俺はなー…

つい自分のやりたい事に必死になってしまうから…

「見てろ。」

って、それだけ…。

指導者には向いてねー…。


「知花さん、こっちはどうしたらいいですか?」

「ん?あ、それはねー…」

もう、どこから見てもここの指導者は彼女だ。

俺が淡々と自分のいじりたい機材を自分のやりたいように作業台に運んで、修理や改造に没頭している間に…

ここのスタッフは彼女が立派に育ててくれた。

俺からボーナスをあげたいぐらいだ。


…ここで泣いたあの日から、一ヶ月。

翌日はどんな顔すりゃいいんだ…って悩んだが、知花ちゃんはあれから一週間来なかった。

で、一週間後には…笑顔だった。


「千里が誕生日に熱出しちゃって…」

「えっ、神が熱?見た目不健康そうなのに、意外と丈夫ってみんなに笑われてるのに?」

「ふふっ。そんな事言われてるんですか?」

「あっ…あー、ごめん。うん。でもきっと、知花ちゃんがキッチリ健康管理してくれてるんだろうなって。」

「あたしは、出来る事しかしてませんよ…」


その時の会話は、そんな感じだった。

知花ちゃんの出来る事。

それはきっと、完璧だ。と、思う俺がいる。

ああ…本気で神が羨ましい。

健康管理もしてくれて、可愛くて優しくて…優れた技術を持っている…

オタクな嫁!!

まあ…ともあれ、神の発熱が良かったのか?

知花ちゃんは、以前と同じように元気な知花ちゃんになり、時々神の話をしては赤くなり、スタッフに冷かされたりもして…幸せそうだ。


「里中さん。」

「ん?」

「センがエフェクターボードを新しくしたいから、相談に乗って欲しいって。」

そう言って知花ちゃんは、早乙女がオーダーしたらしい事項が書き込んである紙を開いた。

「…ふーん…ちょっと今までの早乙女の音作りとは違う感じだな…」

腐ってもギタリストだった俺は、ついついギターの早乙女と二階堂には…厳しくなる。

SHE'S-HE'S全員に厳しくしているつもりでも、後で思うと…やっぱり二人には特別厳しい。気がする。


「…これ、早乙女のオーダー?」

ある事に気付いて、改めて知花ちゃんに聞き返す。

「え?あ…はい。」

「……」

マルチエフェクター…

早乙女は今まで、とてもシンプルな音作りをしていた。

それで十分だと俺も思ってたが…

このオーダーを見ると、今までと大きく違う点がいくつかある。


「二階堂は何か言ってた?」

紙を手にしたまま顔を上げて問いかけると。

知花ちゃんは少し口を真一文字にして黙った後。

「陸ちゃんは…まだ何も。」

『まだ』何も…な。

って事は、二階堂もその内、音作りを始める…と。

「…分かったよ。後で早乙女に連絡取ってみる。もっと詳しく話を聞かないと、思うような音にならないから。」

あいつの好みは知ってるつもりだが…これを見る限りでは…俺の知ってるそれとは違う。

ある点が。


「知花さん、ここ教えてもらっていいですか?」

「あっ、はーい。」

スタッフに呼ばれて作業台に戻る知花ちゃん。

俺は…その後ろ姿を見ながら。

SHE'S-HE'Sに変化が起こりつつある事を予感した。

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