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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/06 15:08:40

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「アメリカンチェリーパイが焼けるジジイ…事務所の奴らが知ったら、驚きそうだな。」

パイを切り分けてるなっちゃんの隣で、華音がお皿を持って言った。

「誰の孫だ?この減らず口。」

なっちゃんが目を細めてあたしを見る。

「なっちゃんの孫らしいよ?」

あたしは、そんななっちゃんの腕に少しだけ身体を預ける。

「俺の孫は可愛いはずなんだが…」

ああ…幸せだなあ。

「ふふっ、もう。父さんも母さんも、もう座ってて?千里が待ちくたびれちゃってる。」

知花に言われてテーブルを見ると、千里さんがついてないテレビの方を向いて寝転んでた。

…珍しい。

なっちゃんが立ってるのに、寝転んでる千里さんなんて。


知花と何かあったのかな?って思ってたけど…

高階宝石で千里さんに買ってもらったっていう指輪をキラキラさせながら、知花の笑顔もキラキラだし。

…まあ、二人ともお互いを大好きだから…大丈夫だよね?


「ごめんねー?千里さん。主役を待たせちゃって。」

あたしがグラスとお皿を千里さんの前に置いて、顔を覗き込むと…

「……」

「…あれ?千里さん…?」

これって…


「知花、千里さん…」

キッチンを振り返ると、みんながそこにいて…いくら広い家でもギュウギュウって感じで笑ってしまった。

あっ、笑ってる場合じゃない。

「何?」

エプロンを外しながらやって来た知花。

「…熱、じゃない?」

あたしが千里さんを見下ろして言うと。

「……やだ。千里、いつからこうだったの?」

千里さんの額に手を当てた知花は立ち上がってキッチンに行くと、冷凍庫から保冷剤を出して来て。

「部屋行こう?」

テキパキと…千里さんの脇に入り込んで身体を起こした。

…知花、意外と力あるのね?

「母さん、俺がやるよ。」

「ううん。いいからみんなで食べてて。」

「えっ、でも母さ…」

華音が続きを言いきる間もなく…知花は千里さんを部屋に連れて行った。

…こういう時って、知花…すごいよね。


「知花は風邪なら俺にうつしちゃまずいって気を使ってくれたんだろうが…千里、主役なのにな。」

なっちゃんが申し訳なさそうに言うと。

「いや、マジうつるといけないから、母さんアレしとこうぜ。俺持って来るわ。」

聖がお皿を置いて納戸に向かって行った。

「父さん大丈夫かな。風邪なんて…ひかないのにね。」

華月が心配そうに言うと。

「へーきへーき。何だかんだ言って、母さんと二人きりになれるんだから。父さんには結果オーライ。パイ、いただきまーす。」

なっちゃん作のアメリカンチェリーパイ。

どれだけ楽しみにしてくれてたのか…

咲華は、笑顔でそれを口に運んだ。

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