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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/05 21:28:07

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「母さん、エルワーズのプリンとゼリー、どっちがいい?」

俺は大部屋で、華月が知花に問いかけている声に耳を傾けた。

視線は新聞に落としたまま。

ふむ…聖の名前がまた出てるな。

酷く叩かれる事はなくなったが、特に誉められる事もない。

こんな記事、載せるなって感じだが。


「んー…」

知花は少し悩んだ後。

「今日はゼリー。」

片方を選んだ。

今日は…って事は、特にどっちかが好きってわけではなさそうだ。

知花は『プリン』も『ゼリー』も好き…と。


好きな飲み物は、紅茶とお茶。

昔はココアもよく飲んでたが、近年はあまり飲む所を見かけない。

料理は相変わらず上手い。

酒は飲まない。

飲むと…エロく変貌するからな…

…エロく…


そうだ。

知花は飲むとよく喋る。←俺が言うかって言われそうだが

今度二人で飲みに行ってみるか?

『五月病』の原因を突きとめたい気がする。


「あ。そう言えば…母さん。この前言ってたワイヤレスマイク、音楽屋で見たぜ?」

風呂上りの華音が、冷蔵庫を開けながらそう言うと。

「えっ。ZW-106?」

華月とゼリーを食ってた知花は、少し弾んだ声を出した。

「それ。ただ、ゴールドだったけどな。」

「色はいいの。中が見たいだけだから。」

「あっそ…」

ビールかと思いきや、冷蔵庫からプリンを取り出した華音は、華月の隣に腰を下ろした。

「ふふっ。出た、オタク。母さん、マイクの中身の何が面白いの?」

「華月、聞くな。話が長くなる。」

「じゃ、話変えちゃう。」

「あっ、語ろうと思ったのにー。」

「そう言えば、聖の車いい匂いしてたけど、あれ母さんがアロマ調合したってマジかよ。」

「え?ポプリじゃなかったの?」

「ポプリにアロマオイルの粒子を散らしてるの。」

「えー?あれってしずくかと思っちゃった。」

「俺にも作って。シトラス系がいいけど、あんまキツイの嫌いだから何も付けてねーんだよなー。」

「ふふっ。お兄ちゃん、車に消臭剤乗せてるから消えちゃうんじゃない?」

「アホ。何も付けてねーからそれ乗せてんだろ。」

「あはは。今の『アホ』は朝霧さんぽかったわよ、華音。」

「あたしも思ったー。」


……

三人の会話はまだ続いているが…

今の会話の中で、聞き捨てならねー事がいくつかあった。

まず…

『この前言ってたワイヤレスマイク』

俺は聞いてないぞ。

なぜ華音にだけ話す。

そして…

アロマの調合?粒子?

ポプリに散らした?

…おい。

いつの間に技を増やしやがった?


はっ。

俺の車にも…そう言えば後部座席に何か乗ってた!!

いつだったか、後部座席に座ったアズが。

『神、小洒落た物乗せてるねー』

なんて言って。

何言ってやがんだって思ったんだが…

あれか!!


すごく香るわけじゃなく、ほんのり…

俺はてっきり、自分の服から香る柔軟剤か何かかと…

だいたい、桐生院家…

俺と高原さん(あ、高原さんは婿養子じゃねーな)以外、妙に五感が冴えてる。

義母さんの地獄耳が遺伝してるのは、知花と華音。

咲華は味覚とか…鼻も利く。(いやしいだけかもしれないが)

華月は…

華月は特にコレってないかもしれないが…

足の怪我からの復活は…常人とは思えないと言われた。

…聖は普通に目も耳も鼻もいい。

頭も。


「ただいまー…」

残業と聞いていたが、志麻と会っていたかもしれない咲華が帰って来た。

いや…志麻は今ドイツって言ってたか。

…あいつも、いつになったら咲華と結婚するつもりなんだろうか。

少しイラついている俺がいる。


「おかえりー。」

…知花と華音と華月は、まるでカウントでも入れたかのように、揃って言った。

「…おかえり。」

俺は、一呼吸遅れた。


「あ、母さん。これでしょ?欲しかったの。」

ん?と思って、咲華の手元を見ると…花。

欲しい花とかあんなら言えよ、俺に。

「えっ、どこにあったの?」

知花は立ち上がってその花を手にする。

「聖が映華さんにあるのを見たってメールして来たから、寄って来たの。」

「え~嬉しい。誕生日でもないのにプレゼントもらったみたい。」

……


…こうして家族の会話に耳を傾けてると…

俺は今までここに座って、何をしてたんだ?と思う。

華音とは音楽という共通点があるから、会話は多い。

華月も…事務所が一緒だから、仕事の話はする。

それに、華月はよく買い物や飯に行くからか…俺は少し華月に甘い。

咲華は…ちょっと最近何を考えてるのか分からない所があるが、『娘は難しい』って京介がボヤいてたから…

そんなもんだと思ってた。

聖は…華月と同じ歳の義弟だが、あいつが一番俺と話をしてる気がする。

とは言っても…

仕事の話だな。


…もっと家族との会話を大事にしなきゃな。

高原さんの言った通り、固定概念は一度捨て去ろう。

とは言っても。

長年勝手に思い込んでたものを、そう簡単には捨て去れないって事を…

俺は、分かってなかった。

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