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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/05 07:51:02

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「行って来ます。」

「行ってらっしゃい…あ、海さん、待って待って。」

リズと手を繋いで、玄関先までお見送り。

季節は…春。

先月一歳になったリズは、もうすっかり歩き回って…目が離せない。


「いい子にしてろよ?」

海さんがリズの頭を撫でる。

「なるべく早く帰る。」

そして、あたしの頬にキスをする。

「気を付けてね。」

手を上げて富樫さんの車に乗り込む海さんの姿を、リズと二人で手を振りながら見送る。


九月に帰国して…あたしとリズだけは二ヶ月桐生院に滞在した。

本当は海さんと一緒にアメリカに戻りたかったけど…

…ちょっと色々あって。


でも、沙都ちゃんと曽根君と共にアメリカに戻れたから…良かったのかな。

彼らは今また、新作リリースと共に長いツアーが始まって。

しばらく不在。

意外とリズと仲良しな曽根君は、毎日のように『赤子の写メ!!』って、リズの写真を要求してくる。

いい加減、赤子って呼ぶのやめてよって言ってるのに。


リズは沙都ちゃんの歌が大好きなのか、リビングで沙都ちゃんの歌を流してると、とても笑顔になって身体を揺らせる。

その姿が可愛くて、ついつい…ずっとCDを流してしまう。

海さんはもう何度…同じ動画を撮ったか分からない。



少し風の強い午後。

リズはお昼寝中で、あたしは日本で撮った莫大な数の写真の整理をしていた。

コンコンコン。

玄関のドアがノックされて、一度窓から外を見て…

「……」

少し躊躇したけど…ドアを開けた。

「…こんにちは。」

そこに立ってたのは…しーくん。

「…お久しぶり…」

「少しだけ、いいですか。」

「……」

正直…家に入ってもらうのは…抵抗がある。

だけど、何か言いたそうなしーくんを拒むのも…

「ここは開けたままで。」

あたしが悩んでると、しーくんは玄関のドアを大きく開けたまま…そう言った。

「…どうぞ。」


しーくんはリビングのベビーベッドで寝てるリズの顔を覗き込んで…少し切なそうな顔をした。

あたしはそれを見ないフリをして…お茶を入れた。



「…やっと、色々冷静に考えられるようになりました。」

二人で向かい合って座って…

しーくんが言葉を出したのは、あたしが沈黙に耐えられなくて、お茶を一口飲んでからだった。

…敬語で喋られるのは…当然。

当然なのに、何だかチクチクした。


「今更、こんな事を話すのもどうかと思ったのですが…俺の中でも区切りをつけたくて。」

「…何?」

「…朝子の事です。」

「……」


あたしは…朝子ちゃんを優先してしまうしーくんにイライラした。

いつだって朝子ちゃんが一番で…あたしは何なの?って、やきもきした。

あの日、どうしてアルバムなんて見てしまったんだろう。

気付かなきゃ良かった。

…二人に、血の繋がりがない事なんて。

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