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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/06 12:16:05

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今日の俺はドラム雑誌の取材で。

昼をまたぐ感じでインタビューを受けて。

腹減ったなー…と、一階のロビーで社食にするか金田に行こうか悩んでる所に…

知花を見かけた。

…確か今日オフだよな。

そう思いながら知花を見てると、知花が見上げてる視線の先には…二階のエレベーターの前に神さんがいた。

ふっ。

結婚して何年だよ。

旦那の姿を片想いみたいな目で追い掛けるなんて。

ほんと、知花は…

「……」

その姿に、少し違和感だった。

神さんを見つめてた知花が、大きく溜息をついたからだ。

「…知花。」

おまけに。

俺が声を掛けたのに…気付かないままエスカレーターに乗った。

あんなに耳のいい知花が、俺の声に気付かないなんて。

…何かあったとしか言いようがない。


オフなのに来てるって事は…会長室に用があるか、オタク部屋だな。


とりあえず、社食に行って軽く食って。

オタク部屋の前まで行った。


元々、何でこんな事が出来るんだ?って知識を持ってる知花は。

オタク部屋が出来てからという物…ここに通い詰め。

この部署に知花のタイムカードが置いてあるって聞いた時は、陸とセンとでゲラゲラ笑った。


オタク部屋は腰高の位置からガラス張り。

元々はデザイン部のショールームとして使われていたようだが、引っ越しがあって空いていた部屋に、里中さんの就職と共にオタク部屋が出来た。

八つの大きな作業台と、部屋の壁周りには工具や部品サンプルが並んでいて。

作業しやすいようになのか、いつも煌々とした照明がついていて明るい。

その分、通路は薄暗く感じてしまう。

きっと、今俺がソファーに座って中を見てる事にも…二人は気付いていないだろう。

今日は作業はしないのか?

二人は紙コップを手に、何かを話してる。

相当な広さの部屋の中での会話は聞こえるはずもなく。

俺はその様子を無言で見ていたが…

突然、里中さんが知花の腕を掴んで…別室に移動した。

「……」

おい。

里中さん。

知花は…神さんの嫁だぜ?

知ってるよな?

しばらくその部屋のドアを眺めてると…ゆっくりとドアノブが動いた。

俺は目を細めたまま、膝に肘を着いた姿勢でそこを見てた。

「……」

すると、開いたドアの向こうから…里中さんが出て来て…俺に気付いた。

里中さんは一瞬固まったが、首をすくめて小さく溜息をつくと…オタク部屋から出て来て、俺の隣に座った。


「何かあったみたいだけど…俺は聞いてない。」

「何かあったとは…?」

「さあ。涙ぐんでたから。」

「……」

「…はあ。」

里中さんは溜息と同時に膝を叩いて立ち上がると。

「俺もスタジオのアンプチェックに行って来よう。」

そう言って一度オタク部屋に戻って、書き置きを残しているようだった。


知花は全く気付いてないんだろうけど…

里中さんは、知花に惚れてる。と思う。

あれだけの知識がある女、同類から見たら魅力的なはずだ。

なんなら…さくらさんの事も、好きになる勢いかもしれない。

…いや、それはないか。


しばらくすると、別室からオタク部屋に戻った知花は書き置きを見て…肩を落とした。

俺が相変わらずそれを眺めてると、やっと俺に気付いた知花。

ヒラヒラと手を振ると…少しバツの悪そうな顔をした後、部屋から出てきて。

「どうしたの?基盤でも見る?」

少し無理な笑顔をして…そう言った。


…見ねーって。

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