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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/06 18:19:56

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「千里さん、どうだった?」

親父の様子を見に行って大部屋に戻った俺に、ばーちゃんがすかさず聞いてきた。

「寝てた。」

「母さん、ずっと付き添うのかな。」

パイを食った後なのにも関わらず、華月の買って帰ったシュークリームの箱を開ける咲華。

…おい。

まだ食うのか?


「いや、もう少ししたらこっち来るってさ。」

「母さん、心配なんだろうね。父さんって全然風邪なんてひかなかったから。」

そう言って、華月がシュークリームの箱に手を伸ばす。

おい。

おまえも食うのか?

モデルとして摂生しなくていいのか?


「親父が風邪って珍しいな。」

聖もそう言いながら、シュークリームに手を伸ばす。

…じーさんの作ったアメリカンチェリーパイ、結構なボリュームだったぜ?

みんな、なんでそんなに食えるんだよ…


「千里も歳を取ったって事だな。」

…じーさんも、シュークリームを…

見てるだけで胸焼けしそうだ。

…もしかして…これは、あれか?

咲華が食い過ぎてる…とか?


たまになんだが、咲華の体調が俺に影響する事がある。

双子ならではのそれなんだろうが…

俺にはあるけど、咲華にはないらしい。


「我が家はみんな、母さんのおかげで元気でいられるっつー感じだよな。色々細かい事気に掛けてくれてるし。」

シュークリームには手を出さないけど、一人でキッチンに向かってお茶を入れた。

早乙女さんからもらったお茶、マジうめぇ…


「あー、確かに。姉ちゃん耳いいから、誰かが鼻声だの声がかすれてるだの、すぐ気付くしな。」

本当に。

俺も耳の良さには自信があるが…気に掛ける所が違うんだよなー。


それでも体調を崩したり熱が出るって事は…

さっき母さんも言ってたげと、疲れとかメンタルなんだよなー。

いつだったか、咲華が熱出して会社休んだ時も。

西野って男にフラれた後だった。

…後で知ったんだけど。


「ところでお兄ちゃん。今、彼女いる?」

「ぶふっ。」

「あっ!!もう華音たらー!!」

「ノン君が動揺してる…」

「華月、華音もいい歳なんだから、彼女の一人や二人…」

「…なっちゃん。いい歳の頃、彼女の一人や二人がいたの?」

「んー…」

「いたのー!?」

「昔過ぎて忘れたな…」

「こんな時だけ年寄りぶっちゃうんだからー!!」

「いや、実際年寄りだろ?」

「あはは。おじいちゃまに飛び火してるー。」


…た…助かった。

華月がそんな事を切り出す時は…だいたいいつも、仕事仲間から『お兄さん紹介して』って言われた時だ。

まあ、俺に話が来る事なく断ってくれてる時もあるみたいだが…

人付き合いが苦手な華月が紹介するぐらいだ。

たぶん、いい子なんだと思う。

だが困る。

俺はずっと、紅美一筋だからな…。


そんな紅美も、海と終わって沙都とも終わって…

いよいよ俺とか?って、たぶんみんな期待してるんだろーが。

…あいつの気持ちが読めねー。

駆け引きなんかせずに、自分の想いをストレートに言えばいいんだ。

…そんなの分かってる。


少し前に、紅美の弟の学を、DANGERのベーシストとしてスカウトした。

あの夜…俺は紅美の家に泊まった。

二人でリビングのソファーに横になって。

いくらでも自分を売り込める状態ではあった。

実際、あの時までは押してやるって気持ちが強くて…麗姉の前でイトコ婚を申し込んだぐらいだからな。

が…

色々話していて…気が変わった。

誰かと終わってすぐに誰かと始めるっつーのは…何となく俺が納得いかねーんだよな…

…寂しい時とか辛い時ってのは、そばにいる誰かの事がすげー頼りになる奴に思えたりするもんだ。

俺は…

それを、身を持って体験した。

だから…紅美にはちゃんと…『その時そばにいた俺』じゃなくて。

ちゃんと、真正面から見た俺を好きだと思ってもらいたい。

…って、贅沢な話なんだろうけどな…

だけど、あの時の俺の言い方じゃ…そんなのは伝わらなかったと思う。

ま、仕方ねーな…

これでダメなら、一生ダメだ。

俺はこんな性格だし、紅美とはイトコだ。

長い片想いのついでに、一生片想いしててもいいか…


「そう言えば、そろそろ学のDANGER就職が決まる頃か?」

じーさんがそう言ってグラスを掲げた。

「華音がガッくんをスカウトしたって夜、陸兄あちこちにメールしてた。『学が音楽の道に進むかも!!』って。」

咲華もそう言ってグラスを掲げる。

「華音、早速手を回してたものね。学がバンドを始める事で、チョコちゃんのお店に支障が出ないようにって。」

ばーちゃんもグラスを掲げた。

「沙都と学、タイプ違うけど、DANGERが生まれ変わるって意味では上手く行きそうだよな。」

聖がシャンパンを注ぎ足す。

「お兄ちゃん達もミリオンセラーバンドの仲間入りする日も近いね。」

華月が…少しプレッシャーな事を言いながらグラスを掲げた。

「そ。早く追い付いて。」

「うおっ…い…いつの間に来たんだよ母さん。」

華月と俺の間に、いつの間にかグラスを持った母さんがいて。

「あたしと千里の結婚式記念日とDANGERの新しい門出に、改めてかんぱーい。」

親父が熱出してるっていうのに…

少し高いテンションで、そう言った。

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