あなたが大人になったら

持病を抱え、恋愛はしないと決めた。 あなたが大人になる、その時まで。

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2017/10/04 11:51:45

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病院から出て、駅に向かって歩く。
周りは会社帰りのサラリーマンやOLが行き来している。

不安になって、立ち止まり辺りを見渡す。




この人ごみの中で、どれだけの人が幸せなのだろう。

私の悩みなど「ちっぽけだ」と笑い飛ばす人は?

私よりも大変な思いをしている人はどれだけ?





こんなにも人で溢れているのに、一人のような気持ちになる。
サラリーマン風の人と肩がぶつかり、互いに「すみません」と謝る。とっさに鞄でお腹をかばっていた自分に驚いた。
慌てて、人の流れに沿って歩き始める。


(なんて、馬鹿な考え。人と比べてどうなることもないのに。)



俯きながら歩く。
後ろでは、これから飲みに行くお店をどこにするかで盛り上がっている。楽しそうな声に、私も笑ってしまった。



(一人で悩んでいても仕方ない。


帰って、蒼太くんに話さないと……。)




私だけの問題じゃないのだ。

それに、まずは喜ばないと。





せっかく、授かった子供だ。

欲しくて、欲しくてやっと出会えた『命』だ。




大切にしたい。



どうか、多胎ではありませんように。


私は心の中で祈った。
手術で出産してもいいと言われてはいるけれども、多胎となれば話は別だ。

多胎は体の負担が大きすぎる。


最悪の状況を考えては、気持ちが落ちる。
それでも、授かった目の前の『命』は嬉しいのだ。



ちゃんと、喜んであげよう。
蒼太にも喜んでもらいたい。

まだ多胎妊娠と決まったわけではない。



私は天を仰いで、フゥと息を吐いた。
この時、蒼太は21歳、私が24歳の年だった。




これから、私たちは悩み、苦しみながらも前に進む。
そう。



私たちは『命』と向き合うんだ。

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