ジャスミンさんのブログ

  • 記事数 5
  • 読者 0
  • 昨日のアクセス数 21

因果応報・2

しおりをはさむ

テーマ:小説 > ホラー

2017/10/02 23:13:12

  • 0
  • 0

『あの子』は私が盗んだことを知っていると言ったそうなの。私が前に他の子からお金を盗んだことも知っていたと。そのことは、一部の人しか読めないSNSの日記で言ったらしい。
心ある人が、私に教えてくれた。
このままでは、私が悪者にされてしまう。
『あの子』と一緒にいられなくなる。私が気分よく毎日を過ごすためのオモチャがいなくなる。
私は慌てて連絡を取ろうとしたが、ラインもTwitterもブロックされた。
この私が?
なぜ?
許されないのは、生意気にも私より幸せになっている『あの子』でしょう?
電話をしても出なかったわ。・・・許せないこの私を無視するなんて!
仕方がないので、共通の知人にお願いして連絡を取ってもらえるよう取り計らってもらった。
悔しい。私が人に、私よりも下の人間に頭を下げなくちゃいけないなんて。
そこまでもしたのに『あの子』は私とは話さないと言った。でも、共通の知人の迷惑だから、ラインのメッセージでなら、と言ってきた。
なんて生意気な態度なの?
でも、ここは下出に出なくては。オモチャがなくなるもの。
それなのに。そうしてやったのに。
なのに『あの子』は、私と距離を置きたいと言った。疑ったまま、友人関係でいることは苦しいので時間をくれと。
なんてことなの!私が、誰からも愛される私が、あんなオンナに拒否されるなんて!!!!

それから、私は『あの子』の書いたネット上での日記やツイートをスクリーンショットで保存した。人に触れられたくない話題も、私を信じた『あの子』は話していたから。
 そして、彼女と付き合うネット上の友人を片っ端から失くすように仕向けて行った。
 体中の痣のことをネタにして笑ってやった。みんなが離れていけばいい。ああ、おかしい。嫌われるために、醜い痣を持って生まれてきたのよ、『あの子』は。

 リアルでもネットでも孤独を味わうがいいわ。

私はTwitterの他にすることがあった。『あの子』のネットで書いた小説をコピーしたの。そして、それを自分の作品として発表してやったわ。残念なことに3つの作品しか保存できなかったけれど。もっと、早くにこうするべきだったのに迂闊だったわ。
『あの子』が、私がコピーした小説を再投稿したあと、上手くやって私の方が先にその作品を書いたように工作したの。そして、私が書いた小説が盗作されたと告知してやった。
ああ、どんな想いかしら?
泣いているでしょうねぇ、きっと。
 だって、書くことが好きだと言っていたもの。
私がその場所を奪ってあげたんだから。ああ、楽しいわ。楽しくて仕方がない。
 
人の不幸は蜜の味というけれど、本当にそうね。とても、甘くて美味しいわ。
追い詰めて追い詰めて、とことん追い詰めてあげる。
この私が時間を割いたことを感謝しなさい。
その甲斐あってか、やっと『あの子』はネットから姿を消した。小説投稿サイトからも、
色んなSNSからも(インスタまでやってたのよ、生意気でしょ?)。


 でも、残念だわ。完全に逃げられたら、今後は遊べないじゃない。
『あの子』を不幸に出来ないじゃない。
嘆いている姿を見れないじゃない。
他のオモチャを探すのは、面倒。でも、周りには私より劣っている人間が沢山いる。
今度はその子たちで遊ぶしかないわね。


 そう思って数日を過ごしていた。
ある日、新しい服を買いに繁華街に出かけたの。
ある一角に占い師がいた。うんと年をとった四角い顔のおじいさん。なんだか頑固そうな人。真っ白な短い白髪頭で、しわくちゃな顔をしている。ニコリともせず仏頂面。商売する気がないんじゃないの?
手相占いと書いてある紙を座っている後ろの壁に貼っていたが、みんな通り過ぎて行く。私もその前を通り過ぎようとした。
その時、おじいさんが声を掛けてきた。
「そこのあんた」
不躾な人ね、そう思いながらも優しい私は立ち止まってあげた。
「なんですか?」
「・・・因果応報・・・。報いは必ず訪れるぞ」
低くしゃがれた声でそう言われた。
「因果応報・・・?」
なんのことを言っているの?
気持ちが悪い。無視をしようと一歩進む。
「あんたは自覚がないのか・・・」
呆れた声を出された。なんなの失礼な!
頭のイカレたジジイの相手なんかしてられないわ。私は無視をして馴染みの店に向かった。
 店に辿り着くと、仲の良い店員さんが迎えてくれた。傍には顔見知りの常連さんもいる。
「いらっしゃいませ」
にこにこと声を掛けてきてくれた。
ああ、ここでも私は好かれているのね。いつもここの店の人は私を待ってくれている。
「あ、ねえ知ってた」
顔見知りの子が口を開いた。
この子も私には少し劣るが、美人だ。私の中のランキングでは上位の方。『あの子』は、言うまでもなく下位だけど。
「なにかあったの?」
そう言うと、店員さんと顔を見合わせて、少し陰気な表情で口を開いた。
「・・・あの子、亡くなったそうよ」
「え?誰のこと?」
そう尋ねると、彼女は『あの子』が死んだと教えてくれた。
なんでも、自殺らしい。
「そう・・・なの・・・」
私は目を潤ませた。だって、そういう場面だもの。
仲が良かったと思っている彼女たちの前では、そうしないといけない。
「可哀想・・・。私に何か相談してくれたら良かったのに」
『あの子』は何が原因で死を選んだのだろうか?
「・・・遺書があったって聞いたんだけどね。それによると、ネットストーカーみたいな人にずっと追いかけられてたんだって。警察も弁護士も助けてくれない。これ以上、苦しみたくない、みたいな内容だったんだって」
・・・・・は?
「ネットでのトラブルで自殺だなんてねぇ・・・」
店員さんはため息をついた。
ちょっと、待って。
「ネットストーカーって・・・」
「ずーっとTwitterとかで嫌がらせされてたみたいよ」
私の呟いた言葉に、常連さんが答えた。
待って?ねえ、ちょっと、それって私のこと?
「そんなに追い詰める人がいるなんて。あ、何か聞いてない?あなた親しかったでしょう?」
そう尋ねられた私は首を横に振った。
「なにも知らないわ」
そうよ、私のせいじゃないわ。私、そんなに悪いことなんてしていないもの。
ちょっと、遊んだだけだもの。からかって楽しんだだけだもの。
別の誰かのことよ、きっと。
そうに決まってる。
「大丈夫ですか?ショックですよね・・・」
「あ、うん。大丈夫」
店員さんの言葉に私はうなずいた。
「知らなかったのね。本当に大丈夫?」
「ええ、大丈夫」
私がショックを受けていると思った常連さんは心配そうにこちらを見ている。
『あの子』が死ぬなんて・・・。今度こそ、オモチャがなくなってしまった。
そう思ったその時。
店にある大きな鏡に自分が映っているのが見えた。
「・・・え?」
半袖のブラウスを着ていた私は目を疑った。
私の白い綺麗な細い腕の肘の部分・・・。そこに、痣があったのだ。


<続>

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

10/19 編集部Pick up!!

  1. 子あやし疲れ少し休憩していたら
  2. 不倫相手と関係切れていなかった
  3. 妊娠報告に「バカなの」と義両親

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3