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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/05 11:35:33

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「おまえにも、咲華さん以外の女性を愛せる日が来る。それは、意外と簡単な事だ。」

私がそう言うと、志麻はゆっくりと顔を上げて。

「…簡単なのですか…?」

私の顔を見た。

「簡単だ。もっと自分の周りをしっかり見る事。今のおまえは過去を振り返っているだけだ。」

「……」

「おまえの事をちゃんと見てくれている人がいる。それに気付いて、その手をちゃんと離さないようにすれば…おまえにも幸せは訪れるんだ。」

「…俺は…幸せなど…」

「そんな事言うな。私は、おまえの幸せな顔を見たい。」

「……」

「それはきっと、ボスと咲華さんの願いでもある。」

「……」


志麻はそれからしばらく、無言のままボンヤリとグラスを眺めていた。

だが、ふっ…と小さく溜息をついた後…

「今夜は…ありがとうございました。」

つぶやいた。

「ん?」

「富樫さんがいて下さって…救われました。」

「志麻…」

「こんな情けない男の幸せを願って下さるなど…私には出来ない事です。」

志麻は小さく首を振りながらうつむいて笑うと。

「…そうですね。きっと…私が幸せになる事で、あのお二人をもっと幸せにして差し上げられる気がします。」

顔を上げた時には…久しぶりに晴れやかな表情だった。

『俺』が『私』に戻ったところを見ると…

冷静になっているのかもしれない。


「私はこれからも二階堂に尽力いたします。その中で…自分の幸せが何か、考えてみたいと思います。」

「…全く…仕事好きな男はこれだから…」

「富樫さんもそうでしょう?」

「まあ、そうだがな。」

改めて、グラスを鳴らした。

年上ではあっても、中途採用の私を頼る事など無いと思っていた。

だが…志麻は私が思うよりもずっと純粋で弱く、そして強い男なのだと知った。

本来プライドが邪魔して言えないような事を言える男は…弱いのではなく、強い。


「じゃあ、ここからは富樫さんの恋の話でも。」

「は?そんなのないさ。」

「嘘ですよね?」

「ないって。」


純粋で弱く、強い男。

そんな志麻を、羨ましく思った。

私の恋など…まだ始まってもいない。

この想いは…

静かに消えるだけだ。


「昔から好みは変わらないのですか?」

「…何を言ってる?」

「いえ。昔、空お嬢さんを…」

「ああああああああ!!その話はいいから!!」

「ふっ。富樫さん、ご自分で分かり易いタイプと気付かれていらっしゃらないのですか?」

「えっ!?」

「…私の応援なんてせずに、自分の気持ちに真っ直ぐになって下さい。」

「なんっなな何の事を言っているのか分からない。」

「とぼけても無駄ですよ。店変えて飲みましょうか。」

「しし志麻、明日早いだろう?今夜はもう…」

「私があまり寝なくても平気なのはご存知でしょう?」

「いやっ、私も明日は早いんだ!!」

「さー、行きましょう。」


私の恋など…


「で?いつから好きになられたのですか?」

「おまえになんか言わねーよ!!」

「泥酔ですね。」

「おまえが飲ませたんだろーが!!」

「泉お嬢さんは、私に同情されてるだけですから。正々堂々、真っ向勝負して下さい。」

私の恋など…



パッ。

目を開けると…ベッドの上だった。

そしてなぜか…

「…えっ…」

私は、泉お嬢さんと志麻に挟まれて…そこにいた。

「…え…えっ?」

私が狼狽えていると…志麻が目を覚まして。

「…なんで富樫さんが真ん中なんですか…」

眠そうな顔をして、私を押し除けると。

「お嬢さんが真ん中です。」

お嬢さんの肩をぐいと引っ張って真ん中にして…

「…まだ一時間休めますよ。おやすみなさい。」

そう言って…目を閉じた。

「……」

ベッドの周りには…酒の瓶がいくつも…

私は…私は何を…!?

「……」

ベッドで眠る志麻とお嬢さんを見下ろして…しばらく立ちすくんでいると…

「…そこに立たれてるとウザイ…早く寝なよ…」

お嬢さんに腕を引っ張られた。

ドサリとベッドに座ると。

「おやすみ…富樫。」

お嬢さんはそう言って目を閉じられた。

「…おや…すみなさ…い…」

ボスに知られたら…頭に知られたら…などと頭の中に色んな事がかすめたが。

…二階堂の体制は…中から崩すのもあり…か。


私は小さく溜息をついて、横になる。

が…

お嬢さんの寝顔を間近で見るなど出来るはずもなく…

…背中を向けた。

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コメント1

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  1. パンジーさん(38歳)ID:6610210・10/05

    泉ちゃん、しーくんと富樫くんとクンペイと聖くん...誰と結ばれるのかな⁉️
    あたしの中では、富樫くんの株が上がりまくってます❗️

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