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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/05 21:06:05

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「…高原さん。」

前のめりになったまま、もう一度視線を上げて知花を見る。

「何だ?」

「…義母さんの事、全部分かってる…って思いますか?」

俺の視線は知花。

そこにいる知花は…家では見せないような顔。

半田ごてやペンチやニッパーを、楽しそうに扱う知花。

それだけを見てるのは…苦じゃない。

だが、そこには必ず…里中も居るわけで…

あいつには、知花に変な気起こすなよ。とは、釘を刺している。

『神の嫁にそんな気を起こす勇者がいれば、見てみたいなあ』なんて、のんきに笑ってたが…

俺からしてみると、知花が歌以外で目を輝かせる場所に居て、それを理解出来ている里中は脅威だ。

あいつは、知花が次に何を手にしたがってるか…分かっている。

さっきから、二人の手元は絶妙なコンビネーションとしか言えない動きで、ぶつかる事なくアンプを組み立てている。

俺は…知花の事、分かってるか?

あいつが何を欲しがって、俺にどうして欲しがってるか…


「…おまえ、何年かおきに知花の事で悩んでるな。」

高原さんは俺と同じように足を組んで、そこに肘をついて前のめりになった。

「…まだ言ってませんけど。」

「今のおまえを見れば、誰でも分かる。」

「……」


義母さんの言った『知花だって世間話ぐらいするよ?』が。

俺には…

全く思い浮かばない。

世間話…


例えば。

俺の思う世間話は。

アズと京介の…

『金田のメニューが増えてた』

『社食のお茶が変わってた』

『広報の○○が髪型変えて見違えるほど美人になってる』

『ロビーにカブトムシがいた』

っていう、別に知らなくてもいいような情報から始まる物だ。

知花は…そんな情報は…言わない。


「さくらの事を全部知ろうとすると、あと50年あっても足りない気がする。」

膝で頬杖をついて、オタク部屋を見たまま高原さんが言った。

「…確かに、義母さんはビックリ箱みたいな人ですもんね。」

「知花もそうじゃないのか?」

「…え?」

視線を知花から高原さんに移す。

「知花にとってのおまえもそうだ。お互い知ってるつもりでいても、それは意外と自分が作り上げた相手だったりするからな。」

「……」

それは、痛いほど思い当たる気もした。

「本当に相手の事を知ろう、解ろうとするなら…相手に対する固定概念を一度捨ててみたらどうだ?」

「今更…ですか?」

「でも、それで悩んでるんだろう?」

「……」

高原さんはゆっくり立ち上がってポケットに手を入れると。

「知花は…内に秘めすぎる。俺はそう思うが…千里から見てどうだ?」

俺を見下ろした。

「…確かに…そうっすね。内に秘めると言うか…溜め込みます。」

「ずっとそうだったのか?それとも、昔は言ってたのに、何かキッカケがあって言わなくなったのか?」

「……」

「そういう所を、掘り下げて行ったらいいんじゃないか?」

高原さんはオタク部屋の知花を見て。

「ここを引き継ぐ話の相談も兼ねて、知花とゆっくり話をしろ。」

俺の肩をポンポンと叩いて歩いて行った。


…相談…か。

そう言えば俺は…


知花に相談なんて…


しねーな。

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