あなたが大人になったら

持病を抱え、恋愛はしないと決めた。 あなたが大人になる、その時まで。

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2017/10/06 12:54:35

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愛おしそうにお腹を撫でる蒼太に、私は意を決して話しかける。
蒼太の小さな「お父さん、かぁ」という噛みしめるような声に、胸が苦しくなる。


「蒼太くん、あのね。

今日、先生から言われたんだけど………。」



蒼太が笑顔のまま見上げる。
綻ぶ顔に、私も必死に笑顔を作る。
この笑顔を曇らせてはいけない。
不安にさせてはいけないんだ。



「あのね。
まだハッキリとしたことは言えないんだけど。


多胎妊娠の可能性があるんだって………。」





歯切れの悪い言い方に、蒼太の顔もひきつる。
あぁ、喜ばせたいのに、私はなんでいつも苦しめるのか。
子供のころからそうだった。
いつも、両親が悲しむことばかりだった。
昔から成長していないな、と項垂れる。





「………え。

”多胎”って、どういう………。」





戸惑う蒼太の表情に、私は落ち着いて説明する。
あまり心配をかけてはいけないが、あまりにも楽天的な態度でもいけない。

言葉を選びながら、ゆっくりと説明する。





「双子かもしれないの。


まだ分からないんだけど、その可能性が高いって。」






その説明に、蒼太の顔がみるみる晴れてくる。
「それって…!」と、嬉しそうな蒼太に、私は釘をさす。
簡単に喜べないということを知ってもらわなければならなかった。悲しいけれど、蒼太にはリスクを理解してもらわなければならないのだ。




「出産できるように手術をした。

でも、これは普通に出産することであって、
”多胎”の出産を想定していたかは疑問なの。


普通の『妊娠・出産』とは訳が違う。
しかも、私も健康体とは言い切れないし……。」




蒼太のなんとも言えない表情が、切なくて胸を苦しめる。
少しでも安心してほしくて笑顔で話そうと思うが、どうしても心から笑えない。


ごめん。


蒼太くん、本当にごめんね。






「もし、多胎だったらどうなるの………?」






蒼太が戸惑いながら、言う。
ギュッと手に力が入る。重たい唇を動かす。





「まだ、何とも言えない……。



最悪、『減胎』とか………。」







お腹の中の、小さな命は



確かに、”今”を生きているのに。







本当に、ごめんなさい。

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コメント2

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  1. 桃花さん(29歳)ID:6610803・10/06

    モモさん

    ありがとうございます!
    胸を張って「幸せです」と言えるように
    頑張ります(^^)

  2. モモさん(36歳)ID:6610737・10/06

    応援しています。
    ももかさんの幸せ、ご家族の幸せが続いていますように。

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