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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/05 22:09:44

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「おはよ。」

「…おはよう。」

いつものように…俺が起きて大部屋に入った頃には知花はすっかり行動的で。

たぶん今朝は軽く走って来て、シャワーも済ませてるはず。

で。

我が家で一番出勤の早い咲華のために、朝食を作っている。

「おはよう。」

大部屋に入って来た咲華は、月に二度ぐらいしか見かけない珍しいパンツスーツ。

「あ、母さん…あたし今日はご飯だけでいいわ。」

咲華が少し元気のない声で言った。

その言葉に、俺も知花も咲華を見る。

「ご飯だけって…調子悪いの?」

普通に飯を一杯食えば、調子が悪いとは思われないのかもしれないが…

咲華は毎朝、トーストを食った後に飯を食う。

「んー…ちょっとダイエットしようかなって。」

「ダイエット?咲華、太ってないじゃない。」

「今は太ってなくても、このまま食べてたら将来が怖いから。少しずつ人並みに…って思って。」

咲華は冷蔵庫からドレッシングを出したり、俺の前に湯呑を置いたりしながらそう言った。

…確かに、咲華はよく食う。

桐生院家で、一番の大食漢なのは間違いない。

ただ…

咲華の食いっぷりは、本当に気持ちがいい。

俺はそれを見るのが好きなんだが…


「ダイエットなんかするな。普通におまえのペースで食え。」

新聞をたたみながら言うと。

「…将来太ったら『あの時父さんがあんな事言うから!!』って責めるわよ?」

咲華は真顔。

「俺と知花の娘だぞ?太るわけがない。」

咲華の目を見て言うと、咲華は知花を振り返って首をすくめた。


朝は…なるべく咲華が朝飯を食う時に、一緒にいるようにしている。

ビートランドに所属してる俺と知花、華音と華月は時間が不規則な事が多かったり、遠征があったり泊まりがあったりもする。

不規則な中でも事務所で会うが、咲華とは『行ってきます』と家を出てからは、帰って来るまで会う事はない。

だから、確実に会えるであろう朝飯だけは…

できるだけ、咲華と。


「…咲華。」

お茶を飲みながら、視線はつけたテレビに向けたまま問いかける。

「何?」

「何か欲しい物はないか。」

「……」

返事がないと思って咲華を見ると、咲華は首を傾げて眉間にしわを寄せて俺を見ていた。

「…何だその顔は。」

「…あたしに言ったの?って思って。」

「咲華って言ったよな?」

「うん…だけど…華月と間違えてるのかなって思ったから…」

「間違えてない。」

「……」

咲華はゆっくり知花を振り返ったり、遠慮がちに俺を見たり…

で、結局…

「特に…今これと言って…ないかな?」

すごくゆっくりな口調でそう言った。

「服とか靴とかバッグとか。」

「…今ある物で十分…」

「欲のない奴め。」

「……」


華月は、何か欲しい物があるかなんて聞いたら、次から次へとリクエストするが…

そう言えば、咲華は昔から何かをねだったりした事がないな。

…二階になりたい。って無理な事を言い続けていた以外は。


あの頃の咲華は本当に可愛かった。

いや、今でも可愛い娘には違いないが。


誰にでも笑顔で、少しませてて。

俺は…咲華に悪い虫がつくんじゃないかと心配でたまらなかった。

これだけ可愛いんだ。

絶対学校中の男が目を付けてたはずだ。

親バカと言われようとも、俺はそう信じて疑わなかった。

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