ブログランキング9

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 2984
  • 読者 717
  • 昨日のアクセス数 29845

テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/05 19:21:44

  • 84
  • 0

「千里さーん。」

事務所の八階。

大声で呼ばれて…

振り返らなくても義母さんだと分かった。

目を細めて苦笑いしてる俺の顔を、アズが正面から満面の笑みで見る。

「振り返って笑顔で応えてあげなよー。さくらさん、めっちゃ可愛いなあ。」

アズはそう言いながら、俺の肩越しに手を振った。

「あっ、圭司さーん。いつもお世話になりまーす。」

「いえいえ、こちらこそー。瞳がさくらさんの作ったおはぎ、美味しくて食べ過ぎたーって言ってましたよ。」

「えっ、ほんと?嬉しいなあ。」

アズが立ち上がってペコペコとお辞儀をしてるのを、俺は視界の隅に入れていた。

おい。

おまえ…『さくらさん』はねーだろ。

義母さんだろーが。


高原さんと義母さんは、一昨年の夏の大イベントの後、入籍した。

が…

高原さんの病気治療のため、二人は渡米。

向こうの病院で、高原さんは手術を受けた。

帰国してからも、何度か入退院を繰り返して…

病状が落ち着いた先月。

義母さんの誕生日に。

ようやく…二人は高原さんの生まれ故郷であるリトルベニスで挙式。

二人きりの挙式の写真に、知花は周りが心配するほど泣いた。

良かった。

本当に良かった。

と、何度もつぶやきながら。

…あいつはあいつで…自分が高原さんと義母さんを引き離したって…

ずっと、そう思い込んでたからな…


だが、知花と同じように号泣したのが、もう一人。

瞳だ。

瞳もまた…

『あたしが父さんに遠回りさせたのよ』と…

誰のせいでもない。

そう言った所で…届かないのは知れてる。

だが、今こうして幸せになった二人。

今では高原さんのマンションで、遅れてやって来た新婚生活を満喫中。

文句ねーよな。

って…

俺も高原さんを義父さんと呼びたいと思いつつ…敷居が高い。


「新婚生活はどうですか?」

「やだっ!!新婚なんて言わないでーっ!!」

義母さんの若々しい声を背に受けて、俺もようやく振り返ろうとすると…

「千里さん、最近あたしに冷たくない?」

義母さんはすでに…至近距離に居た。

「うおっ…び…びっくりした…」

俺が肩を揺らして驚くと。

「おばあちゃんの事、可愛いって言ってくれてありがとう。」

義母さんはアズに礼を言った。

…そうだった。

華音以上の地獄耳だ。

迂闊に文句も言えねー…

事務所で、はしゃいだ声で俺を呼ぶな。

いくら若く見えても、義母さん60過ぎてんだぜ?

なーんて…

…あ。

「義母さん。」

「はい?」

「最近知…」

「ん?」

「……」

アズが興味津々な目で俺を見てる事に気付いて。

俺は義母さんの手を引いて、空いたスタジオに入る。

当然、アズは『何でー?俺、のけ者ー?』とブーイングだ。

誰がおまえに話すか。

すぐ瞳に筒抜けにしちまうだろーが。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

10/23 編集部Pick up!!

  1. 子持ちが羨ましくて退職を決意
  2. 育休復帰時既に妊娠3か月の同僚
  3. 不倫相手と関係切れていなかった

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3