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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/05 09:43:06

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「……」

俺はその二人の会話を…開けっ放しになっている玄関のドアの脇に立って聞いていた。

今朝、本部に行くと志麻が…

「ボス、お願いがあります。」

俺の目を見て、言った。

「何だ。」

「今日の午後、ご自宅に伺わせて下さい。」

「……」

あまりにも唐突に、予想外の申し出をされた俺は…

少しの間、志麻を見つめたまま返事をしなかった。

「奥様と、お話がしたいのです。」

「……」


咲華と結婚して七ヶ月。

娘のリズは先月一歳になった。

何の不満もない…幸せな日々。


「私と奥様が話す事は許されませんか?」

「…いや、そうじゃないが…」

あれから志麻は…二階堂のために、アメリカでもドイツでもイタリアでも…そして日本でも。

今まで以上に動いて、俺を…二階堂を助けてくれている。

「奥様のお気持ちが揺らぐのではと心配ですか?」

それは…少し挑戦的にも思えた。

だが、志麻が挑発して来るには理由があると思った。

まだ…終わっていない。

志麻と咲華は、終わっていないんだ。


「分かった。」

俺がそう答えると。

「ボスにも、来ていただきたいのです。」

「え?」

「奥様に気付かれないよう、話しを聞いていて下さい。」

「……」

「お願いします。」


それがなぜなのか…

俺にはよく分からなかった。

だが…


二人の会話は…

朝子が志麻と血の繋がりがない事から始まった。

それを咲華が写真を見て気付いたと言う事に…驚いた。


確かに朝子は…東家とは血の繋がりがない。

だが、そういった事は二階堂では珍しい事ではない。

…朝子の事で…二人は別れた…?


それから志麻は…

毎朝、うちの近くに来ていた事。

咲華との未来を夢に見ていなかった事。

そして…幸せに、と告げて家を出て来た。


俺は玄関脇で壁にもたれて。

腕組みをして、それらを全部聞いた。

志麻は俺の前で深く一礼すると。

「…ありがとうございました。」

小さくつぶやいて…歩いて行った。

開いたままのドアから、咲華のすすり泣く声が聞こえた。

…志麻と別れた理由を…話したがらなかったのは、朝子が絡んでいたからか。

俺の許嫁だった朝子。

咲華は色々気を使って言えなかったのかもしれない。


志麻に与えられた最初のミッション。

それが朝子を守るという事。

周りから見ても、志麻の朝子に対する接し方は、単なる妹思いの兄としては度が過ぎていたのかもしれない。

だが、それがミッションとなると話は違う。

…志麻は、根っからの二階堂体質だな…


少し複雑な想いは残ったが、本部に戻って仕事をした。

明日からドイツに行く志麻は、富樫と仕事の調整についてミーティングしていた。

…俺が思わなくてもいい事だろうが…

志麻には、幸せになって欲しい。

それは、償いの気持ちとか、そういうものではなく。

ただ単に…弟のように育って来た志麻に。

普通に…兄のように…そう思う。

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コメント1

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  1. カオリさん(47歳)ID:6610163・10/05

    これって親が悪い。
    しーくんが二階堂気質なのって小さい頃から分かっていたはず親なら
    その子に「朝子を守るのよ」ってミッションを与えたらそれが第1になるよ。

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